第7話 刹那と少女と救いの涙
エミリーサイド
私が男の人に引っ張られて止めようとした咲夜ちゃんがぶたれちゃった。私のせいで・・・・。叫んで名前を呼びたいけど私は昔のトラウマのせいで声が出せない。そして男の人が咲夜ちゃんに手を伸ばした瞬間、男の人が突然白い光に吹き飛ばされた。光に見えたそれは、白い髪をしてとても赤い目をした子だった。そしてその子は咲夜ちゃんに何かを言いながら頭を撫でた。咲夜ちゃん、何で顔赤いの?そして咲夜ちゃんは気を失った。咲夜ちゃんを壁に寄りかからせた後白い髪の子はこっちを見た。私は何とも無いのに、突然私の腕を掴んでいる男の人が倒れた。何で?そして白い髪の子は私の所へ来て
「大丈夫か?今のうちにあの子を連れて逃げるぞ。」
そう言って私の手を掴み、咲夜ちゃんを担ぎ上げた。この子私達と大して変わらないのに何でこんな力持ちなの!?そして私達は倉庫から出ようとしたその時、
「おっと!これ以上は行かさないぜ。ヘッヘッヘ。」
さっきの男の人達の仲間らしき人が外にいてこちらに黒い塊を向けて・・・・ってあれ銃!?私がパニックになっていると白い髪の子が私を放して咲夜ちゃんを預けてきた。そして、
「少し待ってろ・・・・すぐに終わらせる。」
そう言って私達の前に出た。背は私達より少し低い位なのにその背中はとても頼もしく、そして大きく見えた。そして何よりその背中を見た私は何故かドキドキが止まらなく顔が熱かった。こんな事前世でも無かったよ~!
エミリーサイド終了
刹那サイド
俺は今、誘拐犯らしき銃を向けた男と対峙している。さっきは人の視線や何もかもが嫌になっていたのに後ろの女の子達が誘拐されるのを見て、気づいた時には体が女の子達を乗せた車を追っていた。このチートスペックのおかげで体力が切れることなく誘拐犯を追うことができた。そしてバトルコートを装置し、誘拐犯の一人を殴りつけた。この時初めて人はあんなにも飛ぶのだと知った。きっとライト兄弟もびっくりだろう。その後ぶたれていた女の子に近寄って大丈夫と言葉を掛け、頭を撫でてやった。実はカグヤに前世で一回だけ撫でてもらったことがあり、凄く落ち着いたのだ。だから真似してやったら女の子は顔を赤くして気を失ってしまった。俺、何か間違ったかな?とりあえず女の子の女の子の一人を壁に預け、もう一人の女の子の方に目を向けた。そして女の子の手を掴んでいた男にピンポイントで殺気を飛ばしたら、すぐに気絶した。もしかしてコイツら弱いのか?その癖に誘拐かよ。そう思いながら先程の女の子を担ぎ上げ、もう一人の女の子の手を掴んで倉庫の外へ走り出した。だがそこには仲間の最後の一人らしき奴が銃を向けて立っていた。この子達は助けないとな。そう思いながら担いでいる女の子をもう一人に預け、前に出た。って言うか何で六歳児がこんな事しているんだろうか・・・・。何で俺がいろんな人から敵対するような目で見られたりしなくちゃいけないんだ・・・・、何かイライラしてきたなぁ。よし、あの男は叩きのめそう。八つ当たりの対象になってもらおうか。俺だって我慢したんだ・・・・だから・・・・ベツニイイヨネェ?何故か右腰の時と左腰のナイフが震えていた・・・・。ッハ!いかん!思わず我を忘れていた。そうだ、八つ当たりは良くない。たとえ相手が犯罪者であってもだ。だから我慢だ我慢。そう思っている中、男が笑いながら
「コイツらさっさと殺しておさらばするか。別にこのガキを殺してもまたどっかで攫えば金が入るからな!ヒャッヒャッヒャ!」
前言撤回。コイツハブチコロス・・・・。俺はそこから一瞬で相手の懐に入り、リボルバー形態のカグヤを相手の腹にめり込ませ、撃った。流石に殺しはしたく無いので非殺傷に設定してある。だからいくらやっても死にはしないのだ。そう、イクラヤッテモネ・・・・。俺は腹を押さえ倒れ込んだ屑野郎の腕を踏み、手から放した銃を蹴飛ばした。その銃は綺麗に弧を描き、海の藻屑となった。そして俺は屑野郎への制裁を再開する。まずはコイツの四肢に向けて銃を撃ち込む。どうやら全ての骨が折れたようだ。屑野郎は動けなくて苦しんでいる。
「止めてくれ!頼む!自首もする!お前等も殺さない!だから助けてくれぇ!」
俺はこの屑野郎に心底呆れた。そしてカグヤをしまい、左腰のナイフ形態のアテナを取り出した。そして俺はそのナイフを奴の首に突き立てようとした・・・・。
「待って下さい!いくら非殺傷でもこれ以上は死んでしまいます!」
アテナが何か叫んでいるがどうでもいい。そうだ、殺したくないとか、本当にもう・・・・ドウデモイイ!コイツニハジゴクヲミセテヤラナイトナァ。そう思い、ナイフを振り下ろそうとした瞬間、突然後ろから衝撃が走り、後ろを見ると、先程の女の子二人が俺を後ろから抱き締めていた。
