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病院での手伝い ~将棋編~

今年もあと少しですね。

今私は冬休みをのんびりに過ごすために課題の処理中です。( ̄◇ ̄;)

定期更新も遅くなってごめんなさい。

 池田大学総合病院。ここは日本国内最大の病院であり、医学の最先端機器に最新論文、インターネットを活用した国際討論会。遠隔操作式のオペなど日本医学会を代表する施設をがそろっている。また、医者もかなり優秀で池田一門を筆頭とした実力主義である。

 よくドラマで派閥争いがあるがここでは個が強すぎて協力ではなく共闘と言う感じが強い。

 若い者は自ら助手に名乗りを上げ、熟年者は若者から新たな発想を得るという極めて珍しい組織であるといわれている。

 その大学病院の中でもVIP、重体患者に属する者がいる中央棟。

 ここに、漆黒のバイクが停車する。


「玉理、駐車場はどこ?」

「裏にあるわ。職員用が」

 その言葉に従い裏手にバイクを止めるとたばこを吸っていた女医の一人がこっちに寄ってくる。

「こ、これは飯島グループの下部会社。オセロモーターズのドラグーン!」

 彼女は漆黒のバイクの隅々をよく確認する。

「檜森先生。こんにちは」

「へ?・・・あ、玉理先生!?」

 彼女はとても驚いたようにフルフェイスをはずした玉理を確認する。

「今日は車じゃないんですね?」

「ええ、昨日は緊急外来で外にいたので今日は友達の家に止まってそのまま」

「檜森先生?あ、2年前緊急外来にいた人か。お久しぶりです」

 フルフェイスをはずした朋友もそう言って挨拶する。

「・・・誰ですかこの人?こんな人一度会ったら忘れる気がしないんですけど!?」

 他の煙草を吸っていた先生もこっちを見ている。

 えーそんなこの髪型印象的かな?目元出して少しすっきりさせたつもりなんだけど。というか、あれ?こっちで去年バイトとしていたんだけどな。結構な先生にこき使われた覚えがあるんだけど・・・

 去年の夏ごろ玉理に頼まれて池田病院の雑用のアルバイトしたんだけど、始めは掃除して暇になったから白衣の予備着て子供の相手していたらその子のようだが悪化。応急処置をしてその子の担当医が玉理だったので助手としてオペ室はいちゃって、並列切開術式とかいう時間短縮のための術式に付き合わされたのだった。

 そのあと、いろんな課に回されて助産のお手伝い、緊急外来の手伝い、ドクターヘリにも乗った。

 今思えば俺なんであんなことしたんだろう?

 自分でもとても謎に思う。

「自分です。去年バイトに来た織田です」

「え?織田君?」

 後ろでもなんか病院長が我が息子のように自慢していたやつとかつぶやいている。

 池田のおじさんやっぱりあんなにあっちこっちに回されたのはおじさんのせいなのだろうか?

「はい、緊急外来の時は新人でしたがこの一年で随分と変わりましたね。でも電子タバコカプセルなしはどうかと・・・」

 そう指摘すると、檜森は顔を真っ赤にして「それは内緒に」と言ってきた。

 舐められたくないんだろうなと、勝手に納得させてもらった。


 それから朋友と玉理は白衣を羽織って玉理が担当患者を診て回っている間に僕は小児科の方に行って子供の相手でもしようかと考えていると放送案内がかかる。それは朋友と玉理を呼ぶものだった。

