間話:ヘンブランの昼メシ
「あいつ…起きるの遅すぎだろ。もう昼前だぞ?」
俺が宿を出たときには、陽がほぼ真上まで昇っていた。
昨日はエルフィのせいで散々な目にあった。
カレーを奢ることになったり、デコに魔法を打ち込まれたり…
だが、別に嫌というわけではない。
「まぁ、ちょうど旅の話し相手が欲しかったしな…」
それより今日は、午後から商談がある。少し早めの昼飯にしよう。
そうして俺は『森守の酒場』に向かった。
「カレーはいつ食ってもウマいからな。エルフィも起きていれば食べれたのになぁ」
店内に入ると、いつも通り吟遊詩人と調理の音が聞こえてくる。
だが、いつもより少し店が騒がしい。
何事かと思い席の方を見ると、席が8割ほど埋まっていた。
「いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ」
ウェイターちゃんに案内されて席に着き、いつも通りカレーを頼む。
それにしても、この店にこんなに人が来るとは…穴場だと思っていたんだがな…
そうして待つこと数分、ウェイターちゃんがカレーを運んできた。
鉄は熱いうちに打て。カレーはできたてホヤホヤの状態が一番美味しい。
俺はスプーンでカレーを大きくすくい、口いっぱいに頬張る。
「やっぱりうめぇ…最高だ…」
思わず感嘆の声が出た。カレーを広めてくれた勇者様に感謝しなければ。
俺はカレーをペロッと平らげ、会計を済ます。
そうして店から出た俺は、バッグからあるモノを取り出す。
商談前にカレーを食べる際の必需品、匂い隠し『ブレ・スケア』だ。
これも勇者様が広めたもので、この箱の中に入っている粒は、噛むと周りの匂いを吸収し、逆に爽やかな匂いを出す。
この粒を2粒ほど噛む。カレーは匂いが強いため、商談相手に不快な思いをさせる可能性があるからだ。
さぁ、これで準備は完璧だ。商談に向かうことにしよう。
俺は商談相手の元へ向かうことにした。




