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博士に連れられて、要が向かった先は、研究所に隣接している施設だった。
そこには、たくさんの子どもたちが暮らしている。
博士が言うには、ここに要も暮らすのだそうだ。
要はただただ、博士のあとをついて歩いた。
施設の中は右を見れど子ども。左を見れど子ども。(子どもといえど、その年齢層はおそらく0歳〜20歳まで)
施設は、ホテルや寮を連想させる作りだ。
ぼぅっとそんな子どもたちに目を向けていると、博士が振り向いた。
「要」
自分の新しい名前にまだ慣れていない要は、びくりと肩を揺らす。
「すぐに自分の名前に慣れるさ。肩の力を抜きなさい」
優しく微笑んだ博士を見て、要は素直に深呼吸をした。
「それにキミは、この子たちとは違う…特別な存在なんだから」
そう言って、また要の頭を撫でる。
要は不思議なほど、その微笑みに安堵した。
何も知らず、ただ目覚めたばかりの要。
未知の世界に不安を覚えているのも無理はない。
そんなとき、渡廊下の向こうから数人の白衣を着た研究員たちがやってきた。