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翌日、No.329は他の部屋に移されていた。


幸い事故も死傷者もなく、試作品の捕獲が成功されたらしい。


昨日の大混乱が嘘みたいに、

研究所は落ち着きを取り戻した。


それどころか、ひとりでに動き出した試作品の好評が凄く、研究所内はNo.329の話で持ちきりだ。



「素晴らしいッ」

「成功だッ!!」

「おめでとうございます!‥博士ッ」

「これで博士の研究の成果がー‥」



ベッドの上のNo.329を、囲んで研究員たちが談話する。



その声に気がつき、目を覚ましたNo.329。



だが、No.329の起き上がる素振りはなく、じ…っとただ、頭上で談話する研究員たちの顔を眺め、おもむろに口を開いた。



「ー‥、ど、が……た」



その彼の発言で、その場の空気が一瞬で凍り付く。


もう一度、彼は研究員たちに訴えた。



「のどが…かわいた」



それを聞いた、博士と呼ばれる青年が身体を震わせ彼に抱きつく。


「成功だぁぁぁッ」


その瞬間、研究員たちは歓喜した。凍り付いた空気が一気に熱を持つ。

抱き合って笑い合う姿もあれば、No.329を写真におさめる者もある。



博士は、No.329の唇に水の入ったコップを軽く押し当て、ゆっくり水を与えた。



「キミは私の誇りだッ」


抱き締める力を緩めることなく、博士は歓喜に満ちた瞳で、彼を見つめた。


「キミの名前は今日から"(カナメ)"だ」



彼は、No.329を要と名づけ、我が子を愛でるかのように


ゆっくり要の頭を撫でるのだった。


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