第1章 フタリノアサ part2
――――――朝やけが眩しい、町並み。
―――――見慣れた街、景色、道。
――――そして、隣にはいつもの見慣れた顔。
―――でも、大事な奴の顔。
――走りながらの会話はいつも通りで。
―でも、どこか心なしか弾んでいたんだ。今日は特別な日だから…。
たったったったったっ
俺こと七夜静は親友である赤坂知也と並んで走っている。
日課ともいえるジョギングをしている。ゆるやかに、しずかに。
今日は、朝からわくわくしていた。その心を鎮めるために、ジョギングに誘った。
たぶんそのことに知也は気づいているだろう。
それくらいのことはわかるぐらいには一緒にいるのだから・・・。
「ところで静、今日の朝飯は何だ?」
何をどういった経緯でところでなのかまったくわからない。
「今日もいつも通りだな。トーストと目玉焼き。なんか食いたいものでもあんのか?」
そう、いつも通り。簡単にできて、早く食べれる。
「ん〜、強いて言うなら、牛ど…」
「却下。米がない。それなら、今日の帰りに買い物行って米を買う必要がある。」
「まじか〜。んじゃ、米買おうぜ。朝昼晩が全部パンじゃ飽きる。」
「確かにな。最近は、3食パン尽くしだったもんな。」
別にお金がないわけではない。知也の口座には月々お金が振り込まれているし、そのお金も、2人で過ごす分には事足りるほどだった。ただ、俺たちはあまり外に出ないだけで、買い物ですら、月に2,3行けば、大量に買い込むだけで事足りるのだ。ただ知也のバカが食パンを大量に買ってきやがったから、仕方なくパンにしているだけだ。
「つーか、静よ。今何時だ?」
「今か?今は……俺の目がおかしくなければ6時半だな。」
袖をまくり、時計をみる。短針が6、長針も6。ここまでおおよそ2時間かかっている。
今から全力で走ったとしても1時間はかかる。知也を生贄にすれば、40分くらいか・・・。
「今から走って帰って、7時半。飯を食い終わって準備も終わるのが大体8時半だ。」
「完全に間に合わねえな。どうするよ…って、お前走るの早っ!ちょ、おま、待ってくれたっていいだろ!」
頭ん中で計算し終えて、その事実を知也に簡潔に言い終えて、すぐに俺は走りだした。
背中越しにあいつの驚いた声を聞きながら…。
とりあえず全力で帰宅し、準備をした。時間を考えて飯は抜き。近くのコンビニで買えばいいかと判断した。制服に着替え、鞄を持ち、戸締り確認をして、家を出た。
丁度そのくらいに知也が息を切らして帰ってきた。
「……なんか、もう、準備、万端、って感じっすね。」
相当急いで走ってきたのか、途切れ途切れに話す。
「お疲れ。俺はもう行くけど、飯はない。コンビニで買え。そんだけだ。じゃあな。」
「まあ、待て。30秒で用意するから、一緒に行こうぜ。頼むから。」
「20秒で手を打とう。………というのは冗談で、早くしろ。待ってやるから。」
すっごい眼で睨んできたので、ビビってつい甘やかしてしまった。
「おし!いっちょやりますか!」
慌しい朝だ。最もそうしたのは俺だが。
朝の出来事でベタすぎる展開になりましたが、気にしません。