4話:華の町
また、夢を見た。
今度は違う、初めてみる夢だった。
僕は宙に浮いていて、上から全体を眺めている。
僕にそっくりな女性が、人の形をした魔物たちに囲まれている。
どうやら敵同士ではないらしい。
一人の魔物が彼女の前に進み出た。
何か言ってる。
ザワザワして何を言ってるのか聞き取れない。
女性が何か呟くと目の前の魔物が消えた。
周りの魔物たちも消え、女性も消え、僕は目覚めた。
なんだ、まだ夜中か。
……いや、ある意味都合がいいかも。
ティアに見つかったらまずい。
今のうちに……。
僕は昨日クロムからもらった服に着替え、荷物と刀を持って家を出た。
外は閑散とし、冷たい風が渦を巻いて吹きすぎる。
人の影は見当たらない。
夜空を見上げると、真円に近い真っ白な月が光を投げかける。
外壁を越えた僕は、昔父さんがしてくれた話を思い出しながら歩き続けた。
……っていうか、ティアほんとについて来なかったね。
夜中だろうが意地でもついてくると思ってたのに。
僕は幼き日に父さんがしてくれた話をすべて覚えている。
父さんは村の外にも仲間や友達がいっぱいいたらしい。
別に助力を期待しているわけじゃない。
でも魔王について何か知っているなら、尋ねる意味もあるさ。
辺境の森を越え、辿り着いた崖からは[華の町翠蓮]が見下ろせる。
翠蓮の人々は不思議な力を持って生まれてくる。
どんな力かは人それぞれだが、家系によるものが多い。
稀に例外もいるらしいけど。
っていうか、外から来てここに住み着いた人もいるから、無能者も少なくはないはずだ。
確か翠蓮には撞源という人がいるはずだ。
もちろん父さんの仲間。
きっと力になってくれるはず。
翠蓮の町は結構大きかった。
入り口近辺は長屋が連なってるけど、そこを抜けると商屋が所狭しと立ち並ぶ。
……この格好じゃさすがに目立つよね。
商人たちが熱心に声をかけてくるけど、僕は『無視しますから。』というオーラをふんだんに放出しながら歩き続けた。
と、小さな女の子がよそ見しながら駆けてきて、正面からガーランドに勢いよくぶつかった。
……軽すぎて逆にひっくり返っちゃったけど(笑)
「大丈夫?怪我はない?」
女の子を立たせ、汚れを払いながらそう言った。ちょっと涙目だったけど、頷いたから大丈夫だろう。
可愛いなぁ。
「ねぇ、撞源っていう人のお家知ってる?」
「……うん」
頷くと、女の子はわき目も振らずに走り出した。
ついて来いってことかな?
僕も後ろからついて走り出す。
ヤバッ、見失いそう……
立ち止まった女の子にやっと追いついた。
目の前には何気に大きな家。
翠蓮の町には場違いな洋式の建物で、薄い緑色の外装は僕の目には優しい。
最近左目が霞むんだよね……
あれ、さっきの女の子がいない?
まだお礼も言ってないのになぁ。ま、いっか。
玄関の重そうな扉にあるライオンのやつ(ノック)を思いっきり鳴らした。
たぶん近所迷惑。でもそんなこと気にしないもんね。
父さんの仲間かぁ、どんな人だろ?
実は辺境の森でいろいろ大変な目にあったりもしてますが、ここでは省略しました。
・・・・面倒だったってのもあるんですけど(笑)
なにより、ガーランドは自分の苦労を他人に見せたくないやつなので。
ガーランドが話す気になったら書きます。たぶん無いでしょうけど。




