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6話~これでもいつも通りなんです~

「親方、色々すみませんでした」

「構わねえよ。悪どいことをしたなら作ったもんぶっ壊すがただ高性能なだけならこちらも鼻が高いってもんだ。まあ、話を聞いた時は気が遠くなったけどな。これからもうちの店を贔屓にしてくれよ?」


 既に深夜。バザラゲートや炫蛇(カガチ)をはじめとする新装備に使われた合金技術についての聴取に呼び出された工房の親方は冒険者ギルドのロビー前でがははと笑いながら帰路につく。呼び出されたばかりの時は一体何事かと血の気が引いた顔で挙動不審、慣れてない敬語で言葉遣いもおかしなことになっていて、いつ失神するのか不安だったとは言えない。


「今回は初の例ってことで例外だけど希少金属(レアメタル)使った合金の扱いは制限がかかって基本的に国の許可を通さないと駄目になるなんてね」

「まあ考えたら性能云々よりも単体で使ったりコーティングとかと違って完全に混ざってる合金って鋳潰して再利用しにくいだろうから試作品作れば作るほど元々の希少金属が使えなくなるしな。あたしらは作ってもらえたから良かったけど規制しないと無責任に粗悪品量産して希少金属枯渇とかシャレにならねえ。工房の奥さんみたいに合金の分離できる程の魔法使える人がいなかったらあそこ材料尽きてたんじゃないか?」


 聴取と実演の結果、希少金属の合金化は個人に合わせた配合は資源の再利用を難しくする点、従来のベースとなった金属を単体で使った場合よりも魔法媒体としても武器としても高性能になるため反国家思想や犯罪者等の危険な人物の手に渡りテロに使われた際の危険度、何より合成の難易度が高く希少金属を浪費しやすいという点から制限がかけられることになった。高性能な金属の製法自体が争いの火種になりかねない為製法や技術を狙う者から守る為にも工房では門外不出とし、バザラゲートや炫蛇も表向きは未知の新発見された鉱石を用いた武器ということにした。


「ボク達も合金作ってる様子見てたけど碌に使えない失敗品の方が多かったよね。金より高価な金属が鋼よりマシレベルになったとかやり直せなかったら普通発狂するよ」

「だから親方曰く、竜の血使った魔力回復薬差し入れた日から奥さんまるで鬱憤を晴らすように毎夜徹底的に激しいってさ」

「女の子に何話してるのかな親方は!?」

「ドワーフの女性って成人しても小人族(ハーフリング)以外の人型種族には幼く見えるから絵面的に訴えられそうだな。というかその話梓美にしてる時点でセクハラか」


 思えば親方は出会った当初よりやつれて見えていた。きっと研究と試作に夢中になって寝食を忘れているだけからだと信じたい三人だった。


「そもそも深層の魔獣を相手取れるようになったのも全身魔法の媒体になる装備身に着けて、かつそれを生かせるだけの魔力量があるからこそだって結論も出たしとりあえずは武器そのものが騒がれることはないかな?」

「それでも獣王竜討伐の追加報酬がボク達の合金装備の許可にされたくらいの大変なことだったけどね。強力な素材と装備だってことには変わりないよ」

「で、梓美はまだ合金装備作ってもらってないけどどうするんだ?」


 三人の中で梓美は合金を使った装備を作って貰っていない。二人の新武器と全員の防具の見積で予算ギリギリだったのだ。


「精霊形態みたいな既存の希少金属でも耐えられない力があるわけでも無いから合金にこだわらなくていいからまだ保留。それにしても、私に土属性魔法の適性があれば無重力から合金錬成、失敗品の分解まで一通りできそうなのになあ。そしたら思い思いに色々造れるクラフトライフが……」

「梓美それマジでシャレにならないからな!?ただでさえ戦力的に深層にあるっていう採掘地に行けそうで本来地理的に危険だから一度に大量に持ち帰れない鉱石も”奈落”でごっそり持ち帰れるんだからな!?そこにトンデモ合金量産とか厄介ネタをこれ以上増やさないでくれ!」


 フィリスの叫びが木霊する。既に『聖光神教によって召喚された異世界人』、『成り立ちからして異なる文化の知識持ち』、『魔法適性と効果範囲、魔力量の条件さえクリアできれば異空間に物を収納したり疑似的な精霊の力も作り出せる程自由に魔法を構築可能という非常識なスキル持ち』と目をつけられる要素がいくつもあるのだ。これ以上要注意人物の格を上げないで欲しいと切に願う。


「トンデモ合金……合金と言えば架空の超合金のロボット……この世界ならゴーレムの方がいいのかな?とにかくそんな巨大人型機動兵器って私たちの世界だと人によっては神様以上に憧れの存在なんだよ?再現してみたくない?」

「んな物騒な憧れがあってたまるか!お前まさか”降神霊機構(デウスエクスマキナ)”の依代にして人造の神みたいなモン造る気じゃないだろうな!?戦の神とかそういうの地球にあるんだろ!?」

「……その手があったか!戦の神だとマルスとか……ゴッドマルス……」

「くっそお!いらんこと吹き込んじまった!というかミアルも止めろ!また他のモンに”降神霊機構”使う算段考えてるぞ!」

「うーん、フィリスみたいに人に力を分け与えるんじゃなくてモノを造るわけだから浮気にはならないと思うけど……?」

「そっちじゃねえよ!!あたしとミアルだけでやばいのに増やすなって言ってるんだよ!!」


 頭を抱えるフィリス。『暴走娘』と呼ばれていた二人は変なところでストッパーが作用しないのである。


「あ、でも美少女自動人形(オートマタ)ってのもありかも!昔から遮光器土偶みたいに身代わりとして人形があったからそれに倣って攻撃を受け止める盾役(タンク)……戦車(タンク)みたいに砲撃武装とか……いっそ(コア)は共通にして必要に応じてロボット筐体(ボディ)に搭乗、接続させる感じで……」

