雪だるまとゆきちゃん
「うわぁ!さむ〜いっ!!」
近所に住むけんちゃんが冷たい風に吹かれて言った。
今日はとても寒い。
僕にはいい天気だけどみんなはほっぺたや鼻を真っ赤にしながら歩いている。
どんよりした雲が空の青を隠してチラチラと雪が降ってきた。
でもこんなに寒くてもけんちゃんは元気だ。
この間、お母さんと一緒に僕の所へ来て"てぶくろ"を貸してくれた!
優しくてとってもいい子だ!
僕に足があって一緒に走れたらいいのに…せめてお話だけでも出来たら嬉しいのにな。
僕は木の枝で出来た口をモゴモゴさせてみた。
…やっぱり声は出ない。
そうだよね。ダメだよね。
そんな事を考えてたらあっという間に日が暮れて
「雪だるまさん!ばいばーい!」
けんちゃんが僕に声をかけてくれた。
嬉しいな…優しいな…
でも真っ暗な夜に僕は一人ぼっちだ。
寂しいな…けんちゃんと遊びたい…
早く明日になればいいのに。
今は冷たく澄んだ空気に星が瞬いてキラキラとすごく綺麗だ。
星を見てたら突然ビューッと強い風が吹いて目の前に女の子が現れた。
「雪だるまさんこんばんは!」
「えっ!君はだれ?」
クスクス笑いながらその子は自己紹介した。
「ゆきは、ゆきだよ!ねぇお話しよ!」
「え?ゆきちゃん?あれ…僕、喋れてるの!?」
「うん!ゆきがお話したかったから喋れるようにしちゃった!」
ゆきちゃんはニッコリ笑って言った。
「えーっ!ありがとう!これで僕もけんちゃんとお話が出来る!」
「けんちゃん?雪だるまさんはお友達なの?」
「ううん…お友達になりたいと思ってるんだ。」
「ゆきはけんちゃんとお友達だから、雪だるまさんもきっとお友達になれるよ!」
ゆきちゃんの笑顔を見て僕も笑った。
あれれ?僕、笑えてるの?
すごく嬉しいなぁ〜!
ゆきちゃんとまた明日遊ぼうと約束してバイバイした。
……
次の日。
「雪だるまさんが喋れるってホント?」
ゆきちゃんがけんちゃんを連れて来てくれた!
「雪だるまさんこんにちは!」
けんちゃんが元気に挨拶した。
「ゴ、ゴホン…けんちゃんこんにちは!」
「わぁーっ!凄いねぇ!お喋りしてる!」
「ねぇ、けんちゃんっ!突然だけど僕とお友達になってくれる?」
勇気を出して僕は言った!
そしたら…
「うんっ!いいよーっ!!」
元気な返事が聞こえて僕はニッコリ笑った!
「やったぁ!ありがとう!今日から一緒に遊べるね!」
そして三人で笑ったんだ!
昨日、こっそり流れ星のお星さまにお願いしておいたからかな?
お星様本当にありがとう!