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空から降ってきて許されるのは女の子だけだから

 そしてその二日後。僕は普通に退院した。特にこの力は何も言われなかったからさほど問題ではなかったのかな?

 いや、大問題な気がするけど、とりあえず置いておくことした。






 退院してからはとんとん拍子だった。大学の数少ない友人に心配され。長い間休み続けたことを教授に説明して心配され。



 たまっていたアニメを消費して。SNSで生存報告をしてフォロワーに心配され。



 親を含めた親族たちにもう一度心配され。幼女の家族には安堵された。



***



 退院し、いつも通りの生活に戻って、もうすぐ二ヶ月が経とうとしていた。



 太陽は既に沈み、辺りは真っ暗で電灯だけが輝いている。その中を僕は大量の本が入ったビニール袋を片手に、自宅に帰っていた。






 一ヶ月近く大学を休んだせいか、全然講義についていけない。今月の下旬には定期テストがあるのに。



 そのために家から少し離れた大型書店で参考書をたくさん買う羽目になった。



 普段はあまり勉強していないのがほんと仇になったよ。勉強しとけばよかった。いやマジで。






 お陰で、いつも横断している大きな公園がとても薄気味悪くなっている。ここ嫌なんだよなぁ。普段はちびっ子で溢れかえってるのに夜になるとこれだ。



 ていうか、ほんと普通に怖いんだけど。当たり前だけど人っ子一人もいないから違う世界みたい。いや時間的に人がいないのは当たり前なんだけどさ。誰かいたら発狂して死ぬ覚悟がある。



 幽霊とか出ませんように、と辺りを見渡しながら呟く。意外と小心者なんだよ。僕は。



 気付くと片手で首輪を触っていたため、僕は手を離す。退院してからある癖がついた。それは未だに首につけられている脈拍を測る首輪を触ってしまうことだ。

 特に意味はないんだけど触ってしまう。何だろう手持ち沙汰なのかな。







 自分の首輪を触るのではなく、摩りながら公園内を歩いていると、少し広い広場に出た。大きな恐竜の骨格を模した滑り台に、なかなか広い砂場。それに鉄棒まで、遊具はかなり揃っている。



「あー…懐かしいなここ」

 足はゆっくりと数ある遊具の中で、恐竜の骨格を模した滑り台に近づいていく。



 小学生の頃、友人の清水と遊んだなぁ。この滑り台もよく滑って遊んだもんだ。当時はこの滑り台がとても大きく感じたけど…今はとても小さく見える。僕が成長したからだな。うん。



 そういえば清水。元気かな。高校に上がってからめっきり会わなくなったけど。今何してるんだろう。



 色々と昔を思い出している中、それは突然だった。








 ドシャァアアアン!!!と急に砂場が爆発した。いや、爆発ではない。何かが落ちてきた衝撃が爆発したように見えた。



「な、なんぞや?」



 さっきまで小心者云々言ってる割に、やめとけばいいものを…すぐに砂場に近づいていくと、砂場は砂の雨が降り注いでいて最早煙のようになっている。



 これが本当の土砂降りってやつ?ドシャァアアアン!って擬音も実は土砂ァアアアンみたいな……いや黙るわ。ごめん。








「うぅ、けほっ…けほっけほっ!」

 砂埃で咳が出ながら、砂場を見るとクレーターが広がっている。そして、そのクレーターの中心には。




「痛たたたたた…」

 どこの高校か分からないブレザーを着た少女がお尻を抑えていた。

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