2度と合わないはずの彼女との再会
これで閑話は終わりです。
「シズクがこっちに来ているのか?」
朋友は放心状態になった。
―‐―マスター、しっかりして下さい。
ラプラスの声に朋友はあわてて携帯を拾い、詳しく現状を知るために玉理の声に耳を傾ける。
「トモ君、シズクちゃん意識が戻らないの...それに、何か別の大きな内科が埋まっててそれを取り除こうとしているんだけどこれたぶん邪神と同じ感じがする・・・」
・・・邪神!そんなばかな。あの世界にまた邪神が?いや、残りカスか、もしかしたら本来邪神に連なるはずだったものか...
『旦那、くるぞ・・・』
朋友がシズクの容体を推測していると不意にソロモンがそう忠告を告げる。
「朋友、これはまずいかも・・・」
久波もいつの間にか、戦闘用の陰陽服に変わり結界を構築している。手元には札を持ち、こわばった表情を取る。
久波の視線の先に目をやるとそこには見知った少女が満身創痍で立っていた。
「ほう・・ゆう?」「うっ、奴のところにつけたか...」
「・・・カナタ!バレン!」
朋友は倒れそうになる二人を受け止める。
―――マスター、これはホムンクルスです。
そうって見せられた解析図には確かに二人はホムンクルスと書かれていた。
そしてどうやらこの中に蓄えるはずの神気不足により、低機能モードになったらしい。
朋友は二人に神気を送り込み、二人の意識を覚醒させる。
その際、久波にも手伝ってもらい今は緊急外来棟へ向かっているところだった。
「うう、朋友か?」
「バレン!・・・目が覚めたか?」
「ああ、久しぶりだな」
「そうなのか?自分としてはまだ半日もったっていないのだが・・・」
「そうか・・・おそらくシズクのせいであろうな」
「そうだ、シズクに何があった?邪神のようなものに侵されているみたいと玉理が言っていたが」
すると、バレンはため息をつきながらカナタの方を見ると説明を始めた。
「まず、そうだな...私たちは3年後のガイアスから来た」
「・・・3年後」
「3年後のガイアスはシズクが見事に統一を果たし、六王同盟と法治国家制の統一を果たし世界を変革へと導き終えた。これはかなり驚愕すべきことだ。本来この10倍はかかることを彼女はお前に会いたい一心でこなしたのだからな」
「・・・」
朋友は何も言えなかった。それを見たバレンはそのまま話を続ける。
「そしてこちらとしても邪神は消滅したもの本来眷属として復活するものは消えてなかったため私とカナタ討伐にガイアスへと降りていた。今回はホムンクルスを使った偵察のみのはずだった。そんなあるとき、龍神の里と呼ばれる北東大陸の邪眷属:邪龍が復活し、あろうことかほかの3大陸の邪眷属を召喚し、取り込んだのだ。そして劣化版邪神となった故、私とカナタ。そして、事情を聴きつけたシズクで討伐に向かったのだ。邪龍を弱らせることに成功はしたが、最後にシズクの神下しで私を憑依させ消滅しようとしたところで邪龍に介入され、シズクは体を乗っ取られてしまったのだ」
「・・・まさか!?」
「ああ、私たちはどうにか分離させようとしたが抵抗力が高くて封じ込めるしかなかった。そして神界で最高神に頼もうと転移しようとしたところここにつながったというわけだ。しかし、私たちが木に引っ掛かって気絶している間にシズクはどこかへと搬送され追ってみれば魔人のにおいを感じ取り貴様のところにたどり着いたというわけだ」
「大変だったんだな。・・・済まない後始末を忘れて」
「それなら、二人に言うのだな。貴様に会うためにかなり無茶をしていたからな」
「・・・わかった」
「・・・おい、そこで私の頭を撫でるのは反則だぁ...」
バレンを背負っている久波としては今の話について言及したいようだったが空気を読んで黙っていた。しかしその眼は後で聞くからな!と言っており朋友ため息をつく。
そうこうしているうちに緊急外来へとたどりつき、見知った看護師がいたので疲労による気絶と言って二人ををベンチで眠らさせてもらう。
