好奇心からだ
レイヴンに手を引かれながら私は城の廊下を現在歩いていた。
赤い絨毯の敷かれた廊下を歩いていき、階段を上っていく。
なんでも特殊能力を見抜ける力を持つ人がいるらしい。
その人のとこに連れて行って、私の能力を見てもらうそうだ。
「すべての杖が発動しないのは流石におかしいからな」
レイヴンが真剣な表情でそう告げる。
杖を振っても魔法が発動しないのはおかしいらしい。
それが私の特殊能力に起因しているようだ。
でもそうなってしまうと、
「特殊能力がある限り私は魔法が使えないのかな?」
「一応は特殊能力を抑える道具もあるからそれで押さえれば魔法が使えるかもしれない」
「そうなんだ、よかった」
「……ミキはそんなに魔法が使いたいのか?」
そこでレイヴンが不安そうな声音で私に聞いてくる。
どうしてだろうと思っているとレイヴンが、
「やっぱり歴代“聖女”のように、俺を置いていこうとするのか……」
「そ、そんな事はないよ。少しは冒険してみたい気持ちにはなるけれど、でもやっぱり異世界だし、私達の世界とは違うから興味があるだけで、それ以上の意味はないから」
「そうなのか。よし、だったらこれからこの世界の色々な場所に案内するよ」
「! 本当ですか!?」
私はそれを聞いて楽しみになってしまう。
確かに冒険にも憧れるが、それは今とは違う場所を見てみたいという好奇心からだ。
まだ知らない世界を見たみたいのだ。
そう思っているとそこである部屋の前でレイヴンは止まる。
そしてドアを二回ほど叩き、
「ミスさん、いますか? ミキの特殊能力を見てほしいのですが」
「いいですよ~、入ってください」
そう、男性か女性か分からない声がしたのだった。
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