アンファング
「やっと見つけた…」
森を歩いて数日間、私はやっとまともな町を見つけた。
町の名前はアンファング、どうやらエルフの里への経由地点として栄えているようだ。
まぁ、薄々感じてはいたが、やはりネーヘは廃村になってしまったようだ。
「とりあえず、魔力を回復しよう。」
魔力総量が多いエルフとはいえ、数日間の野宿で魔力を消費した。
魔力というのは自動では回復しない。
だから魔法発動には大気中から魔素を取り込み、魔力を補完するための詠唱が必要なのだ。
ちなみに、魔力を回復するには水に魔力を込めたポーションと呼ばれるものを飲むしか方法はなく、ポーションは8割以上がエルフの里で作られている。
エルフの里は大気中の魔素濃度が高いため、水に魔力を込めることができる量が多いからだ。
里に近いこの町ではポーションの値段も安い。
魔力の回復も済ませたところでフードを被り、大通りを歩いてみる。
リィレ曰く、ここ100年近くでエルフを売買する商人が増えたらしく、フードを被ってエルフということを隠さないと捕まってしまうらしい。
恐ろしい世界になってしまったものだ。
アンファングの町並みは、エルフの里に近いことを売りにしている町なだけあり、魔道具などの魔法関連の店が多く立ち並んでいる。
だが、一つ疑問が浮かぶ。
里に近い町なら、ネーヘで良かったんじゃないか?
あんなに栄えていたネーヘの町になにがあったのだろうか?
そんな事を考えていると、いつの間にか知らない場所にいた。
「どこだろ…ここ…」
完全に迷子になってしまった。
一応、覚えている道を辿ってみることにしよう。日が暮れる前に宿に着きたい。
そう思った瞬間、角から人が飛び出してきてぶつかってしまった。
「いてて…」
「すまねぇ、大丈夫か?お嬢ちゃん」
飛び出してきた男は、ぶつかって転んでしまった私に手を伸ばす。
お嬢ちゃんと呼ばれたのは少し不満だが、今の一瞬で性別を認識できるのは大したものだ。
私は男の手を掴んで立ち上がり、スカートの砂を払った。
「あぁ、こちらこそごめん。注意散漫だったよ…」
すると男は、なぜか目を見開いて私の顔を見つめている。
まさか―――
「…っ!」
私は、咄嗟にフードを深く被る。ぶつかったときにフードが脱げてしまっていたのだ。
やってしまった…リィレに絶対にエルフとばれてはいけないと言われたのに…
「お嬢ちゃん…まさかエルフか…?」
「み…見間違いじゃないかな?」
「そうか…見間違いか…ってんなわけ無いだろ!エルフじゃん!耳見えたよ?!」
これはかなりまずい…さっさとここから立ち去ろう。
私が向きを変えて逃げようとしたその瞬間、男が肩を掴んできた。
「ちょっと待てよ…エルフの嬢ちゃん…」
私は、これからどうなってしまうのだろうか…




