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024 勇者アレスが死んだ日

「じゃあ、俺達もさっさと出ようぜ。今日は懐が暖かいから酒がもっと美味く感じるだろうな」


「オルトス……お前、酒はもう控えるんじゃないのか?」


「これは、不死の門を閉じれた祝いの酒だから問題ない。そうそう、冒険者ギルドからもらった情報料もなかなかだったぜ。キリクありがとよ」


「まさか、レクタルでギルド長に俺の事を言った時のか」


「当たりだ。まあ、言わなきゃ人が無駄死にしてたからな。流石は俺だぜ。感謝しろよ」


 そう言って自分の収納鞄を嬉しそうに撫でるオルトスを見て、言ってる事は正しいが、全く納得できないのはこいつの日頃の行いが悪すぎるからだろう。

 俺は溜め息を吐きながら、オルトスに言う。


「まあ、飲みすぎんなよ」


「当たり前だ。てか、お前は来ないのか?」


「何を言ってるんだ?まだ、午前中だろうが……。それに俺は冒険者ギルドに行かなきゃいけないんだよ」


「なんかあんのか?」


「わからんがギルド長に呼ばれてるんだ」


「何かしたのか?」


「記憶にはないな。報酬はもらってるし」


「まあ、手伝いを頼まれても俺はできんから期待するなよ」


「安心しろ、酒場生活に戻るお前には期待してない」


「言ったろ。酒は当分控えるって。それに俺は近いうち鈍った身体を鍛えてくるぜ」


「なんだ、悪いものでも食べたのか?」


「ちげえよ。魔王といい死霊術師といい、どうもきな臭くなってきたからな」


「なるほど。お前が復帰すれば皆んな喜ぶぞ」


「いや、もう昔みたいにはやらねえよ。今後は俺なりのやり方でやっていくさ。お前みたいにな」


「……そうか」


 それからはお互いしんみりしてしまい、城を出てからも無言で歩いていると、今まで黙って付いてきたサリエラが俺達の前に周りこんできて真剣な表情で俺達を見つめてきた。


「……あの、ずっと気になっていたんですけど、お二人っていつからお知り合いなんですか?相当、古い付き合いに見えるんですけど……」


 サリエラは喋り終わると俺をジッと見つめてくる。


 もしかして、まだ俺の事をアレスと疑っているのだろうか。

 ここは疑いを晴らさないとな……。

 そう言って何か言おうとしが何も思い浮かばない事に気づいてしまう。

 なんせ、下手な事を言うとサリエラは間違いなく調べてくるだろうと思ったからだ。

 俺がその為、言葉に詰まっていると、オルトスが俺の背中を軽く叩きながら喋りだす。


「エルフの嬢ちゃん、人にはどうしても言えない事があるんだ。悪いな」


「あっ、す、すみません!ただ、ちょっと気になってしまって……」


「別に謝る事じゃない。まあ、そういう風に時には詮索する事が必要になることもあるからな」


「えっ、どういう事ですか?」


「まあ、利用されない様にしろって事だ。でないとゴミの様に扱われるからな。それじゃあ俺は酒に呼ばれてるから行くぜ」


 オルトスはニヤニヤしながらそう言うと、片手を軽く上げ、ヒラヒラさせながら飲み屋がある方に去っていく。

 俺はそんなオルトスの後ろ姿を見ながら、あの日のことを思いだしていた。

 北の魔王を倒した時に呪いで加護や力を封じられた俺は後方に下がり色々したが、ただのお荷物でしかなくなっていた。

 そんな時、スノール王国から簡単な依頼をもらったのだ。

 しかし、それは北側の魔王の残党が城に潜り込み、宰相に化けてから出した依頼で、本当は俺を殺す為の罠だったのだ。

 それで俺は力を失った状態で、残党や狂った国王達と戦ったが遂には追い詰められてしまい、止めを刺されそうになった。

 だが、その時ギリギリで元勇者パーティーのオルトスとグラドラス、そして国王の息子でもあるブレドに助けられたのだが、オルトスとグラドラスの怒り具合が半端ではなかった。


 オルトスはまだ、あの日の事を覚えているんだな。

 まあ、命をかけて守った連中に裏切られた様なものだから怒るのは当たり前だが、一つの国を滅ぼそうとするなんて駄目だろう……。


 結局、俺を殺そうとした国王は息子のブレドの手により首を落とす事で手打ちになった。

 そんな感じで全て終わったところで、グラドラスから今回の様に魔王の残党から命を狙われる可能性や、揉め事などに巻き込まれる可能性がある為、アレスとしての俺は死んだ事にしようと提案をしてきたのだ。

 オルトスとブレドもその方が言いといい、俺もその案が気にいって乗る事にし、キリクという今の俺になったのだ。

 ちなみに俺がアレスという事を知っているのはオルトス、グラドラス、ブレド、そしてスノール王国騎士団長に装備品を色々揃えてくれたボリスだけである。


 そうだ、ボリスといえば、お金も入ったしそろそろ装備を新調しないとな。


 そんな事を考えていたら、サリエラがまた俺の前に周りこんできた。


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