第8話 夢と炎と謎の少女
刹那サイド
夢を見ていた。そこには紅が広がっていた。前世で見ていた赤ではなく、穢れの無い美しい紅の炎が何処までも果てしなく広がっていた。
そしてそこに俺は立っていた。周りは只々紅が有るだけだ。
「何だ・・・・此処は・・・・?」
俺は混乱した。先程まで倉庫にいた筈なのに気がついたら此処にいたのだ。
思わず俺は自分の頬をつねった。痛くない。この時俺はこれが夢だと分かった。
未だに炎は燃え盛り続けている。だが、俺はこの炎が不思議と嫌では無かった。熱さを感じない上に、落ち着くのだ。そんな中俺は一つ気付いた。目の前の炎の先に人影が有るのだ。
それを見た俺は人影に向かって歩き出していた。何故だかは分からない。でも、行かなければならない。そんな気がして止まなかった。
そして近づいて行く毎に人影の正体が明らかになって行く。やがて俺は人影だった者の正体を見た。
そこには俺と同じ位の背をした女の子が立っていた。その子は紅い髪に紅い目をしていた。だが、俺みたいな血のような色の目では無くとても綺麗に透き通るような深紅の目をしていた。
俺はそんな彼女の目に見惚れてしまっていた。自分の目の色と同じでもこんなに違うのかと俺は思った。そして彼女は俺を見て近づいて来た。そして俺の目の前に立ち、俺の顔を見てくる。
そして俺にこう言った。
「ふーん・・・・アンタが私の新しい使い手かぁ・・・・。」
俺は耳を疑った。この子は今なんて言った?使い手?意味が分からない。
「新しい使い手って何なんだ?それにお前は・・・。」
質問をしようとした時、いきなり周りが揺れだしだ。そして空間に罅が入り割れだした。それと同時に俺は意識が遠のいて行く感覚に襲われた。
「あーぁ、もう時間切れかー。アンタの質問には今度答えてあげる。夢の中でならまたあえるからさ。さっさと早く私をここから出しなさいよね!窮屈でたまらないのよ此処。待ってるから。」
「待ってくれ!俺はまだ・・・・!」
最後に見えたのは楽しそうに俺を見る少女と壊れて行く空間だった。そして此処で俺の目の前は真っ白になった。
「ッ・・・・ハッ!」
そして俺は目を覚ました。何だったのだろうか今の夢は。そう思いながら俺は寝たままになっていた上体を起こした。
「またこのパターンかよ・・・・。」
俺はふたたび何処かも分からない部屋にいた。