辛い現実
彼には何回か会話をシカトされた。祖父とは話して私にシカトって…
そう思い、むすっとして席を立つと彼は
「あれ?僕話聞き逃してました?」
なんだかむかつくなぁ…私はシカトされた事に腹をたてていた為、
「えぇ。お邪魔のようなので失礼します。」
といやみったらしく言った。しかし彼は
「僕左耳しか聞えないので聞き取れない時がたまにあります。すいません。」
はい?
確かにあたしの声は小さいけど…
え!?
理解するのに時間がかかった。
和也は幼い頃、右耳が聞えない事に気付いたが、左から話をされれば大丈夫らしい。
ただ、最近は左耳も聞えなくかっているみたいだ。
正直耳が聞えないのは見た目ではわからなかった。
確かに和也をよく見ていると耳が悪い。とは分かるはずだ。
しかし実際耳が聞えない人に出会うのは初めてだったし実感があまり浮かばない。
失礼な事したな…と後悔し
「何も知らないで嫌味をいってすみません。」
と言うと和也は
「慣れてますから。」
と笑顔で答えてくれた。
だけどその笑顔が私には余計辛かった。
慣れてると言うことは悪い事をしていないのに嫌味を言われたり避けられたり怒られたり。
そんな事があったはずだ。
想像すると恐ろしい。
さらに和也は辛い話を続けた。
和也は左目がほとんど見えないらしい。
最近事故で左目をやられてしまい、片目で生活をしているみたいだ。
片耳、片目が不自由。
もはや想像すらできなくなった。
なぜかと言うともし自分が…
なんて思っても結局は私に不自由はない。
だからある程度軽く見てしまう。あるいはかなりの同情で大げさに見てしまう。