幕間:神坐
ほんのちょっぴりの幕間です
「あーっはっはっはっはっはっは!」
白い空間に笑い声が木霊する。
目の端に涙を浮かべて腹を抱えているのは勝ち気そうな少女。笑いすぎて座っている床をべちべちと叩いている。
その横で額に青筋を立てて震えている男が一人。細面を紅潮させて眼の前を睨む。
二人が見ているのは一つの風景。今いる神坐から離れた場所の映像であった。
「ひー、笑えるっ……なあなあどんな気持ち、配置ユニットが立て続けに敗北してどんな気持ち?」
「うるさいぞ小娘がっ!」
見ていたのは、ある屋敷の一室での戦闘。
胡散臭い男が二剣の少女に殴り飛ばされているところだった。
男はファルス、少女はリリアンヌ。それぞれ、神坐の二人が加護を与えた人物である。
「ええい、ヨシヒコといいこいつといい使えん……!」
「だぁーから言ったじゃないの。与えりゃいいってもんじゃないんだよ」
「貴様も相当詰め込んだだろうが!」
「あんたと違って意思を曲げたりはしてないからねえ」
「くそっ」
ケラケラ笑う少女に舌打ちを返して、男は立ち上がる。
「おや、帰るのかい?」
「貴様には関係ないだろう!」
「いやーこれでも管理神だから。客が帰るってんなら御挨拶しないと」
「下位神風情が私に指図するな!」
その言葉を残して、男神は光となり飛んでいった。
方角は男の古巣ではなく、下方……少女の管理世界。
行き先を察して少女神は眉を顰める。
「……盟約を忘れてはいないだろうね、あいつ。行くだけなら構わないけど……」
カリカリと頭を掻いて、溜息を吐く。
「露払いを任せてばっかで悪いなあ……そろそろ、なんとかしなきゃあね」




