№007
連載7日目。連日掲載はこれにて一旦ストップさせていただきます。
弟たちと仲直りを果たした僕はご飯を食べていた。
たわいない日常の話の中で、爆弾を落としたのはじいちゃんだった。
「異世界は楽しかったか?」
僕はその言葉が放たれた瞬間、空気が張り詰めたのが分かった。
緊張が走り、僕の表情がこわばる。
「・・・父さん。本当ですか?・・・いや、ちがうな。本当か、朋友?」
父さんは驚いたようにじいちゃんを見て、それからすぐに僕に問いかける。
「・・・うん。でもなんで?」
なぜ知っているのか。僕は不思議でならなかった。
すると、その時。視界にある文字が浮かんだ。
それはまるでパソコンでその文字を撃っているかのようにアルファベットが出てひらがなに変わるという何とも不思議な現れ方だ。
―――初めまして。私はあなたのサポート能力『ガイド』です。私は神の世界とつながっており、あなたの権限レベルに基づいて質問に答えることができます。また、常時発動系スキルのスイッチ、能力発動のタイムラグを消すことなどがありますが私を起動させますか?〈YES/NO〉
僕は、とりあえずYESとした。
その瞬間、時が引き伸ばされて時間が遅くなるのを感じた。
これは、僕の能力〈兆速高位演算〉と〈重式並列思考〉の感覚と似ている。
―――起動中、、、、、、起動完了。マスター登録、完了。マスターに関する情報抽出中。容量オーバー。拡張&アップデート&進化シークエンス起動・・・
なんだか、すごいことになってる。ガイドって、あの神心眼の事だよね。
もしかして、これとてつもなくやばいものを起動させちゃった?
―――自我の確立、完了。マスター!宜しくお願いします。
なんか自我をもっちゃった!
―――宜しければ私に名前を付けてはくれませんか?
名前?君は女の子みたいだからな。『ラプラス』にしよう。
―――!!!・・・はあ、はあ。な、なんかビクンッ、ビクンッってきました。
え、なんかエロい声になっているけど大丈夫?
―――は、はい。なんかマスターの物(情報)がもっと入ってきてなんか気持ちよかっただけです!それに本当にマスターの物に慣れた気がします。
なんか、含みのある言い方だけど突っ込まないでおこう。
―――では、改めましてマスター。ラプラスです。宜しくお願いします。私はマスターのサポート系能力のすべてを統括しております。また、人格を得たことにより代理詠唱、代理鑑定、解体の補助など能力―――言いにくいのでスキルと呼びますね。マスターのスキルの一部使用権限を使って様々な代理を行います。また、ガイドの時と同じようにある程度のご質問も受けられます。
へえ、けっこう便利だね。じゃあさっきの僕の疑問答えられる?
―――検索中。・・・!権限が足りません。申し訳ありません。あなたのおじい様と、お父上様はあなたより上位存在であり、情報公開の一切が禁止されている隠匿指定存在のようです。
なんだかとんでもない答えが帰ってきた。今僕がどのモードでもないからなのかな?
―――いえ。基本的に情報開示レベルはあなたの所有する神格により低位神程度の隠匿スキルならば強制開示を執行できます。しかし、今回は隠匿禁止存在。これは最高神の方々の身に許されたことですので、お二方は少なくとも最高神に認められる存在であるということです。
そ、それは、何とも言えないな。でもさすがかな?じいちゃんと父さんの底が知れないや。まあそろそろ、時間を元に戻して本人から聞き出すとしよう。
―――はい!ではそろそろ、高速思考状態を切ります。
すると、引き伸ばされていた時間が元に戻るのを感じた。
時間が戻ると、父さんは額に手を当てると空を仰いだ。
「結局、これは宿命か」
「そうじゃろうな、なんたってわしたちの孫なのだから」
「でもこうしているということは、異世界を救ったという事かしら?」
父さんとじいちゃんとばあちゃんは呆れながらも愉快そうにそう言う。
すると、今まで僕としゃべらなかった母さんが僕の肩をつかみ聞いてきた。
「もう我慢できない!朋友、あなたのお嫁さんとなる人は誰!」
「・・・は?」
僕は思わず呆けてしまった。
※※※
家の中が騒然としている中、朋友の家周りで動き回る者たちがいた。
『こちら、赤鬼部隊。配置完了。全鬼兵部隊配置完了』
『こちら、キャスター02。結界準備完了。』
『こちらキャスター統括。01、03~05まで配置完了』
『航空支援部隊ミックス。ファーストからサードまで展開完了』
『これより、結界完成次第突入する。コード:アルター』
『『『コード:アルター。了解』』』
彼らは日本の誇る最高戦力たち。しかし、あの家族の前には塵に等しいことを彼らはまだ知らない。
自らが挑んだ相手に後悔するまで、――――――あと30分
※※※
「玲奈、落ち着きなさい。たぶん、そう言う関係になっていなんだと思うよ。だから・・・」
「え、あ、そうね。ごめんなさい。あなた。でも、これが宿命なら」
「・・・ああ、そうだね。朋友、お前向こうで誰と旅をした?」
え?どういうこと?
