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とある事件に巻き込まれ

 銀狼さんと旅を始めて一ヶ月ほど。

 トワイライトシティから北に向かってたどり着いた新たな街――ノースミンスタ。

 娯楽と古くから伝わる文化――主に建物の作りや剣闘士という戦士、コロッセオなどが今もなお根強く伝わっていることで有名な街だ。

 そんな街で、今わたしと銀狼さんはとある一つの事件に関わっていた。

「あの、銀狼さん……」

 恐る恐る、頼みの綱であるS級冒険者――『銀狼』に声をかけつつその背に隠れる。

「……」

 対する銀狼さんは、直面している問題と真正面からぶつかっていた。

「なあおい銀狼、こいつぁお前さんの仕業じゃあねえのか?」

 ベージュのトレンチコートを羽織り、葉巻を口に咥えながらこの街の刑事――レストレード警部は問いただす。

 びっと親指で示す先は路地裏。その影に隠れるようにあったのは、多数の切り傷に見舞われ、見るも無惨な女性の惨殺体だった。

他大勢の警官が遺体周辺に残されているであろう犯人の手がかりを探している。

 そんな中、私たちが疑われた理由はただ一つ。第一発見者だからだ。

「知らん。俺がやるわけがないだろう」

 銀狼さんは相変わらずの無表情でキッパリと言い切る。

 うわぁ大丈夫かな……。絶対心象悪いよこれ。捕まったらわたしだけでも逃げよう。

「まあそうだろうな」

 しかし返ってきたのはそんな予想外の言葉だった。

「お前ならこんな雑なやり方はしねえ。それにやる意味もねえしな」

「わかっているなら最初から言うな」

「はは、悪い悪い」

 レストレード警部は笑いながら銀狼さんの背を叩いている。それを見てわたしは「あっ……うぇ……?」と困惑するしかできない。

「悪いな嬢ちゃん。ビビらせちまってすまねえ」

 こちらに向き直り軽くお辞儀をする。

「改めて……レストレード警部だ。銀狼とは結構昔からの知り合いでな。何度かこいつの手を借りてんだ。実は今回の事件もちょいとばかし手伝ってもらおうと思ってな」

「そういうことだったんですね……」

 だったらそんな一芝居打たなくても……と心の中で少し文句を言っておく。実際には言えないからね。怖い。

「……それで銀狼。これを見てどう思う」

 警部の案内で遺体の元に移動し、銀狼さんはその蒼い瞳でじっくりと見回す。そして納得したように頷いた。

「……間違いない。切り裂き魔だ」

「やはりそうか……」

 切り裂き魔……? どうやら二人は知っているようだけど、一体なんなのだろうか。

「あの時確実に仕留めておくべきだったか」

「いや、あの傷と出血で生きているとは誰も思うまい。こればかりはお前のせいじゃないさ」

「え、えっとその。切り裂き魔とは……?」

 控えめに挙手をしてわたしの知らない情報を二人に問う。

「ん? ああ。嬢ちゃんは知らねえよな。切り裂き魔ってのは五年くらい前にこのノースミンスタに現れた女ばかりを狙って刃物で切り裂いてくとんでもねえ犯罪者の通称だ。その時もこいつの力を借りてな。一年くらいしてようやく追い込んで、確実に仕留めたと思ったんだが……」

「どうやら生きていたらしいな」

 五年前……となるとわたしがまだ師匠の元で魔法を学んでいた時期だ。

「で、でも銀狼さんが仕留め損なう……というか、仕留めたと勘違いするなんてことあるんですね」

「奴は俺との戦闘で致命傷を負っていた上に最後は橋の上で自ら身を投げ出したんだ」

「な、なるほど」

 たしかに、それなら普通は死んでいると思うだろう。というか死んでないとおかしいレベルだ。

「しかし今、こうしてあの時と同じ手口で被害者が出てしまっている。今月に入ってこれで四件目だ」

「そんなにか」

「ああ。しかもそれだけじゃねえ。あの時と同じなんだ」

「……? 何がだ」

 銀狼さんが疑問を口にすると、レストレード警部は内ポケットから手帳を取り出し、

「犯行現場がだ」

 


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