12:理由
私、今まで一度も泣いたことが無かった。
生まれ落ちてからただの一度も。
父さんや母さんが死んだ時だってそう。
まぁ当時2歳だった私には『死』というものが見えていなかったのかもしれない。
でも周りの人が泣いてるのを見て、嬉しい時や悲しいときなど、感情が溢れる=涙が出るという認識をしていた。間違ってないよね?
じゃぁ、今の私は?なんで泣いてるの?
「雷憧、私、なんで泣いてるのかなぁ?」
雷憧に訊ねてみた。答えなんか期待してなかった。
ただなんとなく言ってみた独り言みたいな感じ?でも、雷憧は答えた。
「ベルニカは人を怖がってる。人と仲良くなることを、人に好かれることを畏れてるんだ」
「…?」
…そうなの?私、人と仲良くなりたくないの?
今まで私と仲良くしてくれたのはティアと魔物だけ。
人に好かれるようなことをした記憶は一切ないし、魔女の子どもだから実際好かれてなかっただろう。
そして好かれようと思っていなかったわけだ。
ま、母さんを殺した奴らだ。一生好きにはならないだろうが。
もし雷憧の言うとおりなら、私はアリスと仲良くなることを拒否しているということ?
ある意味好都合なんだろうけどさ。
アリスのこと嫌い?ううん違う。
頭の中で独り自問自答するベルニカ。
雷憧はそっと口を開く。
「泣くなベルニカ、男だろ?」
笑顔でそう言う雷憧。
含みのある笑顔で。
しかし!ベルニカはそれに気づかない。
…男は泣いちゃダメってこと?じゃぁ私は泣いちゃ…??
!!!?おとこ!?
オトコ!!?
今!コイツ私のことおとこって言ったのか!?
おとこってなんだ!?
漢字の漢と書いてオトコか!?
それともあれか?音子か!?
なんかよくわからんけどここは全力で否定というか、えと…うん、とにかく否定だ。
「あ、あんたどこに目ん玉つけてんの!?なんで私がおとこなのよ!?」
クスクス笑う雷憧。ウガーッ!こいつイライラするー!クスクス笑いなんてこの世から滅んでしまえ!なぁポッター、君もそう思うだろう?
「男だろ?って言った後の間がその答えさ♪」
答えになってないし!
クソッ!コイツのこと舐めてた。
なんでバレたんだろ?
いくら態度が男っぽかったとしても、体は女なんだからそんなことあり得ない!
いつから気づいてた?
「僕に隠し事は出来ないよ?ガーランド♪」
…orz終わった…。
もうコイツと一緒に旅は出来ない。
まさか読心術が使えるとは…これならアリスと一緒の方がまだましだ。
涙も一瞬で乾いちゃったよ。
やっぱり独りで行くことにする。
いちいち心読まれてたら信頼関係なんて築けるはずがない。
そしてさぁ、今更ながら気づいたことがあるの。
それは今私が着ている服。
黒を基調とした…これで判った人もいるはず。
ゴスロリですょ。
風呂からあがるときアリスから逃げることに必死で、用意されてたものを何も考えずにそのまま着ちゃったんだよね…(ツッコミ不要)。
とにかく無理なものは無理だ。ここは素直に拒否っといた方が無難だろう。
「無理。やっぱりアナタと一緒にいたくない。私一人で行くから」
「どうして?女の子の一人旅は危ないよ♪」
「(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)」
とりあえず69発殴ろう。
主に頭部。
上手くいけば記憶喪失にさせることができるかもしれないし、こんな変態死んだって構わないじゃないか。
むしろ私の秘密を知っている者は消してしまえ。
ジェノサ〜イド!!
てかお前さっき私が助け求めてるの知ってて無視したのか!
極刑だ…頭の皮を剥がしてやる…。
そんな私の考えを読んだのか、それとも私の形相がそれほど凄まじかったのか、雷憧はひきつった笑いを浮かべて逃げてった。
これで邪魔はいなくなったな。
…!
物凄く疲れたけどいかなきゃ。
ここにいるとマズい。
非常に。
だってすぐそこの部屋の扉が少し開いてて、顔を赤くした赤髪の猫耳女がこちらの様子を窺っていることに今気づいてしまったんだもの。
…あなたいったい何者なんですか。
今の会話で私の正体判ったでしょう。
つまりアレか。
男でも女でもイケるってやつか。
両刀使えるわけですか。
その上猫耳ですか…。
いかん、また心をやられる前に先手を打たなければ。
私は少し開いた扉に向かって、今私に出来うる最も可愛い(と思われる)太陽の如く全てを照らし出して人々を無条件で幸福の絶頂へと導くかのような笑顔を解き放った!
アリスの顔が爆発した!
862のダメージ!
アリスは倒れた!
ベルニカはアリスをやっつけた!
10500の経験値を手に入れた。
ベルニカはレベルが上がった!
賢さ+31、かっこよさ+29、プライド-99、0ゴールドを手に入れた…。
だいぶ更新が遅れてしまいました。
申し訳ございません。
まだ調子が戻りません。最初の頃のようにほぼ毎日更新できるようになる日は来ますかねぇ・・・・




