11話~再開はステルスで~
三連休連続投稿。今日は短いですがその代わり明日も投稿予定です。
隕石の調査の為に魔の森に入って二日目。一行は深層に入ってからはできるだけ短い距離で落下地点にたどり着けるように中層を進んでいた。深層との境の目安はそこの植生だ。
深層に生えている植物には大型な種類が多く、30mは優に超える高さの木々が並び、人の丈を超える程の高さのエノコログサのような植物が普通に生えていたりする。それでいて大型魔獣の戦いに巻き込まれて木々がなぎ倒されたとしても一年で元の植生に戻るほどの成長速度を深層の植物は有している。これは魔力によって自らの成長を速めているのではないかという説もあるが詳細は不明。同種の植物でも中層はともかく魔の森の外ではここまで成長することがなく検証が困難なのだ。ともあれ、ここまで早く、大きく育つ植物が大型の魔獣が多い深層の生態系を支えているのは間違いないだろう。
太陽が真上に上ってきた現在、ミアルはその深層に近づいた場所に生えていた巨樹の天辺近くに登り隕石が落下したと思われる方角に目を凝らしている。珍しく中層に生えていたこの木は深層の魔獣に倒されることなく成長を続け深層に生えている同種よりも一回り大きく、深層の木々に邪魔されることなく落下地点を見れないかと考えたのだ。梓美とフィリスはその根元で周囲の警戒をしつつ昼食の準備をしている。なお、この状態からさらに跳んでより高いところから観測することも考えたのだが、木から飛び立った鳥が体長だけで3m程のやや小型のワイバーンに即座に殺到されて襲われてるのを見て断念した。
「あった!あそこから地面がえぐれてる!」
梓美直伝である光の屈折を利用して遠くを視る光属性魔法”遠望”で地図と見比べながら落下地点を探すと巨大なクレーターができている箇所を見つけることができた。その広さにして村一つ分はあるのではないかという規模にミアルは息を呑む。残念ながらクレーターの内部は近づかないと確認できそうにはないがこれで目的地への目途がたったことに少し安心したのも事実。これなら翌日には現地に到着できるだろう。
「問題は周囲だなあ……うわあ、めっちゃ群がってる」
ミアルが問題視しているのはクレーターの周辺だ。木々がなぎ倒されているのはともかく、落下の際に吹き飛んだり飛来した土砂に巻き込まれて死んだ魔獣の肉をむさぼるディノレックスやワイバーンをはじめとした肉食の魔獣達がうようよいるのだ。中にはワイバーンに襲い掛かるダイアティグリスの群れなんかもいて危険なことこの上ない。時間がかかればかかるほど落ち着きを取り戻した魔獣が死肉につられて集まってくるだろう。
「これ急がないとまずそうだなあ……」
「何がまずいんですの?」
「クレーター周りが肉食の魔獣達でいっぱいなんだ。だけどまだまだ死骸もいっぱいだからどんどん他からも集まってくる。クレーターの中心に行きたいけどあの中に突入しようとしたらダイアティグリスとか中型ワイバーンに襲われて大変なことになっちゃうよ。それに道中も肉の匂いにつられてきた魔獣との遭遇もしやすくなるだろうね」
「いっそ周りの死骸を食べつくしてもらってから向かえばよいではないですか?」
「それを待ったら一体何日かかるかわかったもんじゃないよ。腹が膨れた後の魔獣がこっちに来て襲ってくるともかぎらな……………」
言いかけてミアルが停止する。
「どうしましたの?」
ーーーーーー今、自分は誰と話している?
ここは巨樹の天辺。他に誰も登ってきていない筈だしずっと風の魔法による探知は続けている。その筈なのに今自分に話かけている相手は何者なのか?
近くを見るため”遠望”を解除して恐る恐る声の方を振り向くと至近距離でこちらを覗き込む紅い瞳。
「久しぶりですわ、ミアル」
「うわあっ!?」
目が合うと微笑みかけた少女の姿は陽光でうっすらと緑を反射する黒いウェーブのロングヘア、魔の森に似つかわしくないレースワンピース、そして、アゲハ蝶を思わせる形状の魔力の黒い翅。
ミアルが成人する数日前に出会った妖精族の少女、ヴァイラナがすぐ隣に腰かけていた。
唐突な姉襲来。
『面白かった!』
『続きが気になる!』
『もっとバトルを!』
『ミアルと梓美をもっとイチャつかせろ!』
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