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4話〜魔力同調〜

*注意!今話は性的に見える描写が含まれています。苦手だと思う方は今話をスルーしてください。

 梓美に起きていた異常。それは活性化を始めた魔力が暴走を起こしていたことだった。暴走自体の原因は様々だがその原因の一つに過剰に体内に魔力を取り込む。というものがある。


「でもいくら心臓や肝を食べたからといってククラプター程度で暴走は普通はありえないはずよ?」

「それだけじゃない。魔力が体内全体で活性化しきってないんだ。ところどころで魔力の流れが止まってる。だから止められた箇所で魔力が行き場をなくして体に悪影響を及ぼしてる。」


 この世界において生物の体内で生成される魔力は血液のように体内を循環している。これは魔力路と呼ばれている。しかし、その流れの途中で未活性の魔力が留まっていると流れが止まってしまう。例えるならホースの中をポンプで水が循環する筈が途中でホース内の水が凍結してしまっており溜まった水がホースに負担をかけてしまっている状態だろう。

 ミアルの目には梓美の体のあちこちで魔力が活性化しきっておらず、それによりせき止められた魔力が行き場を失い渦巻いている様が視えていた。


「それなら、上手く体内の魔力をコントロールしていけば治りそうね。」

「多分無理だよ。酔っぱらってるせいでまともに思考できてないし、初めての魔力の感覚で混乱してる。いきなりAランクの魔力が活性化しているんだからかなりの負担だと思う。」


 魔力の流れが止められている場所を意識することにより魔力をコントロールさせていけば少しずつせき止められている箇所の魔力を活性化させて状態を改善させることも可能ではあるのだがタイミングの悪いことに初めての酩酊状態、しかも初めて魔力に触れた身での魔力コントロールは極めて困難だ。

 これがCランク以下の魔力ステータスならばまだ負担も軽かった。しかし、水を流すポンプが水道の蛇口と消火栓ではかかる負担は比べるまでもない。完全未活性状態からいきなりAランクの魔力が活性化する未知の感覚への混乱もあいまって精神的負担を極めて大きなものになっている。


「ミアル……熱い、怖いよ……助けて……」


 梓美がミアルの服を強く握る。熱にうなされているかのように顔は赤く、その吐息は苦しげに漏れ、その目からは涙が溢れる。


「苦しい、死にたくない、終わりない。帰りたい、日本に、家に帰りたいよぉ……」


 梓美が初めて漏らした弱音だった。この世界に落ちてきてからずっと抑えて続けていた感情が次々に溢れ出してくる。

 不安がない筈がなかった。怖くない筈がなかった。それらを生き抜く方法を見出すために抑え、できるだけ平静に振る舞ってきた。それが限界を迎えてしまった。


「誰か……助けて……」


 意識も朦朧としながらもうわ言のように助けを求め続ける。そんな梓美を抱きしめ、


「助けるよ」


 ミアルが力強く答える。


「かーさん、外から魔力を流し込んで魔力を活性化させることってできるよね?」

「可能だとは思うけど、流しこんだ魔力分、梓美ちゃんの負担は大きくなるわよ?」


 ミアルの考えは外部から未活性箇所に魔力を流して活性化を促す方法だ。しかし、そのままではルルの言った通り体内の魔力がさらに増えて負担も大きくなるリスクがある。だが、ミアルにはまだ考えがあった。


「だから流しこんだボクの魔力を媒体に梓美の魔力を同調させて制御する。これなら負担も少なくなるでしょ?」

「それは駄目よ!魔力の同調なんて魔力の相性が合わなければ却って相手の負担になるしコントロールもできなくなる。もし相手が抵抗もすればミアルにだって危険が及ぶかもしれないのよ!」


 魔力同調は接触状態で互いの魔力を同調、片方が魔力操作を代替する技術である。しかし互いの魔力同士の相性が悪かったり相手側が拒絶すればその精度は大幅に落ち、場合によっては互いの魔力路にダメージを与えてしまうこともある。不安定な状態の梓美に行うには不確定要素が多くて危険すぎる処置である。


「大丈夫」


 しかしミアルは確信を持って答える。


「梓美はボクに助けを求めてる。だから拒絶はない筈。それに、こう言ったら良くないんだろうけど、梓美から漏れ出てる魔力が、その、ね」

 ミアルが目を細め微笑む。


()()()()()()()()()。だからきっと相性はいい筈」


 ルルは息を呑んだ。ミアルの発言の内容そのものにではない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()|。


