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012 行方不明事件と臨時パーティー1

「お前ら人の店の前で騒いでんじゃねえよ。商売の邪魔だ!」


 しかし、後ろからボリスが出てきて怒鳴った事で、ロン達は周りの状況を理解して俺達を睨みつけるだけで終わった。

 俺はボリスを見るとニヤッと笑みを浮かべたので、軽く頭を下げオルトスの背中を押す。


「ああ、なんだよ?」


「俺の奢りで酒を飲ませてやるから行くぞ」


「まじか⁉︎よし、行こう!」


 オルトスはさっさと酒場に向かって歩き出したので、苦笑しながら俺もついていく。

 その際にも俺は後ろに注意していたが、ロン達は追ってこずにボリスの店に入っていった。


「できた兄弟だな」


「ふん、あいつらなんて顔面に一発殴れば良いんだよ」


「お前の一発は頭がなくなる可能性があるからやめてくれ」


 オルトス・D・ドランは拳闘士の最上位の加護、拳聖を持っており、弱い巨獣なら殴り殺せる程の力がある。

 酔っ払いの飲んだくれと言っても、ロン達程度なら一発であの世にいくだろう。

 俺は意気揚々と前を歩いているオルトスの背中を見る。


 やれやれ、まだやれるんじゃないか……ん?


「というかオルトス、こっちは大通りだろ。あの酒場はどうした?」


「奢りでなんで安い酒を飲まなきゃいけないんだ?」


 何わけのわからない事言ってんだこいつはみたいな表情をオルトスは俺に向けてくる。


 全くこいつは……。


 俺はせっかく稼いだ金を全部持ってかれるわけにはいかないので、水で思いっきり割ってもらう事を考えていると、急に大通りがざわつきはじめた。


 なんだ?


 俺は騒いでいる方向を見て納得する。

 どうやら白狼騎士団が戻って来たらしい。

 俺達や住人は彼らが通れるよう道を開けて通り過ぎるのを待っていると、白狼騎士団が俺達の前に止まり副騎士団長のフォンズが声をかけてきた。


「これは、オルトス殿、それに貴公はキリク殿だったな」


「なんだ?キリク、お前、フォンズと知り合いか?」


「レクタルの近くで少しな。副団長殿、頂いた聖水は役にたったよ」


「そうか、レクタルに入ったのは衛兵達から聞いていたが大丈夫であったのだな」


「まあ、顔を合わせたくない連中がいたから適当に切り上げたんだ」


「そうか。ところでギルド前にいたドラゴンゾンビを倒してくれた者がいるらしいのだが、キリク殿は知らないか?」


「……知らないな」


「ふむ、死霊術師達もどうやら死霊術を失敗したらしく、なんだか呆気ない幕切れでな……」


「……フォンズ殿、納得してない様子だな?」


「それはそうであろう。あんな大がかりな事をしたのに失敗なんて……」


 フォンズは死霊術師達の召喚失敗に納得してないみたいだが、これ以上詮索されたくない俺は一つ嘘を吐くことにした。

 

「……もし、仮りにそれを誰かがやったのなら、おおかた金に余裕のある高ランク冒険者だろう。なんせ今回は報告が色々と面倒そうだしな」


「確かに今回はかなり手間と時間を取らせてしまうだろうな……」


 フォンズは納得した表情をした後にオルトスをもの珍しそうに見つめる。


「しかし、オルトス殿が酔いが醒めてる姿を見るのは久々だな。できれば貴公にも参加して頂きたかったよ……」


「んあ?悪いが、話がわからねえんだがいったい何かあったんだ?」


「レクタルで死霊術師達が大掛かりな死霊術を行って町が半壊したのだ」


「はっ、まじか⁉︎」


「ふう、貴公は完全に酔っ払っていたからな。これから酒は程々にして欲しいぞ」


「ああ、今日飲んだら当分酒の量は抑えるつもりだぜ」


「「えっ⁉︎」」


 オルトスの言葉に俺とフォンズは思わず一緒になって驚いてしまう。


 ……まさか、酒に入れた酔い醒め薬が変な作用を起こしてしまったのだろうか……。


 そう思った俺は更にオルトスに酔い覚め薬を飲ませようと、収納鞄に手を伸ばすとオルトスに止められた。


「キリク、お前が入れた薬のせいじゃないぞ。てか、もう飲まそうとすんじゃねえよ」


「いや、もう一回飲ませば二度と酒を飲まないかと思ってな。違うようで残念だ……」


「なら、バッカスの神がついに飲んだくれに罰を……」


「フォンズ、それも違う。そろそろスイッチを切り替え様と思っただけさ」


「そ、そうか。なら丁度、貴公に頼みたい事がある。明日にでも城に顔を出してもらえないだろうか?」


「おお、良いぜ」


「ありがたい。では、また明日」


 フォンズはそう言うと、騎士の礼をした後、再び城の方に馬を動かし始める。

 その後を続くように部下の白狼騎士団も動き始めたのだが、俺はその中に知った顔がいることに気づいた。


 どうやら、無事だったらしいな。


 俺がそう思いながら、サリエラを見ると、こちらを一瞬だけ見てきたが、すぐに前を見て馬を走らせいってしまった。

 その後、すぐに大通りはいつもの賑わいに戻りオルトスは俺の肩を叩いて路地裏を指差す。


「キリク、この先の路地裏に良い酒が飲める酒場があんだよ」


「わかった。だが、あまり注文するなよ」


「ん……ああ」


 オルトスは明後日の方向を見ながら答えてきたので、俺はオルトスを睨む。


 こいつ、今、絶対聞いてない振りをしたよな……。

 こうなったら安上がりな酒で済まそう。


 俺は心に誓い酒場に向かう。

 だが、結局はオルトスを抑えることができず、俺が稼いだ額の半分が高い酒代に消えてしまったのだった。



◇ ◇ ◇ ◇



 翌日、少しでも失った金を取り戻す為、朝早くに冒険者ギルドに行き、依頼をこなそうと思っていたのだが嬉しいことがあった。

 それは、この王都の冒険者ギルドではどうやら俺の噂はないらしく、俺と会っても誰も何も言ってくる事はなかったのだ。

 しかも、加護がないとわかっても受付の対応が変わらなかった。


 ここは良い場所かもしれないな。

 まあ、それでもここにはロン達がいるから過度な期待はしない方が良いか……。


 俺はアイアン級で受けれる依頼から薬草採取の依頼用紙を取ると受付に持っていった。


「アイアン級のキリクだ。これを受けたい」


「すみませんがキリクさんはソロでしょうか?」


「ああ」


「それでしたら、現在、シルバー級以下でのソロ、又は二人での外の依頼活動は禁止しているんです」


「なぜだ?」


「これを読んでくれますか」


 受付は一枚の紙を俺に渡してくれたので見てみると、ギルド長からの通達書だった。

 最近、少数人数で行動している低ランク冒険者が依頼中に行方不明になる事件が多発している為、当面の間、外での活動はシルバー級以下は最低でも三人以上での行動とする。


「なるほど、そういう事か」


「すみませんが、どなたかと臨時でもいいのでパーティーを組んで頂かないと依頼の承認は出せません」


 これは参ったな……。

 正直、ソロ以外ではやりたくないんだがな。

 まあ、百歩譲ってオルトスでもランクが開きすぎて組めないし……。

 こうなると、南側の方に行くしかないのかもな……。


 俺は若干諦め気味に考えていると、隣から怒鳴り声が聞こえてきた。


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