第10話 転生者と勘違いと少女達の怒り
アテナサイド
刹那さんが咲夜さんの両親達に心を開きかけたその時、突然部屋に金髪でオッドアイの少女が入って来て咲夜さん達に駆け寄って来ました。私は彼女を見た瞬間、転生者と分かりました。
実は転生者は普通の人間と気配が違うのです。彼女からは咲夜さん達と同じ気配がしたのですぐに分かりました。
すると彼女は目の前にいた刹那さんに罵倒の言葉を浴びせ、突き飛ばしました。その瞬間、私とカグヤさんはアウトロール状態になり、刹那さんに駆け寄りました。
刹那さんは目を虚ろにし、膝を抱えて怖いとひたすらに連呼しています。
そんな彼を私とカグヤさんは抱き締めながら、転生者である少女を睨み付けました。
アテナサイド終了
咲夜サイド
私達が話していたその時、ドアが突然開き金髪の少女が入って来た。
またアイツが来たわ。 あの金髪の子の名前は[帝野 蓮花]。
帝野社って言うこの世界では有名なゲーム企業でこの日本だけでなく、世界中でゲームを販売し、世界ナンバーワンのゲーム企業のご令嬢にしてもう一人の転生者(百合)よ。
そして彼女は刹那を突き飛ばしながらこちらに駆け寄って来たわ。その瞬間、私とエミリーは刹那に駆け寄ろうとしたけど、蓮花が邪魔して通れなかった。
「咲夜さん!エミリーさん!御無事で何よりですわ!」
「うるさい!良いからどきなさい!刹那の所に行かせなさいよ!」
「そうだよ!どいて!蓮花ちゃん!」
「エミリーさん!声が出るようになりましたのね!きっと私との愛の力ですわ!」
ダメだ。コイツ人の話聞いてねぇ。ついに堪忍袋の緒が切れた私とエミリーは蓮花を突き飛ばし、刹那の所へ駆け寄った。刹那は膝を抱えながらアテナ達に抱き締められていた。
酷い・・・・こんなに目を虚ろにして。私達は蓮花が許せなかった。そして私達に突き飛ばされた蓮花はビックリした顔で此方を見た。目線は私とエミリーではなくアテナ達だった。そしてアテナとカグヤの前に来て、
「あなた達、御名前は?」
と微笑みながら名前を聞いて来た。刹那なんてまるで視界に入ってないような態度にアテナ達は一層彼女を睨み付け、
「あなたに名乗る名前なんてありません。さっさと私達の視界から消えて下さい。八つ裂きにしますよ。」
「アテナの言う通りだ。これ以上その口を開くな、そして二度と私達の前に現れるな。」
と完璧に蓮花を敵視している。それにしてもカグヤ、性格変わってない?これが昨日言ってたカグヤの前世でのキャラ作りってやつなのかしら。そう思いながら私とエミリーも蓮花に言葉を掛ける。
「アンタ刹那に謝りなさいよ!それともう私達に近寄らないで。アンタといると本当に不愉快なのよ。」
「そうだよ!刹那君に謝って!」
そんな私達の言葉を聞き、蓮花は刹那を思いっきり睨み付け、
「アナタ、彼女達に何をしましたの!?」
と刹那に近寄って来た。あぁ・・・・やっぱりコイツにはまともに男の事の話を聞く気なんて無いのね。
私達は刹那を取り囲む様にし、蓮花から守ろうとしたが、蓮花が此方に手を向けた瞬間、アテナ達の腕の中から、刹那が消えた。そして、何故か刹那が彼女の足元に出現し、彼女に蹴られて窓の外に落ちていった。
マズい!刹那でもこの高さじゃ!助けに行こうとした時、私達のいる部屋が突然薄い膜のような物に覆われた。そして蓮花は首に下げていたネックレスを握りしめ、
「行きますわよ。ノインさん。」
と言いながら光に包まれ、バトルコートを装着し、腰に金色の剣を付けた蓮花が立っていた。そして此方を向いて微笑みながら言った。
「それは結界ですわ。あなた達はしばらくそこに居て貰いますわよ。ご安心なさい。あなた達を脅したあの輩は私が処理しますわ。」
そう言いながら彼女は窓から飛び降りて行った。このままでは刹那が死んでしまう!そんな事私達には許せなかった。だが、彼女はレベル10のマジシャン、私達はそんな魔力の結界を破る術も無く、只窓から彼を見守る事しか出来なかった。
咲夜サイド終了