「かーさん!?変な意味じゃないよ?なんか《魔力知覚》でそう感じただけだから!」


 慌てて訂正しているつもりだろうが全然訂正できていない。そんなルルにため息をついて、


「そこまで言うならやってみなさい。でも、どんな結果になっても後悔しないこと」

「ありがと、かーさん」


 ミアルの腕の中で未だ苦しそうにしてる梓美を目を合わせ、


「梓美。これから梓美の中にボクの魔力を流しこんでその苦しい原因を取り除いていく。魔力が流れ込むのは妙な感覚かもしれないけど、受け入れてボクに任せて」

「うん、お願い……信じる……」


 梓美の服の中に右手を差し込む。ピクッと震えるが抵抗はない。そして下腹部に手を当てる。この辺りに大きな未活性部分があり、最優先に活性化しなければならないのだ。


「流しこむよ」

「うん……お願い」


 ゆっくりとミアルの右手から梓美に魔力が流し込まれる。じわじわと魔力が浸透していき活性化を促していく。


「んっ……くっ……」


 梓美から声が漏れる。魔力を流し込まれる未知の感覚に悶えながらも受け入れようとしている。


「やっぱり。いい感じにボクの魔力が馴染んでる。どんどんここが活性化してきているよ。」

「あっ……ふぁ……んんっ、お腹がふわふわしてきてっ、じわじわしてる……」

「苦しくない?」

「くっ、ん、だ、大丈夫……」


 下腹部から広がってくる感覚に口も半開きに段々と吐息に艶が混じってくる。そんな梓美を余所にミアルは表情は真剣そのものである。


「それじゃ、流しこんだ魔力で同調して本格的に活性化させていくよ?」

「ふぇ!?」


 梓美が反応するよりも早く、下腹部に流れ込んでいた感覚が急速に根を張るように体内を暴れ回っていたものに広がっていく。


「んんんんんんんんんんっ!?」


 ビクンっと梓美の体が跳ねる。体中を駆け巡る感覚の中、再び下腹部に熱が集まっていく。体全体の苦しさは和らいできたがそれに反比例する様に下腹部の熱は大きさを増していく。先程とは比べ物にならないその感覚に梓美は戸惑いを隠せない。


「や、待って、ふわふわが、じわじわがどんどん大きくなって、これ、だめ、やあぁ……」

「大丈夫、ここを活性化させきれれば大分楽になるから」


 体内を暴れ回る魔力の勢いを抑えながらその魔力を下腹部の未活性部分に集中させていく。体への負担は減るが別の意味で梓美は限界に近づく。


「やだ、止まんない、なんか来ちゃう、頭がなんか、変に、変になるぅ」

「わかった。そんなに苦しいなら一気に行くから」


 完全に主導権はミアルに握られている。体内の魔力の感覚に翻弄され梓美は抵抗どころではない。幸か不幸かそのおかげでミアルは同調を問題なく続けられている。

 誤解のないように述べるがミアルは梓美が苦しそうに悶えているから一息に済ませようとしているのだが、それに伴う感覚については意識の外であり、そもそも別の意味で悶えていることに気づいていない。そして梓美にとってはトドメとばかりに下腹部への魔力の流れをさらに強めていく。


「ちが、そうじゃ、や、ぁ、んんんんんんんんんんんーーーーーーーーーっ!?」


 大きく何度も体を跳ねさせる梓美。活性化した魔力により熱がさらに体の広範囲に伸び梓美を悶えさせる。


「どう?今ので大分楽になったと思うけど……梓美?」

「あー……ふぁ……うぅー……」


 完全に体を弛緩させ、蕩けた顔で放心状態になっている。時々ピクッ、ピクッと痙攣しているが魔力の異常は大分改善している。体の負担も減り見た目程の悪影響は無さそうである。


「それじゃ、他の部分も全部、活性化させていくよ」

「ふぇ、え!?」


 活性化して量が増えた魔力が再び梓美の中を頭から足先まで駆け巡る。一息ついてゆったり流れていた熱が未だ未活性の箇所に集中していく。


「あっ、また、これ、さっきよりも、すご、いいっ!?」

「活性化して魔力路も広がってるからね。どんどん残りも活性化させていくよ」

「こっ、これ、まだっ、んんっ!?続くの?」

「うん、最初のが一番の原因だっただけでまだまだ未活性箇所は多いからね。大丈夫!活性化するごとに同調できる魔力も増えるからどんどんやりやすくなるよ?」


 つまり活性化が進む度に大きくなる、魔力を操作される感覚に全部終わるまで翻弄され続けることに他ならない。梓美は倒れてから感じた時とは別の意味で死ぬかもしれないと思った。


「あ、あ、やぁーー……」


 結局、全ての魔力の活性化が完了するのに1時間程かかり、終わった頃には目の焦点が定まらず半開きの口からは「あー、うぁー」と力なく声が漏れるだけであった。



 ◇



「あれ?梓美?」


 ミアルがその梓美の惨状に気がついたのは完全に処置を終え、魔力の流れが正常化したのを確認してからだった。全身汗だくで虚な目のまま「あー、あー」と呟く様な声を漏らしながら時々ピクピクしてる梓美にさすがにミアルは自分が何か重大なミスをしたのではないかと冷や汗を流す。


「ようやく気がついたわね」


 振り返ると両手で顔を覆っているルルの姿が。よく見ると耳が真っ赤に染まっている。


「えっとー、かーさん、その、梓美、魔力はしっかり流れてて、もう大丈夫だとは思うんだけど、なんか、ただ事じゃないことになってて……」

「全部見てた。何てもの見せてくれてるのよ本当に……あのね、魔力同調って、魔力操作を完全に相手に委ねると、その感覚が『気持ちよく』感じてしまうの。それも、相性が良ければ良いほどに。」

「うん。」

「で、ミアルはまだ魔力操作もその感覚も全然わからない子を1時間以上じっくりたっぷり蹂躙してその気持ち良さを教えこんじゃったの。まるで生娘に男女の営みを教えるばかりか完全に堕としたかのようにね」

「え、いや、そんなまさか」

「下手に止めて魔力同調に失敗させるわけにもいかなかったから口出さなかったけど、正直娘が連れ帰った女の子をそのまま頂いてるようにしか見えなかったわよ」

「……そんなに?」

「一つしか違わないとはいえ年上の女(15)を淡々と手籠にしてる娘(14)の姿を見せられた母親の気持ち、わかる?」


 その光景を想像してもう一度梓美を見てボンッと顔を赤くするミアル。やってしまった!


「いや、手籠にとかそういうのじゃなくて、ね?」

「わかってるわ。ミアルはただ梓美ちゃんを一生懸命助けようとしたのよね。ただ一生懸命過ぎて知らずのうちに堕としちゃったのよね。知らないってやっぱり怖いわねー。もっとそういう方面のことも教えておけばよかったわー……責任、取ってあげなさい?」

「言わないでぇーーー!」


 願わくば、食事中2杯飲んでいたお酒で記憶が飛んでいることを祈るミアルだった。






健全ですよ?

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