魔法の杖
レイヴンに連れられて私がやって来たのは、お城の庭の一角にある、広場のような場所だった。
途中、見たことも無い綺麗な花が咲いていてつい私は目で追ってしまう。と、
「ミキは花が好きなのか?」
「そ、それはまあ。私が知らないようなきれいな花が沢山咲いていたから」
「では、後で案内する。ミキが喜んでくれることは何でもしたいんだ」
そう言ってレイヴンが私に微笑んだ。
美形な男性の微笑み。
その眩しさに私は、つい顔をそむけてしまう。
直視するのが辛くなるような好意の、美形の笑顔。
胸の鼓動が早くなって収まらない。
どうしろって言うんだろう、そう私が思っていると、レイヴンの部下の一人が何やら可愛らしい杖を持ってきた。
宝石やら花やらが飾られたもの。
女の子っぽいと言えば女の子っぽいが、これは……と私が思っていると、その杖を私に渡してきたのでとりあえず受け取った。
そこでレイヴンが、
「これはふるだけで、町一つが炎に包まれるという伝説の杖……」
「ひいっ! い、要りません」
「……の、レプリカだ。なんでも4代ほど前の“聖女”が見かけが可愛いからと言って作ったものであるらしい」
「え、えっとだとするとこの杖はどの程度の魔法が?」
「そうだな、俺の身長の半分くらい、それくらいの大きさの炎の塊が出るくらいかな」
「それでも危ないのでは」
「だからこういった場所でやるんだ。早速振ってみてくれ。古いものだから壊れていたら他の杖を渡すから」
と、言われたので私は杖を恐る恐る横に振ったのだった。
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