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綾香 帰国

たくさんのお土産を心の中とカバンに詰めて、帰国の途に就きます。

 七日目(火)やっぱり雲一つない快晴


朝六時に起きて、海岸に日の出を観に行く。

海のどの辺りから太陽が昇って来るか智樹と賭けをする。水平線のすぐ上に薄くかかっている紫色の雲の中からオレンジの太陽が出て来るのが見えた時は、感動した。

海からの日の出と智樹とをカメラに収める。薄暗い夜明けの中、智樹の姿が逆光を浴びて銀色の海の中に黒く浮かび上がる。智樹の手が自然に空に伸びた。朝の神聖な空気が二人の身体の中を一杯に満たした。


波打ち際の固く締まった粒の細かい砂の上に裸足の足型を残して、写真に収める。

オーストラリアの大地に私たちの足跡を残して行こう。


明るくなってくると地元の人たちも海岸の散歩に出てくる。

同じように浜辺を歩いている人と、「グッモーニン。」と挨拶を交わす。

大きな黒い犬が女の子と一緒に歩いていた。

智樹はカメラをビデオモードにして、打ち寄せる波を撮影していた。


ホテルの部屋に帰り、ベランダで朝食をとる。

スーパーで、ジャパニーズ味噌汁と書いて売っていた赤だしの味噌汁を飲んでみると・・・。

なんとも変わった味。日本の事を誤解されないだろうか?

オートラリア、最後まで楽しませてくれる。


朝食の後、カバンの中の荷物の整理をもう一度する。

飛行機の荷物の重量制限や液体の物の扱いもあるので、念入りにチェックした。

智樹は出国手続きの資料を真剣に読んでいた。


オーストラリアの街中では、トヨ〇、ホ〇ダ、ミツ〇シの車を見た。バイクは、カ〇サキの店があった。

食品売り場ではネ〇スルが目立った。テレビでフジ〇ーのエアコンのCМをしていた。日本の企業はがんばって世界進出をしている。

日本人英語もよく通じた。聞き取りもまずまず。後はとっさの返事が単語になってしまうので、出来たら短文が話せるといいなと思う。難しい単語を覚える前に返答の短文力をつけるべきなのではないだろうか。これは、新谷先生に進言だね。

そして、挨拶やお礼の言葉のバリエーションがもっとあった方がいいと思った。サンキューばかりでは心情が表せない。


最後のお迎えのバスは、私達を免税店に連れて行ってくれた。

フェ〇ガモ、グ〇チ、コ〇チ等々私でも名前は聞いたことがある店が集まっている。しかし買い物をしたことがない店ばかりだ。高級なトイレだけ使わせてもらって、外の免税店に行く。

智樹の使っている財布がボロボロなので、記念に革の財布を買うことにする。カンガルーの皮の財布が三十%オフで安く手に入った。やったねっ!

これで現金を消化した。


空港に行って、ラーメンと稲荷寿司とビールでお昼ご飯にする。

ギターを持ってカントリーミュージックを演奏しているグループがいた。彼らはカーボーイハットを被って演奏しながら歩いていたのだが、同じカーボーイハットを被っている智樹を見つけて、「お前は俺たちの仲間じゃないか」と言って、肩を組んで一緒に写真を撮ってくれた。

なんとカーボーイハットの恩恵がこんなところにあるとは・・。


出国手続きはスムーズに出来た。

ペンタス航空の飛行機に乗り込むと、来た時とは違って中央席はガラガラだった。私達はゆったりと座席を使って快適な空の旅だ。機長さんはなんと女性だった。凄いっ。

ケアンズを12時45分に飛び立って直ぐに海の中にグレートバリアリーフが見えて来た。透明度が高いので、綺麗にサンゴ礁が見える。今回グレートバリアリーフにはいかなかったので、空の上から思わぬ観光が出来た。

後から写真を現像してみたら飛行機の翼の下に綺麗にサンゴ礁が写っていた。


機内では昨日の毎〇新聞が配られた。こんなに隅々まで新聞を読んだのは何年ぶりだろう。テレビ欄を見て、いつも智樹と一緒に見ていたアニメを見逃したことを知る。これで智樹はしばらく落ち込んでいた。帰って絵美ちゃんか麻巳子に録画していなかったか聞いてみなければならない。

一気に日常生活が押し寄せてくる気がする。


窓の外を見ると、シュークリームのような雲がぷかぷか海の上に浮かんでいる。

雲の影が穏やかな海の上に写っている。面白い。空の上から広い海を俯瞰して見ていると地球が丸いのがよくわかる。人間の日々の悩みなど小さなものなのだろうなぁ。


機内で出た昼食は、野菜サラダ胡麻醤油ドレッシングがけ、イタリア風ビーフポテトと南瓜添え、そしてなんと嬉しいことにア〇ヒのド〇イビールがあった。その後リフレッシュメントとして、焼きうどんが出たり果物もでた。帰りは豪華である。


海の上の雲の山脈などを見ながら真昼の機上を楽しんでいるうちに、日本列島の島影が見えて来た。

何日も離れていたわけではないのに、胸が締め付けられるほど懐かしい。九州の方から入って本州に沿って東に向かっていく、中阪の近くから降下態勢に入ると雲の下は真っ赤な夕焼けだった。

藍色に染まりかけた上空を小さく金色の光の帯を吐きながら他の飛行機が遠くどこまでも登っていくのが見える。今日も誰かがどこかへ飛んでいくのだろう。


キーンという音が徐々に重たい音になっていき、身体にドスンという衝撃を感じた時、関南国際空港に着いていた。19:15定時の着陸だった。

おかえりなさい。良い旅だったようですね。

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