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存在感のある生徒会長に影の薄い放送局長は劣等感を抱きつつも尊敬の気持ちを持っていた

君は目立つ生徒会長

頭脳明晰運動神経抜群

人望だって厚くてお人好しでさ

だけどちょっと変人で頑固で

(要するに面白くて真っ直ぐで)


ああもう分かってるよ

君はすごいんだよ!


君は目立つクラスメート

学祭責任者合唱コンクール指揮者

成績上位者何者だ!

物知りで知識豊富で雑学王で

(あれ?全部同じか)


ああもう知ってるよ

君はすごいんだよ!


昔から君はそうだった

小学校のときから友達だけど

リレーの走者だし

先生からは一目置かれてるし

夏休みのラジオ体操では前で体操してるし

おまけに背も高いし

色んな意味で頭ひとつ飛び抜けてたよ


君と知り合ってもう9年経つのか

色んなことあったなぁ

例えば君の眼鏡を壊したり

例えば君のキーホルダーを壊したり

例えば君の筆箱をお持ち帰りしちゃったり

例えば君の背中を突き飛ばしてみたり

ホントごめん

今思えば君の近くにいることで自分を確かめたかったんだと思うんだ


私は目立たない放送局長

頭だって普通だし運動は出来ないし

人に頼られることは少ない

あんまり優しくも出来ない

優柔不断だしいいとこなんかないよ


ああもう分かってるよ

私は普通だよ


私は目立たないただの女子

学祭はみんなに従うだけ

合唱コンクールでは普通にアルト歌ってた

成績は常に上の下くらい

(でも一度だけ君に認められたくて一桁とった)(君はいつも一位だけど)


ああもう知ってるよ

私はいつもエキストラ


昔から私はそうだった

リレーで走ったことなんかないし

400走は最後から二番目

先生からは存在忘れられるし

夏休みのラジオ体操はさぼりがち

身長だって低いし

色んな意味で埋もれてた


中学校に入ってからはもう話すこともなくなった

それでも君に追いつきたい一心で生徒会に入るために放送局長になった

(一年生のときから生徒会だった君に追いつきたくて)

途中引っ越しもしたけれど転校だけは譲らなかった

一度だけ英語のテストで買ったときは嬉しかった


高校に入ってからはもう会わない

君は進学校

私は自称進学校

同窓会だって行くものか


いつか君の噂を聞いた

君はとても変わってしまったらしい


きっと私は君の影をずっと見てきた

もう一度会ってその影を鮮明にしたくないのかもしれない

ずっと君には私にとっての幻影でいて欲しいのかもしれない


私は君にたくさんのことを学びました

きっと君は私から学ぶことなんてないでしょう

私は君にかなりひどいこともしました

きっと君は私に言いたいこともあるでしょう

私は君を追いかけてきました

でももう君を思い出しません

今までありがとう

勝手に理想像にしてしまってごめんなさい

だけどもう一人で前を向けるようになりました

相変わらず影は薄いけど

それでもいじられキャラになれたし

彼氏も出来たし

人見知りもしなくなりました

好きなバンドが出来たのでライブに行くようになりました

ギターをやってみました

図書室にはあまり行かなくなりました

(放課後に行くのは日課です)

教室でお喋りをするようになりました

相変わらず放送局は続けています

写真部も始めました

君は今でも生徒会をやっていますか?


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