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1話

宜しくお願いします

 おっす、おら東雲 迅(しののめ じん)身長170㎝の高校3年生。

 最近の悩みは、友達が居ないから会話で自然な自己紹介ができないことだ。

Q.さて問題です。俺は今、何処にいるでしょーか?

A.廃ビルの屋上でしたー。



 何故、俺が今こんな所に居るのかと言うと、そこにはたいして深くもない、むしろ浅い理由がある。

自殺をするためだ。

え?なんで自殺をするのかって?

 理由なんかない。死にたいから死ぬだけだ。悪いか。悪いな。

 だが人様に迷惑をあんまり掛けないよう、もう警察に『俺死にます電話』もしたし、わざわざ死に場所に廃ビルを選んだ。

 わぁ、死んでまで人に迷惑掛けない俺って超気遣いできる子。

 さぁ、飛び立とう、あの空へ。

 いや飛んじゃったらまずいだろ、死ねないし。



 こうして、俺の17年という短い生涯は幕を閉じた。



















筈だった。









 剣と魔法の世界、アルコン

 ここは、人が想像する、ありとあらゆるファンタジックな要素を詰め込んだような世界。

 そこに、小さく、世界を揺るがすわけでもない、冴えない1人の男が迷い込んだ。



「...ん?俺、生きてんのか?...マジか、自殺失敗かよ。なら警察来る前にさっさと逃げないと。いやービルから飛び降りても意外と平気なもんだなー。HAHAHA」

「...うん、現実逃避はやめるか。...にしても、ここは何処だ?森?俺が居たのは廃ビルだったんだが...誰か出てきてくれませんかねー?このままじゃ俺のセリフが多すぎて読者が離れちゃうんですけどー」



 グルルルル...

 その時、どこからか獣の唸り声のようなものが聞こえてきた。

 というか、目の前から聞こえてきた。

「あ、ごめんなさい。そういうのはちょっとお呼びじゃないです」

 そんな俺の呼びかけも虚しく、オレンジ色の狼を大きくしたような、見るからに俺とお友達になってはくれなそうな獣が、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。

 あ、これアカンやつや。怖いよ、ママン。

 俺は、後ろを向いて猛ダッシュした。

 獣から逃げる時は、背中を見せてはいけない、と何かの本に書いてあった気がしたけど、無理だと思う。だって人間だもの。by相田みつを



 狼は、当然俺を追いかけて来るものだと思っていたが、そんな気配も音もしない。

 不思議に思って振り返ると、厳ついおっさんが戦ってた。

 おぉ、すげぇ。あの狼俺の腰くらいあるのに、軽々と捌いてやがる。

 そして、おっさんの剣が狼の首を斬りつけた。

 狼が倒れた。うわ、血がすげぇ出てる。なんかピクピクしてる。あ、死んだ。

「大丈夫だったか?少年」

 おっさんが近づいて来て、ニカッと笑いながら言った。

 てか近づかれて分かったけどおっさんすげぇでかいのな。

 185くらいあるのかしら。



「あ、はい。大丈夫です」

「そうか、なら良いんだ。だがどうしてこんな森にいたんだ?ここの動物は皆獰猛だからむやみに入るなと親に教わらなかったのか?」

 マジかよ。ここそんな危ないところだったのかよ。

 おっさんみたいな説明キャラがいてくれて良かった。感謝感謝。



「まぁ良い。取り敢えず俺が街まで送ってやろう」

「良いんですか?ありがとうございます

 ちょっとおっさん良い人過ぎない?いつか詐欺に遭いそうで俺心配。









◇◆◇



 アクロイド王国、城門前



「さあ、着いたぞ」

「お世話になりました」

「気にすんな、困った時はお互いさまだ。もう森には入るんじゃないぞ。じゃあな」

 そう言って、おっさん改めブリントさんは森へと帰って行った。

 なにあの人イケメンすぎなんですけど。惚れちゃう。

 さあ、この城門をくぐれば、俺の物語の始まりだ。



「ちょっと君、勝手に入らないでね?身分証明書とかある?」



 俺の物語(笑)、開始2秒で行き詰まりです。


















 そのあと、森で襲われて失くしたとか色々理由をつけて見逃してもらいました。ちょろいね。



 この街はいかにも異世界という感じで、メインストリートはさながら雑多な市のようになっていた。

「いらっしゃい!うちの焼き鳥は絶品だよ!」

 ブリントさんと会話して確信したが、やはりここは異世界らしい。

 なんだよ異世界って。ラノベの中なら大歓迎だが、実際に起こると恐怖しか沸かねえよ。

 特にブリントさんとの新しい扉を開けそうな恐怖とか。

「おい兄ちゃん。ちょっと金目のもん置いてけや」

 大体なんで俺が異世界なんか来なきゃならんのだ。

 トラックに轢かれたわけでもなければ、幼馴染みも守ってねえよ。

 むしろブリントさんに守られたよ。

「...おい、聞いてんのか?」

 可愛い女神さまも出て来ないし。

 このままじゃ俺、ブリントさんルートに一直線だよ。どう責任とってくれんだよ。

「ッ!無視してんじゃねえよコラァ!」

 ?あ、俺に話しかけてたの?

 話しかけられたことあんまりないから俺じゃないと思ってたわ。



「金目の物と言われても特にありませんが...」

「そうか。なら死ね」

「えっ」

 唐突なバイオレンス



 ビュン と、懐から取り出されたナイフが風を切る音がする。

 だが、そのナイフが俺を切ることはなかった。

感想でこんな展開どうですか?と、気軽に書いて下さい。取り入れるかもしれません。

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