表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

決闘いたしましょう!

短剣は護身用にヘンリーから貰っていたが、使い方は他にもある。


決闘の申し込み。


短剣を床に刺し、相手が同じように刺せば決闘の契約が成立する。

「俺を誰か知っていて決闘を申し込んでいるのか」

「分かっています。ライン様は剣術に秀でていると聞いています」

「ということは勉学で勝負か」

「いいえ、魔法を使っての武術対決をいたしましょう」

「ふーん、本当にいいんだな」

自信ありげな表情でスミレを見下ろすラインに対して臆することなく、スミレは勿論だと頷く。

「俺が勝ったら何でも言うこときいてもらう。勝つのは当然俺だがな」

「まだ勝負をしていないのに随分な自信ですわ。私が勝ちましたら、私の言うことをきいてもらいましょうか」

スミレのあまりの自信に、クラス内はざわざわし始める。能力未知数の留学生と武術に秀でている貴族の対決は他のクラスでも噂されBクラスの担任であるヘンリーの耳にも入った。

(登校してからそんなに時間が経ってないぞ、あのお転婆娘!!)

ヘンリーは今日一大きな溜息をついたのだった。


★★★★★

闘技練習場。

知能、武力、リーダー性を育てるロザリオン学園に作られた練習場はドーム型で観客席も設置されている。さすが金持ち学校だとお金のかけ方に呆れてしまう。

「どうした?まさか臆したか?」

「この練習場にかけたお金を少しでも庶民に渡せば生活が裕福になるだろうなと」

「ふんっ、余裕ある態度もいつまで持つかな」

スミレが読んだ庶民小説『私の姫君たち』に出てくる悪役令嬢のような台詞を言うなあと思い出していたが、ラインには余裕すぎて退屈だとでもいうように見えイライラし始めた。

「では、今回の決闘の審判を務めさせていただきますのはリューク・メルマガ。企画部長をしております、お見知り置きを」

眼鏡をかけた七三分けの青年に自己紹介された後、地面に引かれた白い線の前に立つ。

ラインは装飾品があしらわれている鞘から剣を抜き構えた。

スミレも父が残していった剣を構える。

「両者、準備はいいですね。勝負、開始!」

ラインは身体を低姿勢にし思いっきり足で蹴った。ラインより後ろにいた観客は土埃で咳き込んでいる。

「雷神突飛!」

「短期詠唱ね。それじゃあ」

ラインが稲妻のごとく移動して突っ込んできたので急いでガードする。

『戦いは長引かせるものじゃない』

「風の精よ。私の剣となれ!」

父の言葉を思い出しスミレは剣に魔力を込める。刃に風の渦が巻きつきラインの腹めがけて一閃する。

勝負は明白だった。

「えっ」

大きな破裂音の後、布が舞うなか女性の高い叫び声が聞こえる。

「なっ、ななな何しやがんだ!?」

スミレが振り返るとラインの服がただの布切れになって地に落ちていく。肌を見せないようしゃがむラインは恥ずかしさから動けない。

「ライン様を裸に」

「高いお召し物だけを切ってしまうなんて」

(やってしまった!!!!)

力加減が分からないのに久しぶりに戦えるからって力みすぎてしまった。下町でイジメていた悪ガキを懲らしめた時も父に言われたのだ。

(父さんも一度友人を裸にしてしまったことがあるが、男のプライドのためにも人前でその技を使ってやるな)

同じ失敗をしてしまい、見るからにラインはショックで動けないでいる。

「ライン様」

「近づくな!き、貴様」

大型犬に威嚇する子犬のようだ。こういう時、フォローが大事なのだとスミレは考え近づく。

「何で近づいてくんだよ⁈」

「そのままでは風邪をひいてしまいます」

自分が着ていた上着をラインの身体が少しでも隠れるようにかけた。

庶民のなかで流行っているロマンス小説『貴方を攻略してみせます!!』の登場人物であるケイン王子がびしょ濡れのヒロインに行うシーンを真似したのだった。

「俺を辱めた奴が言う言葉じゃ、んっ」

ラインの口に人差し指を当て見つめながら、

「怒っているのですか?よく囀る小鳥ですね。今は素敵な唇を閉じ着替えましょう」

きまった!

ケイン王子の名台詞その1!

「お前が」

ラインは拳を震わせ顔を真っ赤にさせる。

「こんな姿にしたんだろうがぁぁああああ!!」

闘技場に叫びが響いたところで、様子を見ていたノエルが笑いながらラインを回収していった。

「この決闘、留学生、スミレ・ルノワール嬢の勝利!」


★★★★★★

ノエルとラインは保健室へ向かう途中だった。長いローブを持ってきてくれたのでスミレの上着の上からかける。

「あの女はなんなんだ!」

「ラインを裸にした人?ふふっ」

「ノエル、笑いすぎだぞ。俺が」

「よく囀る小鳥さん」

「ノエル!くそっ、覚えてろよアイツ」

「そういえばスミレ嬢が勝ったら言うこときく約束じゃなかったっけ」

「あ!忘れてた〜」

「頑張れ、ライン」

第2話!

男前な女の子にするつもりが地雷を踏み抜く系にしてしまったような。

ライン君には申し訳ないことをしましたが、これから関係性がどうなるか楽しみです。

あと、ネーミングセンスが悪いですがご容赦ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