 呼び出した本人は今、目の前にいる。

「お久しぶりです。池田のおじさん」

「・・・」

 そう呼ばれた玉理のお父さんは何とも言えない表情をしている。

 実は去年、朋友は彼とは会っていない。

 それは彼も、朋友があの隠れ里から飛び出す原因の一人だからである。

 今は僕は怒っていはいないが、あまりいいように思っていないのは確かである。

「私としては、早とちりしていた君の方が悪いと思っている」

「知っています。すべては心の弱い僕のせいだということも。ゆえに、ぼくはここに」

「?」

 唯一玉理は不思議そうな顔をしているが、朋友と玉理のお父さんの間に流れる空気は正直、気軽に割って入れるような軽いものではなかった。

「それに私は特筆すべきことのない無能の愚者です」

「・・・」

 玉理は何かに気付いたのか、こっちを向いてそんなことはないとこちらをじっと見つめる。

 そういえば、自虐的てきなことはいわないといいましたね。

「ともかく、今日は後輩磯貝君が心置きなく生徒会業務に励めるように私が代理人としてきました。基本雑務、子守などにつこうと思います。基本、命令は玉理からしか受けませんので」

「医院長は私だが?」

「私の上司は『フリーランス』の玉理だけです」

『フリーランス』。某ドラマで有名となった特定の企業や団体、組織に専従しておらず、自らの才覚や技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主もしくは個人企業法人である。

 玉理は特例で医師免許を持ってはいるが、僕は持っていない。けど知識と技能は持っている。

 ゆえに、玉理から手伝えと言われれば(そんな場合はめったに来ないけど)手伝い、普段は雑務をするのだ。

 というか、もう前回のようにだまされたくはない。

「そうか、分かった。さがってくれて結構」

「失礼します」

「失礼します」

 朋友と玉理は挨拶をして委員長室から出てゆく。

「よかったのですか?謝ろうと思っていたのでは?」

 その声は朋友と玉理の出て行った扉に背中を預ける少年が発したものだった。

「・・・そんなつもりはもともとない」

 彼は椅子を回し、彼とは反対側の外を向いたのであった。


「朋友、その私は...あの時期あそこにいなかったから何があったかはわからないけれど、絶対にあなたを支えて見せるから」

 そういわれた朋友は苦笑いをして、「そ、それは嬉しいですね」といって小児科病棟へとつながる通路へと曲がっていった。朋友は曲がる直前、玉理は何かに気付いたように瞳孔を広げていた。

 そのあと、自分の言った言葉を思い出した玉理がどうなったかは言うまでもない。


「あれ?織田君?」

 小児科病棟見知った人がいた。

「市川さん、お久しぶりです」

 小児科病棟の看護婦長を務める彼女は去年朋友が最もお世話になった人だった。

 市川看護婦長は看護師であると同時に女医でもある。

 小児科の前は緊急外来におり、たまに助っ人としてそちらにも出向いているらしい。

「朋友君、ここだけは白衣禁止」

 小児科では子供が白衣に恐怖を感じないように私服で行う事になっている。

 私服といっても、病院側の用意した無地のポロシャツにズボンだが。

 僕も青のポロシャツを借りると、ささっと着替えた。

「今日、玉理ちゃんがくるのは知っていたけど、アナタも来るとはね」

「僕としてはちょくちょくここには顔を出しているので、その延長線といった感じですかね」

「そういえばあなたが良く将棋を教えていたあの竜泉君、ついに棋聖になったそうよ」

「そうでしたか。いつも相手をしている僕としてはとても嬉しいことです」

「竜将一門だもんね」

「・・・それ、僕は名乗ったつもりはないんですけど、ね。記者さんはすぐにそう言ったことをつけたがるので」

「ふふっ、竜泉君のところにでも最初に顔出す?」

「ええ、そうしておきます」

 朋友はそう言ってナースステーションを後にする。

 朋友の去ったナースステーションでは、市川さんがほかの看護婦さんに質問攻めにあっていた。


 市川さんとの会話を終えた朋友は鏡に映った自分を見て、市川さんには何も言われなかったことに気が付いた。しかし、他のナースさんはこちらを見て頬を赤く染めながら視線をそらしていたことに今更ながら気が付いた。

 市川さんには前に「前髪切ってきちんと目元を出したらイケメンなのになー」と言われたことがあったけ...

