17話:傷が治る
ホテルにチェックインし、部屋に入る。部屋は暖色系の矩体でどこか(何故か)薄暗く、光源は幾つかのダウンライトのみ。内装はごくシンプルなものだが、一際強く自己主張するものがある。
ベッドだ。
枕は二つ置かれており、真っ白だが照明のせいかピンクにもオレンジにも見えるシーツが敷かれている。
「……今日は疲れた……」
裂神をベッドの脇に立て掛け、そのまま倒れ込む。あれだけ走らされたし、マリナのテレポートに伴うあの引っ張られる感覚は一生好きになれないだろう。軽く転移酔いしてしまっていた。ゴスロリ服服を着替えるのも煩わしくなり、ベルニカは目を閉じて夢の世界へと旅立った。
子ども達が通りを元気に走り回っている。
古い石造りの建物が無秩序に建ち並び、砂浜から海風がそよぐ。
高い外壁に守られ、のどかな光景が、平和な世界がそこにはあった。そこは、イリスだった。建物の形や村の雰囲気から見ても、それは間違いない。だが、その景色にベルニカは違和感を覚える。今のイリスはこんな感じじゃなかったはず。外を自由に子ども達が遊び回ってるなんて、13年前ブライが村を襲ってからは滅多に見られない事だった。
不思議とベルニカは夢を見ている感覚ではなく、過去の映像を見せられているような感じがした。
「イタッ!」
目の前で遊び回っていた子ども達の一人が転んだ。……この子幾つだろう?見た目は1歳ぐらいにしか見えない。でも走り方やその速度、そして周りの大きい子達と普通に喋りながら遊んでいた所を見ると、単に成長が遅れているだけかもしれない。
「ミィ、ダイジョブか?」
4歳くらいの男の子が背後から声をかける。転んだ女の子は自分の足を呆然と見ていた。ベルニカが覗いてみると、足下には血溜まりと、血が付いたガラスの欠片。転んだ拍子に落ちていたガラスが刺さったのかと思い、女の子の足を見たが、そこでベルニカは信じられないものを見た。
傷が治っていく。
「どーかしたの?」
いつまでも立ち上がらない女の子を不思議に思い、男の子は正面にまわって覗き込む。怪我らしい怪我は無く、足下には血溜まりとガラスがあったが、男の子は気にした様子も無かった。
「ほら、いこっ!ミィ」
「……!う、うん……」
女の子は立ち上がり、また遊びに加わっていった。
今回の話しは、今後投稿予定の作品とリンクしています。
【魔女の子ども】だけではなく、シリーズ全体を見渡しながらの同時執筆は結構大変。いつ完結するのやら……。




