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こんなはずじゃなかったんだ…っ!

「一発返すよクソ野郎」



 懐に飛び込んだ僕は右手に拳を作り、思いっきり見よう見まねのフックを繰り出す。


 仕方ないだろ?殴ったことないんだよ。






 だが、そんな素人フックはモスマンを頬にクリーンヒットし、よろける。このまま一息入れさせないよう、さらに攻撃を仕掛けてやる!



 鳩尾を殴りつけ、前のめりになったところで上段廻し蹴り。それで重力に引っ張られ倒れそうになったところで、すかさず右ストレートで殴る!



 武道をやっている人間が見たら鼻で笑われそうなくらい、見よう見まねの技ばっかだが、それでもモスマンには確実にダメージを与えているようで。すでにフラフラだ。



 鎧のおかげか、力は無限に湧き出てくるような気分に陥り、一連の技をなんとなく見よう見まねで繰り出せる。







 僕はフラフラのモスマンを殴るため、右手に拳を作り、神経を集中させ…思いっきり。手術してから一度も出さなかった本気の力を頭を狙って振り下ろす!



 振り下ろした一撃はモスマンの頭を一瞬のうちに地面に叩きつけ、広場の地面にはモスマンを中心に小さなクレーターができ、辺りにヒビが入る。そして聞いたことないような破裂音も鳴った。



 そのままモスマンはピクピクと身体を痙攣させ、暫くして動くことはなくなった。クレーター内にはモスマンの頭から流れ出したであろうドス黒い血が飛び散っている。



「…死んじゃったか?」



 本気を出して殴ると、相手はばきゅん。って破裂音が鳴ってそのまま絶命するのか。これは…少しだけやりすぎた感があるかもしれない。








 かなりグロテスクな感じになってしまい、どうしようかと考えていると、モスマンは突然、氷が溶けるように身体が溶け、気がつくと二mほどの大きな水溜りが出来ていた。あ、血の水溜りな?



「へぇ。UMAって死ぬと消滅するんだ」



 そう呟きながら、僕は首輪を触る。この鎧を成り行きで装備したはいいけど、どうやって脱ぐのかさっぱりわからない。



 とりあえずカチャカチャと首輪を弄っていると、最初にカチッっとなった部分を触ったようで、シュー…と何か空気が抜けたような音が響く。








 その音は僕から発生していることに気づいた時には着込んでいた鎧は消え、いつものダサい服を着ている僕がいた。



「なんだったんだ…これ」



 身体に異常がないか色々確認するが、特にこれといった異常はないし、どちらかというとなんだか今は息苦しいというか、何か制御されているような。


 そんな気分にさえなる。



 ペタペタと首輪を触るが、よく考えると外し方を知らない。どうしたらいいのか分からずに首輪を弄っていると、後ろから声をかけられた。








「手をあげなさい」



 後ろを振り向くと、先ほどのクレーター少女が水でできた剣をこちらに向けている。それも魔法の一種か?



「それどんな技術?やっぱ魔法?」

「……そんなことよりあなた!どこ支部の魔導師?」

「…はい?」


 えっと…何?支部とか、魔導師とか。ファンタジックな場所でしか聞かないよね?…あぁいや、支部は普通に聞くか。







「だから、どこの人間なの?答えなさいよ。幽魔を生身で倒すなんて!まして赤い鎧…!身体強化魔法を使う魔導師以外考えられないわ!」

「いや、普通に知らないんだけど…」

「答えないつもりなの?」

「答えないっていうか知らないからね。魔導師とか支部とか」

「…なら分かりました。あなたの身柄を拘束します」








 今なんつった?身柄を拘束?それはとんでもない。僕はこれから真面目に勉強しないといけないんだぞ?



「おいちょっと待て、それ…は……聞き捨…て……」



 突然、強烈な睡魔に襲われる。もしかしてこの子…何かやった…な。



 こうして僕は約二ヶ月振りにまた意識を手放すことになった。不本意だが。

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