5話 僕が知らない、あの日のその坂
多分ごっちゃになります、、俺もやばいです
les.本人が白雪澪と似ている少女を描き間違える可能性あります笑
春だった。
桜は、もう散り始めていた。
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神崎陽斗は、いつものように大学へ向かっていた。
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特に理由もなく。
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ただ、少しだけ胸が重い。
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何かを忘れているような感覚。
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でも、それが何かは分からない。
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「神崎」
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後ろから、声がかかる。
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振り返ると、同じ講義の友人だった。
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「ちょっといいか」
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いつもより、少しだけ真剣な顔。
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「……なに?」
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「お前さ、“白雪澪”って知ってるか」
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その名前を聞いた瞬間。
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胸が、強く締め付けられる。
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「……誰、それ」
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口では、そう答えた。
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でも。
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心が、否定している。
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「……そっか」
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友人は、少しだけ目を伏せる。
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「いや、なんでもないならいい」
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そう言いかけて――
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やっぱり、やめた。
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「いや、よくないな」
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決意したように、顔を上げる。
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「あいつさ」
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一瞬、言葉を選ぶ。
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「……この前、倒れて救急搬送された」
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世界が、止まる。
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「は……?」
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意味が、理解できない。
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「病気らしくてさ。ずっと入院してたみたいで」
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言葉が、遠く聞こえる。
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「で、その日だけ外出許可もらってて――」
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心臓が、強く鳴る。
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「……多分、お前に会いに行ってた」
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呼吸が、止まる。
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「なんで……俺に」
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「知らねえよ。でも」
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少しだけ、真剣な目で。
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「名前、ずっと言ってたらしいぞ」
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――陽斗。
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頭の奥で、何かが弾ける。
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桜。
笑顔。
温もり。
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断片だけが、浮かぶ。
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「……今、どこにいる」
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気づけば、そう聞いていた。
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「○○病院」
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答えを聞いた瞬間。
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体が、動いていた。
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病院の廊下は、静かだった。
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足音だけが響く。
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胸が、うるさい。
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理由は分からないのに。
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なぜか、怖い。
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扉の前で、立ち止まる。
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手が、少し震える。
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ノックをして。
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開ける。
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白い部屋。
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ベッドの上に、少女がいた。
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目を閉じている。
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静かに、呼吸をしている。
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その姿を見た瞬間。
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涙が、こぼれた。
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「……なんで」
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理由が分からない。
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でも、止まらない。
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ベッドの横に立つ。
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手を、伸ばす。
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触れていいのか分からない。
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それでも。
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そっと、手を取る。
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温かい。
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生きている。
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そのとき。
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少女の指が、わずかに動いた。
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「……ん……」
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ゆっくりと、目が開く。
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視線が、こちらを捉える。
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数秒。
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ただ、見つめ合う。
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「……誰」
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静かな声だった。
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胸が、強く痛む。
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当然だ。
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覚えているはずがない。
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それでも。
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「……神崎陽斗」
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名乗る。
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少女は、少しだけ考えるように目を細めて。
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「……そっか」
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小さく、頷く。
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「初めまして、だね」
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その言葉で。
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すべてが、繋がる。
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“もう一度、はじめる”
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涙が、こぼれる。
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「……うん」
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笑う。
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うまく笑えているか分からない。
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「初めまして」
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少女も、少しだけ笑う。
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その笑顔は。
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どこか懐かしくて。
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でも。
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ちゃんと“今”のものだった。
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風が吹く。
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窓の外で、桜が散る。
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それは、終わりじゃなくて。
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新しい始まりだった。
一番悲しいやつだよね、、うん




