第0章 ヒトリノハジマリ side:B
二話目。side:Bって(笑)前のお話とはまったくつづいていません!ただこれからのお話を書くのに必要だったのです。お楽しみください。
――――――いつもの日常だと思っていた。
―――――だからいつも通りに生活していた。
――――朝、早くも遅くもない時間に起きて、家族に挨拶をして、ご飯を食べて、支度を整え、学校に行った。
―――別段おもしろくもない教師たちの話を聞いて、友達と他愛のないことで笑いあって、そして帰宅する。
――いつも通りの生活。
―でも、その日だけは違ったんだ。家に入るまでがいつも通りで、家に入って両親の悲痛な声を聞いた時から、いつも通りではなくなったんだ。
玄関を開けて、ただいまと言うものの、返事が返ってこない。靴を脱ぐために足元を見ると、いつもなら遅い時間に帰ってくるはずの父親の靴があった。
珍しいと思いながら、もう一度ただいまと言ってみる。
しかし、返事は返ってこない。
不思議に思い、リビングに向かっていた時、だれかの泣き声がした。
恐る恐るリビングのドアを開けて、中に入ってみた。
母親が泣いていた。
その母を支えるように、母の肩を抱きながら静かに泣いている父がいた。
両親が泣いている。わけがわからなかった。
だから聞いてみたんだ。どうして泣いているのかを。
『弟が死んだ』
答えたのは父だった。
理解できなかった。父の言ったこと、母が泣いていること、弟がいないこと、いろんな事が理解できなかった。
違う。わかっていた。ただ、理解することをしていなかっただけ。
でも、その場から動くことができなかった。
『弟が死んだ』
その言葉だけが頭の中をぐるぐる回っている。
この出来事は人生を大きく変えた。
母は泣き叫び、父は母を宥めていた。
母が僕に気づいた。
「どうしてあんたが死ななかったの・・・?」
「なんであの子が死ななきゃいけなかったの?」
「どうしてあんたなんかがいきているの・・・!?」
びっくりした。と同時に泣きたくなった。このヒトの中で僕は、こういう存在だったらしい。
そのヒトは、僕を見ながらいろんな罵声を浴びせ続けた。
何を言っているのかなんて覚えてない。言われたことが、気付かされたことが大きすぎて、頭が真っ白になってしまったから。
父がそのヒトを宥めながら、寝室まで連れて行った。その父が戻ってくるまで、立ち尽くしていた。
そして、父から発せられた言葉に、僕はまた驚愕した。
『お前がいると、母さんがあの子の後を追いかねない。だから、この家を出てくれないか?』
『必要な金はお前の通帳に月々入れておいてやる。住む場所もここではないどこかで手配しといてやる。だから、もう、ここには来ないでくれ。』
僕は何もしていないのに、なぜそこまで言われなければならないのだろう?
少し考えてすぐに結論が出た。
結局僕は、今この時まで両親には愛されていなかったのだろう。多分これからも愛されることはないだろう。
だから僕は目の前にいるヒトの言うことに従った。
この日から僕は…俺はひとりで生きていこうと決めたんだ。
side:Bです。前のより全然長いですね。びっくりしました。結構気に入ってます(笑)
登場人物は前の話の人とは違いますよ。念のため言っておきますが(汗)ちょっとわかりにくくてごめんなさい。また3話目もがんばります。