僕は混乱していた。だって、さっきのかあさんの意味不明な一言。
そして、あからさまに関係があると思われる父さんの一言。
もう意味が分からない。・・・こうなったらやけだ!
「カナタと、シズクとバレンと玉理の4人と」
すると、じいちゃんがバレン?と小さくつぶやくもその声は父さんの問いにかきけされる。
「玉理ちゃんって、池田さんのところの?」
「え、うん。まあ正確には最期の戦い彼女は勇者で僕は異分子みたいなものだったけどね」
「異分子?まあ、いい。それよりほかの3人は?」
「まあ、一応全員異世界人」
いくら父さんたちでも神様っているのは信じてくれないだろう。
まあ、神様も異世界人みたいなものだし。
「全員、女の子?」
「・・・あー、えーと」
「はっきりいなさい!」
「・・・はい」
母さんがなんか怖かった。
父さんはなんか苦笑いだ。
「まあ、その。オヤジと自分は――――――」
親父とじいちゃんは視線を合わせた。それと同時に母さんとばあちゃんが絆と勇気引き寄せる。
その瞬間、ラプラスから緊急連絡が入った。
―――マスター!この家の周囲に結界が貼られています!また、武装した集団とこの席あの魔術師が周囲を取り囲んでいる模様。ただちに逃走か迎撃準備を!
なに!この席にも魔術師はいたのか。しかし、敵戦力、数、位置がわからないのに動くのは愚策すぎる。しかもここにはみんながいる。『黒』で撃退するか?でも、そんな超人能力見られたら・・・あれ、案外大丈夫かも?っていうかもしかして―――
―――マスター、敵の位置や数ならお教えできます。そのためにはラプラスのマップとマーカーを使い、視界の一部を占有してしまいますがいいですか?
構わない!やってくれ!
すると、某Gマップのような地図の上に赤と黄色のピンがこの家の周りを囲んでいた。
その中央には黒のピンと白のピンが6本あった。
―――赤が武装兵、黄色が魔術兵、黒はマスターで、白はご家族です!
なんとずいぶんと気がきく能力である。
―――でへへ、てれますよー、マスター
・・・うん、ノーコメントで
僕はすぐに父さんたちに言おうとする。
「じいちゃん、とうさ――――」
しかしその言葉はすぐに父さんの指によって止められてしまう。
「わかってるから、安心せい」
「・・・父さんたちを甘く見ちゃいけないよ」
そしてすぐに父さんとじいちゃんが何と呼ばれていたか思い出す。
「鬼神」と「皇帝」。
そうだ、アジア圏最強の名を有し、世界におそれられ、崇められる存在であった。
あんな戦いを超えた今だからわかる。二人の偉大さが。
そして――――底知れない力を隠していることが。
しかし、何時までも父さんたちに守られていてはいけないのだ。
僕は立ち上がり、まっすぐと父さんとじいちゃんをみる。
「父さん、僕も強くなったよ、ちゃんと生きる意味を見つけた。じいちゃん、力を振るうための信念を見つけたよ。でも、僕はやっぱり孤高に離れないよ。だって僕は誰かを守るためにしか力を振えないから」
すると、じいちゃんと父さんはうれしそうに僕の頭をくしゃくしゃとした。
「いい面構えになったじゃねえか。それでこそ自分の息子だ」
「まあ、そんな信念も認めてやるべきなのかもな」
僕はこの時改めて家族に戻ることができた気がした。
そして、何とも形容しがたい喜びを覚えたのであった。
読んでくれてありがと―!今度からは土日のどちらかの17時には更新したいと思っています。
よろしくお願いします!