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幕間 守りたかったもの
それは見るもの全てを魅了する光景だった。ありえないほどに絶妙なバランスの上に成り立つそれは、おそらく少し触れるだけで全てが壊れてしまうだろう。
それほどまでに繊細で儚く、しかし驚くべきほどの存在感と神々しいまでの魅力を備えている。
おそらくそれを完成された美というのだろう。それ以上何をする事も許されない。ただそうある事が全てで、そうあるべきもの。
偶然が生んだ産物でありながら、その調和は長く続いていくのだと錯覚していた。本当は、それが出来た時からすでに壊れ始めていたというのに。
だからその時になって。それがもう後わずかで失われるのだと気が付いてしまったとき、どうしようもなく惜しいと思った。惜しいと思ってしまったのだ。
だからわたしは――