№003
連載3日目。意外とつらいですね。
「みなさん、お世話になりました。では、行ってきます!」
彼はそう言って外へと旅に出た。そこには広大な自然の森があった。
彼が外に出たところはその昔、太陽神が隠れたとされる洞窟だった。
その洞窟には数年前に地震による落石で道がふさがれていた。
その前で祈りをささげる一人の少女がいた。
彼女は、ジパングには降霊術で呼べる霊の格によってランクされてる。
女性の場合上位者は巫女となり、男性の場合は戦士としての訓練を課される。
彼女は巫女序列四位 シズク。
彼女は最前線の戦力の一人として呼ばれていた。
―――――1日でも早く、この戦いに終止符を。
この最前線にて一ヶ月、彼女は欠かさずここにきては今日と言う日の平和と仲間の無事を祈っていた。
今日も今日とて例外は無く、祈りを終えると、洞窟をふさぐ岩に手を当てた。
預言者が言ったのだ。
『天岩戸が開き、中より神の使者がまいられる。そのもの、邪神を封じる命を受け参られる。手伝いをせよ。さすればこの国は再び、我手に戻るだろう。』
これがジパング最高の降霊術師による一年前の信託だった。
既に他国では勇者召喚の儀式が行われ、四人の勇者がそれぞれに住む邪神の側近四天王討伐に動き出していた。
「今日もダメか」
私はそう言ってあきれ目帰ろうとすると、木の上に人がいた。
この時間はここには巫女しか来てはいけない。
それに旅人風な服装をしていたため、敵か他国の人間と考えた。
「あ、お祈り終わった?」
そう一滴の上にいた人物は私の目の前の降り立った。
声からすると男だったが、フードを深くかぶっているため種族がわかならない。
それに、シズクはジパングの中でもかなりかなり戦闘や索敵、戦術などに優れている。
そんな彼女が負けるかもしれないと感じ、先ほどまで気配にすら気づかなく、何を考えているのかわからないという、彼女にとって初めて出会う不思議な男だった。
降り立った彼はフードを外す。
彼にはとがった耳は無く、全身は毛や鱗でおおわれているわけでもなく、瞳は黒い。
そこにいたのは間違いもなくシズクと同じ、人種の男だった。
「・・・あなた何者ですか?この時間のここは、私たち巫女しか来れないはずです」
「うん?そうなのか?それは知らなかったこととはいえ、申し訳ないことをした。あやまる。わたしは、そうだな。旅人とでもいうべきか、傭兵とでもいうべきか、世界のあっちこちを放浪しておりますので、この地に入ったのも少しばかり前でして」
彼はそう言って意図してこの森に侵入したわけではないと主張する。
その彼の必死な表情からあまり会話に慣れていないのが読み取れる。
――――とてもかわいい少年だ。
シズクはそう思った。
「どうかしましたか?」
彼はそう言って雫の顔を覗き込む。
普段、巫女という立場上あまり男性に近づかれることはない。
私は思わず、顔を赤くする。
「ムー、それ、だめ」
すると、7歳くらいだろうか?青い髪をした少女が私と彼の間に入ってきた。
少女は、彼を私から守るように後ろへと追いやる。
―――それにしても今の身のこなし見事だったな。
私は少女をただの少女として見ることをやめた。
私が警戒を強める一方、彼はと言うと――――
「うん?なんだよケンちゃん。・・・ってケンちゃん!なんでここにいるの!」
―――――ものすごく驚いていた。あ、そういう顔も可愛いかも
「そう言えば、君の名前聞いてなかったね。私はシズク。君は?」
「・・・トモって言います。短いかもしれませんがよろしくお願いします。シズクさん」
これが、のちに仲間となるシズクとの出会いだった。
それからさまざまなことがあった。
手始めに、押されつつあった最前線を朋友の策略と先頭を走り、加勢によってひと悶着ありながらも人種の信用を得ると共に、軍レベルの仲間を手に入れた。
また、思わぬ誤算であったが剣神がついてきたので彼女との訓練も欠かさなかった。
そんな中、朋友はシズクの家族との確執の話を聞く。元の世界で似たような境遇、つまり周囲の期待の重さを知っている朋友はシズクと話すうちに自分の隠れた願望に気が付く。
――――じいちゃんや、父さんともっと話がしたい。
彼は新たなる目的を胸に邪神攻略をさらに進める。
4大陸の勇者の情報も収集しながら各地の邪神配下の幹部を倒し、邪神の拠点となっているジパング天然の砦、京までやってきた。
