013 行方不明事件と臨時パーティー2
「まだ、解決してないのか?一週間だぞ。いつまで経ったら外の依頼が受けれるんだ!」
「申し訳ありません。しかし、お二人の為でもあるんです」
「二人も三人も変わんねえだろ!」
「ラドフ!止めなさい!」
「黙っててくれ姉さん!毎日、金にもならない雑用ばかりこなしてたら所持金がなくなっちまう。そうなると王都を出てかなきゃ行かないんだぞ!」
どうやら、隣にいる兄弟冒険者も俺と同じ様に外の依頼を受けれないでいる様だな。
しかも、一週間も雑用依頼か。
これは別の場所を考えた方が良さそうかもな……。
そんな事を考えていると、隣から視線を感じたので横目で見るとローブを着た赤い髪の女がこちらを見つめていた。
おそらく姉の方だろう。
姉は隣にいる背が高い、同じく赤い髪の弟の服を引っ張る。
「ん、姉さん、なんだ?」
弟は姉の視線を追って俺を見ると、納得した様な表情をしたが、俺も二人の雰囲気でこれから起こるであろう事を察した。
……これは面倒な事になりそうだ。
俺はそれを回避する為、さっさと踵を返し冒険者ギルドを出ようとしたが、すぐに二人に道を塞がれてしまった。
「すまん!俺達とパーティー組んでくれ!」
「断る」
俺は二人の横を通ろうしたが、姉の方に両手を広げられ道を塞がれてしまった。
「お願いします。話だけでも聞いて下さい」
「パーティーは組まない。以上だ」
「臨時パーティーで良いんです!それに報酬も私達とあなたで半分ずつで良いですから!誓約書も書きますから!」
姉の必死な言葉に俺は足を止める。
正直、必死さに胸を打たれたわけではなく、臨時パーティーと報酬半分と言う言葉に惹かれただけであるが、俺が足を止めた事で二人はほっとした表情になった。
流石にここで隙をついて逃げたら後味が悪くなるだろうな。
俺は諦めると近くの座れるスペースを指差す。
それから、そこに三人で座ると姉がすぐに頭を下げてきた。
「ありがとうございました」
「いや、まだやるとは決めてない。話しの内容次第だ」
俺が腕を組みながらそう答えると、弟の方が勢いよく立ち上がり睨んできた。
「おい、お前にとっても良い話だろ!」
「ラドフは黙ってて!」
姉の必死な形相に弟はとたんに静かになり座り込む。
どうやらパーティーの舵取りは姉がしっかりしてるらしいな。
俺が感心して見ていると、姉はすぐに頭を下げてきた。
「ごめんなさい。気を悪くしましたよね」
「いや、大丈夫だ」
「……良かった。では、自己紹介します。私は魔法使いの加護を持つダナっていいます。そしてこっちが弟のラドフで戦士の加護を持っていて私達は兄弟でパーティーをやってます。ちなみにパーティー名はまだなくてランクは二人共シルバー級です」
「俺はキリク、ソロでアイアン級だが、前はプラチナ級に上がる寸前のパーティーに所属していた。だから、シルバー級の依頼でもいける」
「そうですか!じゃあ、まずは依頼書を選んできましょう。それで色々話し合いをしてキリクさんが良ければ誓約書を書きますね」
そう言ってペンと紙を取り出すダナの対応に俺は感心する。
……俺の加護を聞いてこないとは驚いたな。
まあ、誰でも良いから組みたかったというのもあるか。
仕方ない、二人は俺の噂も知らない様だし今回だけ組んでもいいだろう。
「……わかった、頼む」
こうして、俺は赤毛の兄弟と臨時パーティーを組む事になった。
それから依頼を吟味し、近くの森にいるゴブリン討伐に決め、臨時パーティーの登録と取り分に関しての誓約書を書き、俺達は森に向かった。
「できれば、沢山狩りたいですけどね」
「一週間分稼げねえかなあ」
「そんなの無理に決まってるでしょ!」
「……静かにしろ。先の方にいくつかの魔物の気配がする」
「えっ!キリクさん本当ですか?」
「ああ、風下から回ろう」
俺の言葉に二人は文句を言わず黙って付いてくる。
普通、自分達より低いランクに言われると、文句を言ってくるんだが……。
プラチナに上がる寸前のパーティーっていう言葉が聞いたのかもな。
まあ、あいつらだったらこういう時は必ず文句を言ってただろうがな。
俺はキリクになってから組んだ三つのパーティーを思い出す。
そういえば二つ目のパーティーにいたあいつらは文句など言わずに良くしてくれてたな。
まあ、最後の方はほとんど会話はなく視線さえ合わせてくれなかったが……。
そんな事を考えながら進んでいると、先の方に八体のゴブリンが焚き火を囲み、狩ったであろう大きなネズミを焼いているのが見えた。
ゴブリン八体か。
ちなみにゴブリンは頭は悪いが動きが速く、下手をするとあっという間にやられてしまう為、ソロだとシルバー級以上じゃないとゴブリン討伐依頼は受けられないのだ。
俺は二人の方を向くと緊張した様子で頷いてくる。
「ダナ、魔法一回で何体倒せる?」
「二体ですかね……。あのう、こんなに沢山のゴブリンと戦った事ないんです。いつも多くても三体までって決めていたので」
「なるほど。ちなみにラドフは何体までなら相手ができる?」
「二体が限界かな」
「それなら大丈夫だろう」
「えっ、大丈夫なんですか?」
「ああ。合図するから二人共準備しろよ」
俺は落ちている石を拾うと、ゴブリン達がいる風上の茂みに投げる。
すると、八体のゴブリンはすぐに立ち上がり、風上を警戒しだしだ。
それを確認した俺は今度は弓矢に切り替え一匹のゴブリンに狙いを定め矢を放つと、矢はゴブリンの後頭部を貫く。
しかし、まだ周りのゴブリンは何処から攻撃されたかわかっていない為、更に俺はもう一体のゴブリンに向けて矢を放ち仕留める。
「ダナ、魔法を」
「はい。第一神層領域より我に風の力を与えたまえ……ウィンド・カッター!」
ダナの声にゴブリンはやっと俺達の場所に気づいたが、既に二体のゴブリンが風の刃で切り裂かれて倒れた。
あっという間に半分の数を減らされ、怯えて逃げると思ったが、ゴブリン達は武器を振り回しながら怒った顔で俺達に向かってきたのだった。
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