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026 神々の争い

 あれから、俺はサリエラを連れて冒険者ギルドを無事に出ることができた。

 現在、俺達は噴水がある公園で休んでいたが、サリエラも落ち着いたのか表情に余裕が出てきたので今後の方針を話す事にした。


「落ち着いたみたいだが、サリエラは何が自分に足りてないと思っているんだ?」


「やはり、知識や経験です。なので緊急時の判断が精霊頼みなんです……」


「それを、自分で判断できる様になりたいわけか」


「はい」


「なら、ランクの低い依頼から始めるか」


「ランクの低い依頼ですか?」


「ああ、依頼内容を見れば選んだ理由もわかるからまずは行ってみよう」


 俺はそう言ってサリエラを連れて再び冒険者ギルドに戻るが、俺が掲示板を無視して受付に向かっていると、サリエラが首を傾げながら質問してきた。


「あの、キリクさん、掲示板は見ないのですか?」


「ああ、勉強をするにはあっちより最低ランクでもできる奉仕依頼を受ける方が良い」


「奉仕依頼?」


「まあ、すぐにわかる」


 俺は受付に特殊依頼がないか聞くと、三枚の用紙を出してくれた。


「教会の地下にいるネズミ退治、畑を荒らすボアの退治、(急ぎ)ラニ村の化け物退治か。意外と少ないな」


「王都レオスハルトの冒険者は良い人が多いですからね」


 そう言いながら受付は笑顔を見せる。


「なるほど」


「あの……キリクさん?」


「サリエラ、この依頼書を見てみろ」


 俺は依頼書をサリエラに渡すと慌てて目を通し始めるが、しばらくすると納得した表情になりながら話しだした。


「これ、全部報酬がほとんどないから奉仕依頼なんですね」


「そうだ、貧しくて報酬が出せない雇い主の為の制度だな。ちなみに、この依頼書が少ない場合はまともな冒険者が多いという判断もできるんだ。まあ、他にも調べる方法はあるが、これが一番簡単にまともな冒険者ギルドかを調べられる方法だから覚えておくといい」


「は、はい!」


「それと、この依頼ならランク差があってもパーティーが組めるんだ」


「パーティーを組んでくれるんですね!」


「今回だけな。じゃあ、早速だが……これだな」


 俺はラニ村の化け物退治を選んでサリエラに渡す。


「これを受けるんですか?」


「ああ、情報も曖昧過ぎて調べがいがあるから今のサリエラにとっては良い勉強になるだろう。早速、申請してみろ」


「わ、わかりました」


 サリエラは緊張した面持ちで頷くと、すぐに受付に行って依頼の申請をし始める。

 俺はそんなサリエラの姿にかつての教え子達が重なって見え、口元が緩む。


 やれやれ……。

 また、誰かに教える日が来るとは……。

 こんなところをあいつらに見つかったらきっと怒るだろうな。


 俺はかつての教え子達を思い出しながら、溜め息を吐くのだった。



◇◇◇◇



 あれから、冒険者ギルドを出た俺達は、依頼を出しているラニ村に向かっていた。


「ゴールド級以上推奨。ラニ村に夜になると現れる一体の化け物を倒して下さい。ギルドより補足、この村にどういうわけか定期的に現れる様です。姿は毎回現れるたびに変わり、去年は大きな豚でした。うーん、これだと相手がどういう魔物なのかわかりませんね」


「正直、魔物かも怪しいな。ボアやオークじゃなくはっきり大きな豚って書いてるんだからな」


「そうでしたね……。しかし、定期的に現れるならどうしてちゃんと……そっか、お金がないからなんですね……」


「そうだ、その依頼を受ける冒険者は大概さっさと倒して終わりにしているんだろう」


「依頼は受けるけど時間をかける気はないという事ですね」


「そういう事だ。冒険者は慈善事業じゃないからな」


「でも、今回私達は倒すだけじゃなく正体を掴むまでやるって事ですね」


「当たりだ。だから日が出ているうちに調べて夜に化け物に対処する。サリエラ、今回はなるべく精霊の使用は禁止するぞ」


「わかりました。でも、何でしょうね?キリクさんはどんな化け物かわかりますか?」


「いや、わからないな」


「まさか、魔族だったりして⁉︎」


「魔族が大きな豚を操って村を襲うのか?自分で襲った方がいいだろ。まあ、人見知りな魔族ならありえるがな」


「そんな魔族いるんですか⁉︎」


「ああ、南側にいるぞ」


「あ、そういえば南側に変な魔族がいるんでしたね……」


「まあ、一般的な魔族はサリエラも知ってるような奴らだから、南側の様なイレギュラーな魔族の事は今は覚える必要はないぞ」


「わかりました。ところで魔族って何でこの世界を支配したがるんですかね?」


「それは彼らが崇める神に問題がある」


「魔族が崇める神ですか?」


「サリエラは神々には詳しくないのか?」


「はい、私はエルフの里を出てずっと一人で生きて来ましたから、外の知識は日常生活以外の事はほとんど知らないんです……」


「なら、世間一般で浸透してる神々の説明からしないといけないな」


「はい、お願いします」


「いいか、神っていうのは自分の領域、世界を持っているんだ。そして、その領域は他の神には触れることができないと言われている。だが、ある時、好奇心旺盛な神が、生き物はいるが神がいない領域を見つけてしまったんだ。するとその神は自分の領域の生き物を送れないか試すと送れてしまったんだ。そうなると、その神はその領域が欲しくなってしまったんだが、そこに同じような考えの神が現れた。ここでサリエラに質問だ。どうなったと思う?」


「神様同士で喧嘩ですか?」


「そうだ。だが神々はお互いの領域に手を出せないから直接何かをする事はできない。しかし、その見つけた領域なら送った生き物同士で争わせる事ができる事に気づいた。だから、神々は自分の方が優れてると思わせたいが為に、どんどん自分の領域の生き物を送り続け争わせたんだ。まあ、代理で喧嘩という名の戦争をさせたわけだ。すると、その領域に昔からいた生き物、つまり人族と動物も巻き添えを喰らい滅びそうになったんだ」


「うわ、酷いですね……。ちなみに酷い事をした神々って誰なんですか?」


「最初に自分のものにしようとしたのが魔神グレモスで魔族と魔物、そしてダンジョンを創り出した神様だな。そして後から入って来たのが獣神ライオールと、龍神ドラゴニクスだ」


「なるほど、だから魔族は最初にいたのは自分達だからこの世界は自分達のものだって感じなんですね」


「神はいなくても人族や動物はいたんだがな。ちなみにこの当時の人族は文明もほとんど発展してなかったらしい……」


 だから人族は虐げられていたと言われている。

 ただし、世間一般の神々の史実ではな……。


 俺はそう思いながらもサリエラに説明するのだった。


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