№010
少し早いですが更新します。きちんと明日も更新するので安心してください。
※※※
「うそだろ?あの鬼神相手に一〇秒立っているどころか、攻撃を与えた・・・!」
傍観者である彼らは鍛えられているため全力を出せば準英雄と呼ばれる国家戦略級の兵器となる。今回はあの二人の観戦のためだけに全力を出している。
魔だけに能力を絞ってようやく二人の姿をとらえられている状況だ。
朋友と靖国の攻防はようやく三分を過ぎようとしている。そしてその間に億を超える攻防が繰り広げられているのだ。どの技も目を疑うほどの威力と精密さ。攻撃と防御(回避)のバランスに、攻防の組み立ての素晴らしさ。
織田家の落ちこぼれと聞いていた彼らは彼が落ちこぼれであることが信じられなかった。
「どう考えても俺たちよりも上だろ・・・」
「あ!確か、彼は皇宮防衛12支の13番目と言っていた気がする」
「ロストナンバー?・・・って、あの!?」
「先輩。ロストナンバーって王太子誘拐の際、当時四大武装組織だったあの『モーテル』を崩壊させて、占拠していた水の都を火の町へと変えた、あの?」
「確か奴は当時十七歳。彼は今年大学二年だったな?四年前は高校二年生。つまり、十七才」
「おい、ウソだろう?じゃあ、落ちこぼれすらあのレベル。なら、鬼神様と皇帝様は一体どこまで強いんだ?」
そういうと、全員の視線が皇帝こと叡二に集まる。
「自分はから程接近戦は強くはない。でも、組織の皆さんはわかっているとは思いますが自分は精霊魔導師ですので」
全員はその言葉にこの戦いでは皇帝の実力も図れないことを悟る。
しかし、全員は知っている。皇帝は鬼神よりも恐ろしいことを。
※※※
十分が立つ。
二人はこぶしを突き合わせ、朋友は押し負けてその勢いで反対に飛び距離ができる。
朋友は完全に息が上がり、膝も笑っている。そんなだらしない膝に活を入れるように叩く。
「爺ちゃん。この勝負あと五分で決着しない?」
朋友がそういうと、靖国は期待するかのように朋友を見る。
「いいが、どうするのだ?」
「・・・全力を出して、じいちゃんを倒す」
朋友は自信しかない表情でそういうと、靖国は盛大に笑った。
「わははははは、いいじゃろう。わしも鬼神として相手をしよう」
朋友は深呼吸を一度すると、胸に手を当てる。
ラプラスわかっているね?
―――yes、マスター。最大限の演算と並列思考とダメージコントロールでサポートします。
ありがとう。ソロモン。いるかい?
『あいよ。そろそろかい?』
ああ、調整は終わった。爺ちゃんに一泡吹かせてみせる。それと、ネックレスになってくれるかい?
『うん?どうした』
いや、なぐり合うのに耐えられるかなーと思って?
『ああ、納得。了解』
全ての準備は整った。はじめよう。
「起動紋章:傲慢」
手の甲にあった紋章が消えて新たな紋章が右手に浮かぶ。
「限界突破、灰色モード。覚醒、『魔神』」
朋友に向かって黒の力が収縮すると同時に白の淡い光が放出されていく。
彼の神は灰色へと変わり。右目は青、左目は赤のオッドアイとなっていた。
ローブは消え、服が軍服を連想させるような服へと変わる。
背中には三対六枚白の羽根と三対六枚の黒の羽根が彼の背中にあった。
僕は手を前に出し何かを呼ぶように言葉を紡ぐ。
「かつて魔神に作られしその指輪。かの名を呼びしわが元へ!『ソロモン』・物質化!」
紫色の光を含んだ風が辺りに吹き渡る。その風は朋友の下へ向かい、ネックレスへと変わる。
『リンク完了。補助を開始するぜ!』
ソロモンに体の奥底の螺旋の門に閉じられた深淵の扉を開かれる感覚がよぎり、そして・・・神気と魔導力が爆発的に上がる。
その瞬間、空気が張り詰めた。
そして、明らかに靖国と叡二は異変を感じていた。
―――マスター!これはまずいです。これは・・・暴走状態!?早くとめてください、肉体が持ちません!
『おい、旦那!あんた、どれだけ力を封印しているんだ!?ためしに全力強化しようとしたらとんでもないことになりやがった!だが、今は肉体。いや、精神体がそれを受け入れる領域まで至って無い感じか。それに心なしか、枷を感じる。上限に到達した時の恐怖を本能が感じて抑えるような・・・』
そう言えば、この力の量は邪神と最後に戦った時の・・・
―――とにかく、ソロモンさん!少し押さえてください!
『ああ、済まねえ嬢ちゃん。レベル1、開始』
すると先ほどの爆発するような抑えきれないものではなく、湧水のようにふつふつと湧き出してくるような感覚に代わる。
そのわき出てくる力をまとめ上げ、体に流れる力の集中する心臓へとつなげる。
・・・バクンッ!
大きく心臓が跳ねあげる。
『解放完了。・・・レベル1でこのクラスか。恐ろしいな、旦那』
―――魔導力・神気共に安定。魔神化完了。5分間だけなら安定状態を保てます。
やはり、まだ器が足りないか。ソロモンを手に入れて5分だけでも魔神になれるだけでも良しとするか。
それでもまだ・・・強化はできる!
「これから話しかけないでくれ。氣と魔力による深層神域に入る」
―――了解です!ご武運を、マスター!
