綾香 パームコーブ 2ー2
次はどこに行くのでしょう。
二日目 プールの後で
せっかくパームコーブに来ているのだから、砂浜を歩きに行こう。という話になった。
ロビーを出て道を渡ると、もう砂浜だ。白い波が長く続く海岸に幾重にも打ち寄せている。海の向こうにひょっこりひょ〇たん島のような形をした島がすぐ近くに見える。高校の時の音楽の先生がヤシの実の歌を作った作詞家の知り合いで、自慢げに話してくれたことを思い出す。ヤシの実があちこちに流れ着いてこういう風景になったのだろうか? 日本の松林の代わりにヤシの木立がどこまでも続いている。
遠くに海に突き出た桟橋が見えたので、そっちのほうにぶらぶらと歩いて行く。
桟橋の突端の方は、少し潮風が吹いていた。智樹が船の船首で風を受けるように、手を広げてポーズをするので、わき腹をくすぐってやった。
砂浜の方に戻ろうと歩いていると、桟橋の中ほどで、ここパームコーブに来て初めての日本人に会った。若い男の人の二人連れだ。話好きな人らしく、自分たちは東京からの旅行者で、ブリスベンでオーストラリア人の女性と結婚した弟さんを訪ねて来たと言っていた。写真を撮ってあげましょうか?と言ってくれたので、智樹と二人腕を組んでポーズをとる。この時撮ってもらった二枚の写真が唯一の二人で並んで撮った写真になった。いい人と出会えて良かった。
砂浜で、現地のアボリジニと思われる男の子の兄弟が、ナイフで魚をさばいて遊んでいた。なんとも器用にさばくので、智樹と一緒に話しかける。プールで話した白人の女の子より英語が通じた。やったー。なんか嬉しい。
その後、パームコーブのメインストリートであるウイリアムズ・エクスプラネードを歩いてお酒を買いに行くことにする。スーパーマーケットにはお酒を置いていなかったのだ。
これが大変だった。行けども行けども酒屋がない。地元の人に、「ホェアー イズ ザ ボトルショップ?」と尋ねると、私たちが持っている地図に印をつけてくれた。
地図上では近く見えたが、行ってみるとパームコーブの村の端っこで、自動車で来るような距離だった。
「これは毎日買いに来れる距離じゃないね。リュックを持ってきておいて良かったー。」と智樹はここぞとばかりに缶ビールを選ぶ。
どのビールがおいしいのかわからないので、三本ずつ五種類のビールを買ってみることにする。ここでは、カードで支払う。伝票にサインをするのが外国っぽい。
帰りに、来る途中にチェックしていたファストフードの店で、夕食を買うことにする。
私が考え込んでいるので、売り子のお姉さんは英語が通じなかったのかともう一度しゃべろうとしたが、手を出して止める。聞き取れているけど、英作文をしていたのだ。もう、単語でいいや。「ディス フィッシュアンドチップス ツゥー アンド ディス ピッツァ ワン プリーズ」と単語と身振りのプアーイングリッシュだ。これで通じるのだから今後はこの方式でいくことにする。ここはカードが使えなそうだったので、智樹が現金で払ってくれた。おつりのコインが珍しい。智樹はさすがに社会科の先生らしく紙幣やコインに描いてある物について蘊蓄を語っていた。
部屋に帰るとまたベランダに出て夕食タイムだ。
今日は買ってきたビールがあるので二人ともご機嫌だ。フィッシュアンドチップスもまだほんのり温かい。
フライドポテトが大量にある。ピザも食べてみたがビミョーな味で、白身魚のフライとポテトの方がましだった。こっちを二セットにしてよかった。
いろんなことを話しながらビールを飲んでいると、外が段々暗くなってきた。スタッフがプールサイドの篝火に一つ一つ火を灯していくのが見える。あちこちで火が燃え始めると、一気に幻想的な風景になる。遠くに波が打ち寄せる音の他は何も無いシンとしたな暗闇の庭に、篝火が静かに燃えている。
私と智樹も暫く口を閉じてその景色を眺めていた。
ゆっくりと長い時間をかけて食べた夕食の後は、楽しみにしていたジャグジーバスだ。これが良かった。やっぱり日本人はお風呂だよねー。水着を着て温かい泡風呂に入り、外の篝火を眺める。うーん、マーベラス。歩き疲れた足や身体がほぐれていく。
ところで、この日は水着を着てジャグジーに入ったが、部屋の電気を消して入れば見えないという智樹の主張により、次の日からは裸で入ることになったというのは余談である。
お風呂の後は、ベッドに寝転んで二人でテレビを観る。
なんとゴ〇ラの特集をやっていた。某レモン飲料のキャラクターのアニメも観たし日本人には理解できない忍者のアニメもあった。智樹も知らないのだ、こちらで作られたものなのだろう。
二日目も充実した一日だった。
明日は何をしようかなー。
のんびりとした旅のようですね。