綾香 今日はケアンズへお出かけ 3ー2
ケアンズには日本人がたくさんいました。
三日目の続き
ショッピングセンターから歩いてラグーンプールに向かう。
通りの店で、一軒賑やかなお店があった。アイスクリーム屋さんだ。そこの親父さんは通りを歩く人すべての人に楽しそうに声を掛けている。もちろん私達もその口で、誘い込まれてお試しのアイスを食べることと相成った。今日もあのおじさんはいろんな人を捕まえてご自慢のアイスを食べさせているのだろうかと日本に帰って想像を馳せるぐらい印象的な人だった。私達はお寿司でお腹が一杯だった為、一つのチョコレートアイスを二人で分け合って食べた。おじさんにそんなに少ししか食べないなんてと心配されたが、「アイム フル。」と言って辛うじて許してもらった。
私達は舗道を歩いていたのだが、バーの中には舗道に机や椅子を沢山出して、営業をしているところも多かった。いかにものんびりとしたお国柄だ。
アイスを食べた後口に、ジュースでも飲もうかと自動販売機を探すがどこにもない。もしかしたらこの国にはないのかもしれないと思いたつ。日本の感覚に慣れていると、喉が渇いた時に見廻すと飲み物の自動販売機は直ぐに見つかる。と思ってしまうが、その常識は世界では非常識なのかもしれないなと思った。
ラグーンプールでは、五、六人の人が泳いでいるだけだった。
今回私たちは泳ぐのが目的ではなく、魚のオブジェをバックに写真を撮るのが目的だ。この魚たちは、巨大な金属の折り紙で四角に熱帯魚を折ったというような形状で、湾の中に棒に挿されて何本も突き立っているのだ。とても絵になる風景だ。真っ青な空と海、そしてこの魚のオブジェ。見たかった景色を見ることが出来て満足した。
エクスプラネード湾岸通りをぶらぶら歩きながらナイト・マーケットまで行く。ここは、雑多な店が集まってできた商店街だ。ここで中国の人がやっているお店に「ソイメン」という焼きそばっぽいメニューがあるのを智樹が発見する。この時の嬉しそうな顔、余程あの酸っぱいパンに閉口していたらしい。
日本の焼きそばより少し油っぽかったけれど、とても美味しくて昼のクルクル寿司に続くヒットだった。
ちょっと早い夕食だが、酒のおつまみを買って帰ればいいや。ということで意見が一致した。
この商店街の中の店で、新婚旅行の記念品を買うことにする。
「何か部屋に飾って置けるものがいいね。」と言って探して歩く。硝子の小物ばかり扱っている店があったので入ってみる。コアラやカンガルーなどかわいい小物がいっぱいあったが、智樹が選んだのはイグアナだった・・・これ? くるりと回った尻尾が折れそうだと懸念を示したが、言う事を聞かない。しょうがないので、イグアナくんがうちの部屋に来ることになった。案の定、買って帰って一週間もしないうちに尻尾が取れた。・・まぁ、このエピソードも含めての新婚旅行だよね。
ケアンズからパームコーブに帰る時は、ミスター・テリーという人が運転手さんだった。この人は陽気な人で、来る時に運転してくれたカーロのこともよく知っているらしく、彼のお店の事なども教えてくれた。
この道をこれから何度も往復することになるのだが、車で走っている時にいつも感心したことがある。交差点の仕様だ。信号がなく、くるくるとターンしながら止まらずに走り続けられるようになっている。日本で言うと高速道路のインターチェンジの縮小バージョンといったところか。それがどの交差点にもあるのだ。
これは、交通量が少ないからできることなのか、土地がいくらでも広く使えるというのがあるのか、とにかく便利だなぁと思った。
ホテルに帰って、夕焼けが綺麗だったので前の海岸へ散歩に行く。海が落ち着いた薄紫に染まっている。空と海が出会う地平線は柔らかなグレーだ。空に向かってオレンジ、ピンク、クリーム色、薄紫、ブルーとグラデーションが素晴らしい。沈みゆく太陽の最後の微かな光と打ち寄せる波の音。どこまでも静かだ。
声も出ない風景だった。
散歩の後、買ってきたお惣菜とチーズクラッカーなどで酒盛りをする。ビールは、これが美味しいよねと前回の試飲会で確認し合った三種類の銘柄をまた仕入れて来ていたので、それを飲む。今日はワインも一緒にちゃんぽんだ。この飲み合わせが結構堪えた。日が完全に落ちてまた散歩に行ったのだが、ここで麻巳子から借りて来ていた軽くて優れもののカメラカバーを酔っ払いの智樹が落としてしまい、二人で夜の海岸を大捜索した。やっとそれが見つかった時には、ホッとした。
それで時間を食ったので、今日はジャグジーは少なめのお湯を溜めるだけにして足湯にした。それでも歩き廻った一日の疲れが取れた。硝子張りのシャワー室は恥ずかしいが、まぁ新婚旅行なので何を今更というところだろう。ひそやかな虫の鳴き声と共に三日目の夜は更けていく。
落としどころを知っている智樹くん。明日はどんな日になるのでしょうか。