きっかけ
そんな私を見ていた和也は私にこう言った
「よく人の事を見てるんだね。」
私は兄より兄らしく、友達にも頼られていた。
自分の事より人の事って性格だったし困ってる人はほっとけなかった。
だからその一言で私の事を認めてくれた気がしてうれしかった。
それからは和也と話す事も多くなりようやくお互いの事がわかった。
和也は昔から泣き虫だったらしい。今でもちょっとの事で泣いてしまう。
悲しい事を考えるだけで泣いていたし可愛い女の子。そんなイメージだった。
女の子らしい性格の和也に男らしい性格のあたし。
お互い好きになるには時間がかからなかった。
憧れや尊敬もあるが私は和也自身が好きだった。
世間では女々しい男。だけど私はそんな和也だからこそ好きになった。
そして高3の春。
和也と出会って一年が経った。
そんなある日私は和也から告白された。
私の事を好きと言ってくれた。
だけど私はすぐに自分の気持ちを伝えられなかった。
本当に私でいいのか。
和也にはもっと自分を理解してくれる人の方がいいのではないか。
そんな事ばっかり考えていて言葉を詰まらせていた。
そんな私を見た和也は
「傍にいてほしいのは祥だから。難しい事考えないで気持ちを聞かせて?」
私は久しぶりに泣いた。何年ぶりだろうか。
和也は私を支えて頭を撫でてくれた。
いつもとは立場が逆で。
その時は女の子らしい私と男らしい和也。
そんな状況だった。