『あいよ、頑張ってきな~』
僕は二人にそう告げると、目を閉じて自分の奥底に目を向ける。
氣とは人に流れる生存本能つまり、生者の証明たる核。これを活性化することにより、肉体はよく動くようになり力の転用が良くなる。そして魔力。これは人の魂とそこの内側に刻まれた理想を描くための色だ。
魔術が超常現象を起こすのは自分の見たい世界と違うことに対する拒絶反応。それにより、魂が世界の事象を上書きすることで起きる。つまり、もう一人の自分の望む景色の再現ともいえる。
そこにいる彼は本能に近い。ゆえに理性と本能を近づけ、差を埋める。
その為に魂の中へもぐる。そこにあるのはもう一人の自分。彼は僕に問いかる。
『さあ、僕を縛りなさい。一切の感情を今、ここで鎖に』
僕は彼に手を伸ばす。
すると、4つの鎖がどこらともなく表れて四肢を縛り上げる。
『これでいい。今から君は、無心になる。行け、第六点魔王の子孫よ』
僕は目を開く。・・・なんだ今の?最後、自分じゃない気が・・・まあいい。今はそれどころじゃない。
爺ちゃんはすでに臨戦態勢だ。十分わかるほど神気を放っている。あれがきっと鬼神たる所以なのだろう、もしかしたら本当に鬼神なのかもしれない。
「行くよ爺ちゃん」
僕がそういうとじいちゃんはうれしそうに笑って言った。
「こい、朋友!」
僕は駆け出した。
しかし、その走りは音もなく、影もない。
ただそこに数秒前の残像を残して、・・・僕は爺ちゃんの後ろに立った。
「織田家六式 暗殺術 『影取』、そして護衛術 『息抜き』」
背後を取り、意識を刈り取ろうと腕を振る。
しかしその腕は空を切る。これは予想できた。当たるわけがない。
だから、すぐさま迎撃用の2撃を放とうとしたところで僕は驚いた。
「な、空が下にある!?」
確かに背後を取るために一気に加速して飛び上がり背後をついた一瞬で横に扉がら技を放つときは減速する。
そこをつかれないように意識はしていたつもりだった。
「織田六式 護衛術 『天地逆転』」
爺ちゃんは技のために入っている。
あの技を僕は知っている。なぜなら、あれは僕が一番気にいているからだ。
僕はその技を真っ向から受けることを決めた。
「「織田家六式 無双術 匠伝 『魔王砲』!」」
僕は魔導力と神気を右腕に集中させ魔力と氣を混ぜて霊力に変改。
すべての事柄、物を構成する霊体にダメージを与えられる力を加え一気に混ぜ込む。
―――イメージるのは某宇宙戦艦の必殺の砲撃。
朋友の右腕にたまる力は淡い青へと変化していき、朋友はそれを振り下ろしてその力を開放する。
や、やりすぎたかも・・・
朋友がそう思うほどの威力だった。
実際問題、今の攻撃はなのもないところで地球に向ければ平気で穴が開く。
しかし、僕はすぐに誰を相手しているかを思い出す。
「いい攻撃じゃよ、朋友!じゃが、わしには届かん」
『!旦那、急いで離れろ!』
ソロモンに言われて予め戸多くに配置していた羽と対の羽根を使ってそっちにひぱってもらう。
それと同時に、朋友の魔王砲を喰うかの勢いで空と駆け上る光の龍がいた。
僕は、異世界に言っていて。いや、久々に爺ちゃんと会って忘れていた。
あの人は、世界と渡り合った。英雄であると。
※※※
「幾億千の戦場を超え、その背中に傷は無し。その姿に味方は歓喜し、敵は涙を流し降伏する。日本に置いて彼は、不器用故に何も語らず、だた無用の死を許さなかった。戦場に立つその姿はまさに神。しかし、はむかう者には容赦ない鬼となる。ゆえに彼は鬼神と呼ばれた」
一人の女がそういうとモニターを凝視していた面々は現実に戻るかのように視線をモニターから外し、息をのむ。
巨大なモニターには靖国と朋友の戦闘が流れており、その彼らを見る円卓に座る九人。その円卓をはさむようにしてモニターの正反対に座る二人。彼らはそれぞれ実に様々な表情をしていた。
「・・・天皇陛下が言った鬼神様の事ですよね、佳奈美さま?」
ここは、皇居内特別室。十二会議場。つまりここにいるのは皇宮防衛十二星座のメンバーたち。
その第二席 佳奈美の言葉に第一〇席 美鈴は記憶をたどりその言葉がどこの転用か聞いた。彼女はこの中で2番目に若くまだ18歳。しかし、とある技能を持っていて全員が彼女のそれには期待していた。
それと同時に彼女の力を知る者はそれを彼―――朋友ならばどう使うかも期待していた。
「そう言えば、佳奈美さまは鬼神殿とお知り合いだった気が?」
第十一席 火霧がそう聞くと佳奈美は妖艶な顔を真っ赤に染めそれは初恋の生娘と言っても過言でないようなはかなさを感じた。
ちなみに佳奈美は七十代だが、その容姿は35で止まっている。
故に若々しい体に妖艶な雰囲気をはらんでいる。彼女は自分にほかのもの視線が集中していることに気が付くといつもの妖艶さを取り戻す。
「フフ・・・なんだがすごいわね。靖国さんは昔から考えると全然だめだけど今の年齢であそこまで出せるのは羨ましいわ」
「私もあそこに行きたいです!また、彼と戦いたい!」
そう言って立ち上がったのは第6席 芥子。この場において力のみで言えば最強の存在。
「そうね、彼がもし戻ってきてくれたなら彼の方にお願いしてみるのもありかのよ?」
そう言った彼女の視線は朋友へと注がれていた。
お読みいただきありがとうございました。