久波には悪いが今日は帰ってもらった。
朋友は指を鳴らし一瞬で手術服に着替えると、そのままオペ室へと向かう。
中では玉理がシズクの精神体を取り出し邪龍の侵攻に一人で悪戦苦闘していた。
「・・・トモ君!」
「玉理ここから自分の仕事だ!任せろ」
朋友はそう言って玉理と位置を代わる。
「まずはラプラス、サングラスに。ソロモン、指輪に。」
『旦那、今回は指にさせてもらいますよ。こりゃ、あいつより俺の領分だからな。それでなこれからやることだがな・・・と言うわけだ。』
「・・・わかった」
―――ムー!・・・まあ、今回は見学させてもらいます。バックアップは安心してください。
「玉理、これから雫に負荷をかける。治癒魔法をかけて精神を安定させてあげて」
「わかった」
朋友は邪龍の封じ込められている黒紫の部分に手を向ける。
「これより邪龍の無効化・及び分離を行います・・・精神介入開始!」
そう言って朋友の体から紫色の粒子が放出されたと思うと…気絶した。
「えっ!・・・トモ君!?」
「ううっ・・・」
朋友が気絶すると同時に雫の精神体は濃くなり、肉体の苦しそうな表情は和らいだ。
「朋友、ようやく会えた・・・」
その表情は恋する乙女。玉理は何とも言えない感情にとらわれるのであった。
「まったく、この様子じゃあ分かれて3年くらいかしら?・・・まるであの時の私の様ね」
※※※
朋友は真白な部屋に立っていた。ここはシズクの深層意識内に作った割り込みの空間。
朋友は魔神へと覚醒すると魔導力と強欲の紋章を起動させる。
内側に流れる魔導力の一筋が指につけられたソロモンへ向かい、指輪に魔導力が注入される。
『旦那、準備はいいですか?』
「・・・やれ」
そう言うと指輪が輝き目の前に楕円形の巨大な赤が広がりそこから何かが出てくる。
それはどうやら何かから逃げているようでそれは穴から出てくると朋友とぶつかった。
「あ、すみませ、人?・・・朋友!?」
「・・・シズク!まだ自我は残っていたか」
彼女はそのまま朋友に抱きつく。
3年たって成長したシズクはより女性らしくなり出るところは出て引っ込むところは引き締まったいい感じになっており、抱き着かれるとそれを楽しむことになり朋友は戸惑った。
「・・・ところでシズクまさか君は...?」
「お、覚えてくれて・・・って、そうだった。邪神の眷属の龍が私を眷属に変えようとしている。私の心の中だから多少融通を聞かせて距離を保って持久戦しているの。だから早く逃げて・・・あれ?でも朋友なら」
「ああ、奴を消し飛ばしてやる」
すると、シズクはどこか気まずそうに朋友に提案してきた。
「もしできたらでいいんだけどあれ・・・できる?」
「・・・できなくはないが、いいのか?一気に消すとはつらいぞ」
「大丈夫!私を誰だと思てんの!」
彼女はそう言って自分の胸を叩く。
「まあそう言うとは思っていたが・・・ところで相談なんだが―――」
朋友はそう言って彼女の耳元でとある提案案をする。
「はい!?・・・ぜ、全然かまいません。・・・むしろ嬉し「ぐぉおおおお」」
後半の言葉はシズクの抜けてきた穴から出てきた邪龍の呻き声によってかき消されてしまった。
「あれが邪龍です」
朋友はシズクを自分の後ろへと移動させ、頭に手を置く。
「あれが邪龍・・・パッと見は地球の災害級クラスか」
「援護しますか?」
「・・・安心しろ。すぐに終わる」
朋友はそう言って彼女の頭をやさしくなでた。
「さてラプラス、ソロモン。補助をしっかり頼むぞ」
―――了解、マスター!
『だぁははは、あんたじゃなきゃこんなの優しいとも言えねえ作戦たてやがって・・・たっくこれだから魔神に着くやつは変わっていて面白い!』
二人の神器の声に朋友は笑みを見せ、目を閉じる。
「さて、―――始めよう。魔導力展開、神気解放!・・・魔神化!」
ここに魔神対邪龍の戦いが始まった。
次回第2章。『三世代迷宮旅行記』!
お楽しみに!