「あああ……構想立て始めやがったぁ……どうすんだよこれまさか鉱石採りに深層行くことになるんじゃ……」

「梓美、有罪(ギルティー)


ミアルが笑顔で梓美の肩を掴む。しかし、目が笑っておらず「ひっ」と梓美の声が漏れる。


「ボクがいるのに自分用の女の子造るってどういうことかな?しかも聞く限り強そうな感じで」

「え、いや、そういうわけじゃ」


 ミアルに詰め寄られてしどろもどろになる梓美。意外な物がストッパーになった。決め手は浮気疑惑だ。


「梓美が可愛い女の子も好きなのは知ってるよ?自作ってことは梓美好みな顔に体型で造るよね?ボクそれを見せられるんだよ?例えボクそっくりでも違ってても面白くないなぁー」

「いや、愛するのと愛でるのは別腹と言いますか、そもそもベクトルが……」

「その別腹ってのもボクで満たせば理想の女の子なんて考えないのかなー」

「いや待ってズレてる私が追いたいのは地球じゃ叶わない浪漫でその一つが美少女型自動人形とか巨大人型……」

「ーーー梓美。朝まで覚悟してね♡」

「……はぃ」


 消え入りそうな声で応える梓美。朝までお仕置き(イチャイチャ)確定である。若いので一徹程度問題はない。なお鉱石や金属を自由に加工するための土属性魔法にこの三人は適性が無いので実現不可能な話なのだがそれを言ったところで結末は変わらないだろう。


「いや、明日も採集行くんだから……いや、もう夜も遅いし昼からでいいか。とにかくミストル亭のオーナー達が宿閉める前に帰るぞ」

「あ、待ってボク達も行くから!ほら、梓美」


 閉め出されては適わないのでさっさとミストル亭に向かうフィリス。一月以上も行動を共にしているのでこの二人がイチャつき始めたら公序良俗に反しない限りは放置することを覚えたのだ。

 それをしっかりと梓美の手を恋人つなぎして追いかけるミアル。


「えっと、もうお風呂使えないから体拭き合うところからイチャイチャする?それとも水と光の魔法でパパッと浄化して早速のイチャイチャにする?」

「内容は今言わなくていいから!色々誤解されるでしょ!」



 ◇




 睦事の中身をさらされるのはやはり恥ずかしいのか顔を真っ赤にしているミアルとこの後を期待して顔が赤くなっている梓美。そんな二人を尻目にフィリスがため息を吐く。


「まあ、最後まではしてないってんだから誤解なんだろうけどぶっちゃけさして変わらねえよ」


 女性が殆どだが同性でも繁殖ができる妖精族のハーフであるミアルも《精霊術》スキルが扱えるようになってから性別の問題を解決する(すべ)を試したらできたとフィリスがいちゃつく二人に茶々を入れた時にミアルが口を滑らしたことがある。幸い三人しかいない場だったがしばらく空気が凍りついたのは言うまでもない。

 最後の一線を越えてないのは子供ができれば妊娠から育児まで今後の人生レベルで大きく行動が制限されるのでもっと若いうちにやれることをやりつくしてからにしようという二人にしては真っ当な理由だった。

 しかし、


(避妊なんざ、梓美の力量なら闇属性魔法でどうにかできるはずだろうが気づいていないのか?)


 ”解析”と組み合わせて普段の対象の体内には存在しないものを死滅させる魔法あたりでも構築すれば子ができることは無い筈だ。だがうっかりそのことを話して藪蛇だったら二人の歯止めが利かなくなったり他にも後々面倒なことになるのは確実なのでフィリスはあえて触れないことにする。


(子供ねえ……)


 ふと、二人の子供について考えてみるフィリス。おそらくハーフエルフで二人譲りの魔法スペックと梓美の変なところで突っ走ろうとする性格とミアルの刃は譲りのトラブル体質も引き継ぐだろうか。


(妖精族の血を引き継いでいるから女の子の可能性が高いな。まあ親がアレだし同性だろうとお構いなしに……あれ?親どっちとも顔はいい方なんだからタチ悪くね?)


 フィリスの脳裏には性別問わず手玉に取って親譲りの魔法で戦闘面でも相手を手玉に取る二人の特徴を引き継いだ中性的な可愛いらしいハーフエルフの子供が浮かんだ。その子が梓美と一緒に馬鹿な発想に突っ走ったりミアルと一緒にトラブルに遭遇して騒動を起こす。あと梓美が身を守らせるためにお祈り感覚で”降神霊機構”を施すんじゃないかと考えたところまで考えてぶんぶんとかぶりを振った。


「よし。まだそんな災厄が生まれなくてもいいな。あたしからは黙っていよう」


 まだ自分も20も生きてないのにそんな騒動に巻き込まれるのはごめんだ。何よりまだこの三人で冒険者活動を続けていたいと思う自分がいる。二人が気づくまでは絶対に余計なことを口走らないと強く誓ったフィリスだった。




ふと脳裏をよぎったワード『火事フィリスミアル、梓美』。


『面白かった!』

『続きが気になる!』

『もっとバトルを!』

『ミアルと梓美をもっとイチャつかせろ!』

他諸々という方がおられましたら大変励みになりますので感想やブクマ、広告下の評価(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎になってるやつ)を宜しくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言] 美少女型自動人形と巨大人型機動兵器は、やっぱりロマンですよねー。土属性あったら、日本人ならやりたがるひと結構多い思ってます。 地震、雷、火事、親父。火事はフィリス、雷はミアル、親父は梓美。…
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