239 勇者と魔王
私達が最重要機密区域エインへリアルに飛ぶと既に、カーミラ達が攻めて来ていたらしく、第一障壁の周りにはアダマンタイト級の魔物が溢れかえっていた。
「デモン・セルの空瓶が大量に落ちてる。あの魔物はカーミラが放ったみたいね」
隣りにいたファルネリアが落ちていた、デモン・セルの空瓶を忌々しそう見ながらそう言うとブリジットが舌打ちする。
「ちっ、全く厄介な事してくれるわね。それであたいらはどうする?」
私はブリジットに聞かれて考える。
現在、魔物はローグ王国騎士団が戦っているようだが劣勢状態である。
ここで、戦力を分散するのは早すぎる気がするけど、このままだとローグ王国騎士団がやられてしまうわね。
仕方ない……。
「雷帝騎士団、雪花隊はローグ王国騎士団のフォローをお願い。残りは向こうに行くわよ」
私がそう言うと皆んな頷き行動しだす。
そんな中、ローグ王国の紋章を胸に付けたフルプレートの騎士が第一障壁の扉から出てきて私達に駆け寄ってきた。
「あなた方が外周の連合軍だな。私は鉄鋼騎士団第二部隊副隊長をしているトーラスだ。あなた方を第三障壁まで案内するよう指示されてきた」
トーラスは騎士の礼をしながら言ってくる為、私も一応、白狼騎士団がやる騎士の礼をとる。
「ありがとう。それで連中には何処まで侵入されているの?」
「第二障壁に張られている結界を、魔王と言われている黒騎士に攻撃されているところだ。正直、そろそろ結界師達に限界が来ている」
「……わかったわ。では、そこまで案内をお願い」
「了解した」
トーラスは頷き、早速、私達を案内する為、第一障壁に向かっていくが、近くに来てわかったのだが、第一障壁は石材出なくて全て金属でできている事がわかった。
要塞都市よりも高い壁に全て金属を使うって、それだけ中にいる存在を閉じ込めておきたいって事よね。
私はそう思いながら第一障壁の扉をくぐり抜ける。
すると、先の方にはまた同じ様な壁、第二障壁が見えた。
これが後、もう一つあるのよね。
しかも結界で厳重に固めてるんでしょ。
全く、こんなに大変なことを中央がしていたなんて知らなかったわ。
そんな事を思っていると結界を攻撃した時に聞こえる音が聞こえてきたので、私は音がした方を見ると宙に浮いた魔王が赤い大剣で結界を攻撃しているのが見えた。
あれね……。
しかし、なんなのかしらあの赤い大剣?
宝具みたいな力を感じるんだけど……。
私がそう思っていると、近くにいたブレドが呟いた。
「全く、勇者の次は魔王か……」
「中身は別人よ」
「ふむ、それでどうするんだ?」
「足止めするのよ。魂は取り返したらしいけど倒してしまうと繋がりが壊れてしまうらしいから」
「難しい注文だな……」
「そうね。でも、やらなければいけないのよ」
そうしないとあの人が二度と戻って来なくなる。
それだけは避けないといけない。
私はトーラスに声をかける。
「ねえ、結界師に余裕はある?」
「……何をする気だ?」
「魔王を閉じ込められない?」
「なるほど……。一番厄介なのは魔王とカーミラという魔女だからな。一人を抑えれば余裕がでるか……わかった」
トーラスが頷き通信機の魔導具を取り出し、早速連絡しはじめる。
その時、ファルネリアがある方向を指差して叫んだ。
「あっちで戦闘してるみたいよ!」
私はファルネリアが指差す方向を見て、敵が誰だか理解する。
「ヨトスね。しかもあれってまずくないかしら……」
どうやらヨトスはポイズンモスの群れを出してローグ王国の兵士を襲っているようだった。
しかも、ローグ王国の兵士達が徐々に倒れて行くのが見えたので、私は皆んなに指示をする。
「皆んなはポイズンモスをお願い。白鷲の翼はヨトスを引き受けるわ!」
私がそう言うと、皆んなは直ぐに行動し出した。
そして私達、白鷲の翼のメンバーは倒れているローグ王国の兵士達を守るように前に立つ。
するとブリジットが倒れているローグ王国の兵士達に挨拶しだした。
それを見て、私は相変わらず感心する。
ブリジットはこういうところが気がきくのだ。
なのにオルトスと恋仲になるとは……。
ありえないわ……。
あのガサツな髭もじゃと悔しいけど、私達より乙女なブリジットが付き合うなんて……。
しかも、私達より先に……。
そんな事を考えたら、なんだか苛々してきたのでレバンティンを抜き、ドレッドマンティスの腕を斬り落とす。
するとローグ王国の兵士達は驚き、ブリジットが自分のことの様に私を自慢する。
やはり、オルトスにはもったいないわよね……。
私は正直、ブリジットは姉の様に思っているのでちゃんとした人と結婚して欲しいのだ。
しかし、恋は盲目という言葉は私も痛いほど理解してるので人の事は言えない。
だから、オルトスとは一度しっかりと話さないとね。
私はそう思いながら、再びドレッドマンティスに向かっていき、さっさと首を斬り落とすと、そのままヨトスに向かう。
しかし、すぐに身に危険を感じた私は後ろに飛ぶと、目の前に黒い炎でできた槍が突き刺さった。
それを見た私は思わず、投げてきた人物を睨んでしまった。
なんせ、その人物は私の大切な人の身体を奪った存在だからである。
絶対に取り戻す。
私はそう心に誓いながら魔王といわれる存在に剣先を向けるのだった。
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