新兵器、パラグライダーによる空からの強襲により、門の開放は成功。
場所の影響もあってただ身体能力がちょっと高い脳筋となり果てている邪族(目が黒に染まり、瞳孔が赤となって、体が日焼けした茶色になっている生き物たち。)を足止め。
その間に、邪神の作ったとされる城に朋友と剣神とシズクは乗り込み、玉座の間へとたどり着く。
邪神とは元破壊神にして、破壊対象となる終焉、つまり悪意に染まった世界を壊し続けたことにより、破壊神大きな器を超える悪意はやがて混ざり合い、神格を持つ。
そして邪神は破壊神の周りを自らが鎧として纏わせることでその固有能力を強制的に使ってきた。
これにはさすがの保有も魔王の権能である魔導力、神の加護の権能である神気、人として無限の成長を続ける適応力。そのすべてを使い、そして破壊神の意識をかろうじて覚醒させることにより邪神の動きを封じ、何とかあと少しまで追い詰める。
すると、邪神は破壊神の固有能力『自壊』と言う名の時限爆弾を起動させ、逃走する。
破壊神は解放されるも、自分が壊さなくていい世界を壊すため異次元空間を作り出しそこへ飛び込んでしまう。
トモは邪神から破壊神を解放するために、彼女の心に触れて助けたいと決意する。
その後全能力を駆使し、固有能力の摘出を果たした。
ガイアスへと期間を果たしたトモは傷をいやすためと、消えた邪神の情報を集めるために王都復興の手伝いを行う。
すると、ある情報を持った雷鳥と呼ばれるこの世界の速達郵送専門の伝書鳩が届く。
そこには、王都を取り返した事に対する言葉と共に4人の勇者と4天王について書かれていた。
北西以外の4天王は勇者があと一歩まで追い詰めたがその瞬間、邪神が現れてノスウェスト大陸の4天王以外は回収、吸収されたらしい。。
「じゃあ、ノスウェスト大陸の4天王のところに行くか」
僕は京にある屋敷の一つを借り受け、そこを拠点としていた。
屋敷はかなりの和風。江戸時代の武士の屋敷にいちばん近いと言えるだろう。
そこに今、僕たちは住んでいる。そしてここは僕の部屋だ。
僕は部屋に掛けてある彼の作った刀、神霊刀『叢雲』をつかむと、まだひもで切っていない京の町を歩く。
そして、北西の城門まで行くとそこには2人ほどの人影がいた。
僕はため息をつく。
「これからはこの国、ジパングのための戦いではないよ。これは私情を挟んだ戦いだ。着いてくる必要はない」
僕は彼女たちにそういう。すると、先頭に立っていたシズクは呆れたようにため息をつく。
「はー、そう言わないの。べ、べつに、私は貴方の力になりたいわけじゃなくて、この国を苦しめた邪神に仕返しがしたいだけだから!」
「シズク、正直じゃない。・・・でもいい。私はトモの力になりたいから行く。これ、私が勝手に決めたこと」
剣神がそう言うと、シズクは驚いたように剣神を見て小さな声で「・・・私も」と、照れ臭そうに言った。
「じゃあ、私もあいさつはしておいた方がいいな」
それはトモの後ろから聞こえた。「・・・バレン」剣神はそうつぶやき、シズクはじっと睨む。
「それは構わないがもう体は大丈夫なのか?」
「それは貴方が良くわかっているはず」
破壊神バレン。彼女は邪神の最後の抵抗のあとトモ助けられたが、そのまま再び姿を見せるのはまずいとされトモがかくまっていた。
しかし、彼女は友との戦闘でけがをしており彼女の面倒はトモが見ていた。正直にって今の彼女は破壊神としての力の半分くらい出せればいい方だ。・・・まあ、それでも強いのだけど。
彼女は1週間前、言葉を話すどころか起きることもままならぬはずだった。
とりあえずトモは持てる医療と薬と魔法の知識を使って彼女を直した。
彼女はそれ以来寝たきりになっており、起きたことには今気が付いた。
「私はあの邪を生み出したものでもある。その責任くらいは果たしたい」
彼女はそう言って強い意志の目でトモを見る。
トモは追い返すようなことはしなかった。
ただ、「なら、さっさといこうか」と言って歩き出しただけだった。
こうして、4人となったトモたちはノスウェスト大陸4天王のいる街に近い都市に来ていた。
「----、トモ君?」
そこで、4天王の王城潜入の作戦を考えているととある人物に見つかってしまうのであった。
読んでいただきありがとうございます。再びあの人が出てきます。