できるかな?
ちゅうの命をかけた脱出劇。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!
着々と張り巡らされていく罠。
複数の気配と話声。
背中を伝う冷や汗。
初めましてこんにちはー。
絶賛逃走中のネ●ミのチュウです。
オレは今、流行りのアトラクションに遊びに来ている。
朝から夕方まで、張り巡らされた罠を避け、伝説の天犬のご馳走を横取りするゲームだ。
決まり事は3つ。
①天犬のご馳走を横取りする。
②必ず痕跡を残す。
③夕方5時までには脱出する。
オレにとっては、楽勝なゲームのはずだった。
そう。このゲームのラスボスが現れるまでは。
天犬は、老いからか、プレイヤーの気配を察知しても、どっしりと構えて動かない。
ご馳走を全て食べきってしまう日もあれば、側で守る様に眠りにつく日もある。
ご馳走のチャンスは2回。
朝と夕方だ。
オレは朝からどきどきしながら、天犬の側で見ていたが、朝は、全て食べられた。後は、夕方だ。
時々こちらを見る天犬にヒヤヒヤしながら、アトラクションの中を鬼達に見つからないように動いた。
数々の罠が張り巡らされているが、この1ヶ月更新がない。
ほぼ毎日来ているオレとしては、目をつむっていても避けられる罠だ。
そうこうしているうちに夕方になり、アトラクションのバックミュージックが変化した。
そろそろ帰らなければいけない時間だ。
その時、2回目のチャンスがきた。
天犬が少しご馳走を残し、その側で眠りにつく。
あと少しで横取りできるところで、そいつは現れた。
ヤツと目があった瞬間、こいつはヤバイ、殺戮者の、バーサーカーの眼差しだ、と咄嗟に判断しオレは、踵を返した。
その後ろ、ちょうどオレがいた位置に降り下ろされる鈍器。
あれはヤバイヤツだ。
当たったら脳震盪では済まれないかもしれない。
それからは、正に地獄の始まりだった。
次々と張り巡らされていく新しい罠。
隠れた所に突如当てられる閃光。
バックミュージックも戦闘的なものに変わり、辺りは異様な雰囲気に包まれた。
そして、最初に戻る。
冷や汗を流しながら、オレはタイミングをはかっていた。ラスボスとにらみあって3時間。そろそろヤツもルーチンの動きをするはずだ。 そう思いながら待ち続け、とうとうチャンスは訪れた。
ボスが手下にオレの見張りを言い付け、動きだす。
様々に張り巡らされた罠。できるかな?オレ、無事に生還することができるかな?
タイミングをはかって、息を整える。そろそろ動こう。家には兄弟達も待っている。生きて。 生きて帰らねば。
走りだしたオレ。
鈍器を持って襲いかかる手下。
目の前に新たな罠。
逃げ道はここしかない。
足元にはオレを捕まえようとする、幅広いトリモチ。
一方通行のトンネルの中にも、やはりトリモチ。
トンネルの高さはオレの身長の約3倍。
できるかな?
やれるかな?
そして。オレは、神話になった。
とぅびーこんてにゅー
逃げ切りました。