仲直り
しばらくして、ヘンブランが風呂から上がってきた。
「ごめん、ヘンブラン!私が悪かった!」
私はヘンブランに全力で頭を下げて言う。
「私は魔法の威力を調整するのが苦手なんだ…言い訳だけど…」
「そうか…まぁ俺もさっきは言い過ぎたかもな…」
ヘンブランが頭を掻きながら答える。
「だが、それでももっとやりようがあっただろ!」
「それはそうだね…ごめん…」
ヘンブランが自分の額を指さして言う。
「あと、このデコの痕どうするんだよ…こんな痕つけて商売なんてしたくねぇよ」
ヘンブランの額には、まだ赤い痕が残っていた。
「じゃあ治療するよ、こっちに来て」
「治療って…あんた治癒魔術なんて使えるのか?」
「あまり私を舐めないでほしいな。これでも千年近く生きてる魔法使いなんだから」
私はヘンブランの頭を膝に乗せて詠唱を始めた。
そういえば、まだ若い頃はリィレはわんぱくで、よく怪我をして帰ってきた。
それを私がこうやって治してあげてたっけ…
「懐かしいな…」
「え?すまんもう一回行ってくれ」
「いや、ただの独り言だよ。気にしないで」
そうやって思い出にふけっていると、詠唱が終わって額の痕がスッと消えていった。
「よし、いい感じにできた」
「まだ痛みはあるけどな」
治癒魔術は傷を癒やすことはできるが、痛覚を和らげたりすることはできない。
「じゃあ痛覚遮断魔法でも使おうか?」
「いや、その魔法って1週間ぐらい痛覚が完全になくなるんだろ…怖いわ…」
ヘンブランの顔が少し青ざめた。今日はかなり疲れた、早く寝よう。
「もう私は疲れたから寝るよ。おやすみ」
私はそのまま深い眠りへ落ちていった。
「そういえば、エルフィは――ってもう寝てるじゃねえか。寝るの早すぎだろ」
次の日の朝、私が起きるとヘンブランがいなかった。
机の上を見ると、手紙と袋が置いてあった。
手紙には私がなかなか起きないため、一人で商いに向かったらしい。
そしてその横にある少し重い袋を恐る恐る開けてみる。
中には銅貨と銀貨が入っていた。何事かと思い手紙を確認すると
「そこの袋は俺の有り金だ。取引をするときに金を持っていくなんて盗まれる可能性があるからな。使うなら使って良い、ただし借りだけどな」
と書いてあった。優しいのかなんなのか…まぁありがたく使わせてもらおう。
まずはお腹が空いたので、ご飯を食べに行くことにしよう。
私は部屋のドアを開け、外に出た。




