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その元・男、現・貴族令嬢にて  作者: 伊賀月陰
第二章:夢見がちな来訪者
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第57話:レオナルドの煩悶

※残念ながらエロではないです。






 レオナルドはなよっとしており、身体も細く肌も日に焼けていないが、若い男である。少なくともレオナルド自身はそう思っている。


断じて女ではない。


 顔つきも中性的ではあるがちゃんと男であるし、背丈も人並みにはあり、股ぐらには逸物がぶら下がっている。リリアンヌに挿入した


こともあるのだから、それは彼女も理解しているはずだ。


 だというのに。


「すう……すう……」


 レオナルドと同衾しておりながら、安心しきって寝息を立てている彼女は……本当にレオナルドを男だと思っているのだろうか?

 他意は無いと分かってはいたが、それでも僅かに期待はしてしまっていた。ほんの少しの八つ当たりを篭めてリリアンヌの頬を突いて


みる。


「んうぅ」


 嫌がるように身を捩るも、起きる様子はない。


 少女の頬は張りと柔らかさを兼ね備え、ふにふにと指を押し返す。焼きたての白パンのような感触が心地良い。

 無防備に眠る姿はあどけなく、いつもの凛々しさは鳴りを潜めてただの少女にしか見えない。

 この顔を見ただけでは、王国屈指の実力を誇る魔法剣士だなどとは誰も思うまい。

 生来より外で走り回るのが好きだそうだが、それでも体力に限界はあるはずだ。疲れを見せず精力的に活動する彼女の姿は、頼もしさ


と若干の心配を抱かせる。


「………う………」


 そんな彼女と共に寝処に入っていることをより強く認識してしまい、不覚にも男の部分がむくむくと元気になってしまった。

 間違っても彼女に触れぬよう、もぞもぞと腰を引く。

 しかし悲しきは男の本能か。息子の覚醒に伴ってレオナルドの思考も引き摺られてしまう。


 リリアンヌは年齢相応の顔つきや背丈であるが、身体の発育は豊かな方である。

 かつて初夜に見た、蝋燭の炎に照らされた彼女の肢体は忘れられない。

 このまま襲ってしまおうか、という劣情がちろりと漏れる。

 レオナルドとリリアンヌは夫婦であり、未通というわけでもない。


「いやいやいやいや……」


 頭を振ってその考えを追いやる。

 幾ら夫婦で、初夜以来全く身体を重ねていないとはいえ、彼女がこうして同衾している理由を忘れてはいけない。

 リリアンヌは、レオナルドの身の安全の為に共寝をしているのだ。

 それなのに劣情を催し、あまつさえ襲い掛かるなど以ての外。

 致してる真っ最中に刺客が来てそのせいで死ぬ、なんてことになったら王国中の笑い者である。


「ん………レオナルドさま、いかがなさいました……?」


 悶々としているレオナルドが見を動かしたせいか、リリアンヌはぼんやりと目を開けた。


「あ、ああすまない。起こしてしまったね。少し厠に行ってくる」


「おともしましょうか?」


「一人で行けるっ。……ああいや、護衛を頼んだ方がいいのかな?」


「んー……ちょっと待ってくださいね」


 ゆるりと上体を起こしたリリアンヌは、虚空をぼんやりと見つめる。

 どくん、と魔力の波動を一度放ち。


「今は居ないみたいです。でもすぐ戻ってきてくださいね」


「あ、ああ……それじゃ行ってくる」


 そっと寝処を出て、足早に厠へと向かう。




 レオナルドのレオナルドが元通りになるまで三回ほどかかった。






 翌朝、リリアンヌとセバスは顔を合わせ。


「何事もありませんでしたな」


「向こうも、王国貴族が身辺を固めきる前に片付けたいでしょう。一週間程度は警戒を続けましょう」


「御意に。……ところでリリ様、レオナルド様は大丈夫でしたかな?」


「? ええ、特に怪我などはありませんが。そういえば寝不足な様子でしたね」


「……………そうですか」


 セバスは僅かに同情を滲ませたのだった。






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