 前髪は切ったが、髪型がおかしくて爆笑される。つまり、顔よりも顔が目立つということに遠回しにに気が付いてしまった朋友はうなだれながらも歩く。

 ふと横を見ると自動販売機があり、手土産代わりに彼の好きなりんごジュースを自分はメロンソーダを買った。

 彼の病室まで来ると、彼の声―――は聞こえなかったが、パチンッという木と木がぶつかる音がした。

「この音は・・・」

 朋友はこっそりと部屋の中をのぞくと、そこには竜泉君がいた。

 その顔は真剣で、かなり追いつめられているようでもあった。

 彼は勢いのある将棋をする。しかし、一度手が止まると思考がループする悪循環に陥る。

 棋聖戦ではそれがなくなったと安心したが、今はそれが起きている。・・・と言うか、起されていると朋友は雰囲気を見て感じた。

 朋友は隠密系スキルを使用し、将棋盤の横に立つ。

 しかも丁度そこには椅子があったのでそこに座らせてもらった。

「・・・見事なまでに、作戦をつぶされたところと言った感じかな?」

 朋友は盤上の駒を見てそう思った。

 攻撃特化の戦略中心の思考を持つ竜泉に合わせたような配置だった。

「・・・参りました」

「ありがとうございました」

 竜泉君はそう言って相手に頭を下げると、相手も同様に挨拶を返した。

「相変わらず、相手をよく研究した差し手をするね。・・・船堀」

 朋友がそう言うと、将棋を指していた二人は驚いたようこちらを見る。

 ―――マスター、隠密をoffにしました。

 ありがとうラプラス。

 僕は珍しく気を利かせたラプラスに感謝を述べると、二人に飲物を差し出す。

 二人はそれを受け取ると、頭を下げてきた。

「お久しぶりです、朋友さん」

「お久しぶりです、師匠」

「うん、久しぶり竜泉君。棋聖獲得おめでとう」

 すると、竜泉君は恥ずかしそうに「ありがとうございます」といった。

「あの、朋友さん。自分ともう一度対戦してはもらえないでしょうか?」

 藪から棒にそう言ってきたのは朋友が船堀と呼んだ青年だった。

 彼も入院しているためか、パジャマのような格好をしていた。

「・・・名人戦が近いんだっけ?研究会はしている?」

「はい。ですが、今度は近藤さんか辰真(たつま)さんが来られると思うので...」

「一門の当主に門弟を任せる研究を手伝ってほしとは・・・」

「あ、やはり失礼ですよね?忘れてください」

「・・・竜泉君の相手はいつから?」

「え?えっと、彼が棋聖になる少し前からです」

「では、最終調整相手になってもらったということですか。それにあの成長ぶりは・・・」

 朋友はどこか嬉しそうにつぶやきながら手を口に当て考える。

「いいでしょう。そうですね。僕も成長したところを見せるために...竜泉君。君の相手もしましょう」

「えっ!?いいんですか!」

 竜泉はとても嬉しそうにきっき返す。

「君はさっきの勝負で弱点が露見しましたから、そこを潰すためにさすだけですからあなたにとっては面白くない将棋ですがね」

「うげー」

「では先に僕から」

 そう言って船堀が駒を並べなおしていると、朋友はもう一つ将棋盤を取り寄せる。

「・・・師匠?」

 竜泉が驚いたようにこちらに問いかけてくる。

「二面指しをします」

「いえ、そうではなくて・・・」

「朋友竜将、それはこの私。船堀名人と竜泉棋聖とわかってのことですか?」

 船堀は少し怒りをあらわにして問いかける。・・・一方、竜泉は目をこすっている。

「ええ、永世竜王・永世玉将の名に懸けてこの勝負で勝てると宣言しているのですよ」

「竜泉、絶対に勝ちますよ」

「・・・えっと、それより―――」

「竜泉、タイトルを取ったのに舐められるとは恥ずかしくないのですか?勝ちますよ、返事は!?」

「は、はい!」

 こうして、病院の一室でニコ生の特番でも組まれそうな世紀の一線が行われるのであった。












閑話もあと2か3話くらいで終わらせるつもりです。お付き合いお願いします。

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