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奇跡ですか? では申請書にご記入下さい  作者: 天笠恭介
第二章 束の間の休息
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幕間 幼き願い



 奇跡だ、と誰かが言った。

 少女はその言葉の意味を深く理解してはいなかったが、少なくともそれがほっとするものだという事は理解した。


 恐怖に怯え、衝撃に驚き、事実に悲しみ、奇跡に安堵する。

 たった一瞬の内に、それだけの体験をした。


 必死の願いもむなしく、その内に宿った絶望感と喪失感。だが心がぐしゃりと潰れる直前に、少女はトラックの過ぎ去った地面に倒れる少年を見つけた。

 這いずるようにして近付き、その身体を揺する。わずかだが反応があった。それが分かって、少女の潰れかけた心が一気に歓喜の渦に巻き込まれた。


 自分を救ってくれた少年が生きている。また一緒にいる事が出来る。それがとても嬉しかった。


 願いが届いた。少女はそう思った。


 だからその日から、少女は毎日一つの願い事をするようになった。

 とても単純な事で、けれど少女にとってはとても重要な事。

 その願い事は今なお続けられ、叶えられ続けている。


 少なくとも彼女は、そう考えていた。




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