「もう良い!もう良いから・・・・!」
「・・・・!」コクコクコクコク
二人は必死に俺を止めようとしている。
「何で止めるんだ?コイツのやったことは許される事じゃない。命はオモチャじゃないんだ!」
「だからってあなたがやること無いでしょう!」
「俺はこいつが許せないんだ!躊躇いなんて無いし、後悔もしない、邪魔をするな!」
「じゃあ何で泣いているの!」
「え・・・・?」
気がつけば俺は涙を流していた。いくら拭っても止まらない。
「もう止めましょう。私もこの子も大丈夫だから・・・・。後は警察に任せましょう?だからもういいのよ。無理しないで?私達の為にありがとう。」
「・・・・!」コクコクコクコク
二人の女の子は俺を正面に向かわせ抱き締めてきた。二人はとても温かく、前世でも無い温もりだった。でも俺は少し怖く二人に聞いた。
「俺の見た目が怖くないのか?この髪とか目が怖く無いのか?」
俺のその言葉に二人は、
「全然よ?寧ろ白い子犬みたいでかわいいじゃない。」
「・・・・!////。」
二人は俺そう言いながら俺をさっきより強く抱き締める。俺はその温もりに包まれながら泣いた。初めて人に拒絶される事なく、それどころか容姿を初めて誉められたな嬉しくてただただ俺は泣き続け、やがて疲れたのか俺は意識を落とした。
刹那サイド終了
咲夜サイド
現在私とエミリーの腕の中で一人の少年が眠っている。あの後、少年のバトルコートに話しかけられ、
「あなた達は転生者ですね?」
と言われびっくりした。そして私達も自分の情報を渡した。そしてバトルコートのアテナとカグヤから腕の中の少年、冴島刹那の前世を聞いた。アテナ達の話を聞いたとき、私とエミリーは涙が止まらなかった。私とエミリーは前世で15歳で死んでいるが彼は年齢が二桁もも行かないうちに死んでいるのだ。そして駒にさせられた・・・・。だから彼はあの男が許せなかったのだ。腕の中の彼はあんなにも強かったのに今はとても弱々しく、今にも消えてしまいそうに思ってしまう。エミリーも同じのようで刹那の体をしっかり掴んで放さない。そして今私達はアテナに連絡を取ってもらい、斑鳩グループとローズ財団のSPが到着するのを待っている。その間に驚くべき事が起きた。何とエミリーが喋れるようになったのだ。いきなりエミリーが
「・・・・も・・・・い・・・・。私・・・も・・・私も刹那君を助けたい!」
と叫んだのでとても驚いた。原因はあんまり喜ぶ事ではないが、刹那のおかげでエミリーの声が出るようになったのだ。本当にありがとう・・・・。そう思いながら刹那を撫でていると刹那は寝ながら可愛らしい笑みを浮かべ、その表情を見るとドキドキが止まらなくなっていた。そして気づいた。私は・・・・この子に恋をしていると。しかもエミリーやアテナ、カグヤまでもが彼を好きだと言うことがわかった。って言うかこの子フラグ立てすぎでしょ!?恐らく将来はとんでもない子に育つわね・・・・(汗)そう思いながら話しているとアテナがとんでもない一言を繰り出した!
「知ってます?この世界の日本って一夫多妻制何ですよ?」
精神年齢が15を超えた私達はSPが来るまで正妻を決める討論を繰り返していた。そしてSPが到着し、私達は一旦この近くの斑鳩グループの別荘で一夜を過ごすこととなり、刹那をベッドに寝かせようとしたが刹那が私達を放さず、エミリーも刹那を放そうとしないので、とても困った。そしてそんな私達に嫉妬したのかアテナとカグヤが突然人型になり出てきた時は驚いた。だって普通バトルコートは人型にはならないのよ?まあ、私達のバトルコートも人型になれるけど、まさか刹那のバトルコートもそうだとは思わなかったわ。そして4人の転生者のうち3人がここにそろったことになる。実はもう一人は知っているのだけどあまり好きじゃないのよね。実はそいつも私達と同じ大手企業の娘何だけど・・・・とんでもなく百合な子で勘違いが激しいのよね。いつも私とエミリーの所に来て、
「ご機嫌よう咲夜さん、エミリーさん!私達の愛を深め合いましょう!」
とか言ってくるのよね。エミリーも苦手みたいですぐ私の後ろに隠れるんだけどそいつは嫌われている自覚がなく、「ツンデレですわね。」とか言ってくる始末だし。私もエミリーも百合じゃあないっつーの。それに今は好きな相手がいるしね・・・・////。そう思いながら私は未だに手を放さない愛しい少年を見る。この子の寝顔を見るとイライラが段々収まっていく。そして私達は刹那を連れて皆でその夜は雑魚寝した。明日、刹那にちゃんとお礼を言おう。そして沢山話をしよう。そう思いながら私は皆と意識を落とした。