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第五話 日本政府、抗戦への道

俺たちの宣戦布告と金融システムの崩壊後、世界は無秩序に陥り、日本も例外ではなかった。各地で混乱が続く中、政府は非常事態対策本部を設置し、対応に追われていた。

首相官邸の一室。薄暗い照明の中、対策本部の面々が集まっていた。首相、官房長官、防衛大臣、そして各省庁のトップたち。彼らの顔には、疲労と焦りの色が深く刻まれている。

「世界中の金融システムが停止してから三日……もはや、経済活動は機能していません。このままでは、国家としての体を成さなくなります」

財務大臣が絶望的な報告をする。

「デジタル庁のチームは、原因の究明を急いでいるのか!?」首相が声を荒らげる。

「それが……ハッキングの形跡はありません。まるで、最初からそうだったかのように、データが『書き換えられて』います。あれは、物理法則を超えた現象です……!」

デジタル庁の担当者が、悔しそうに拳を握りしめる。

テレビ画面には、東京上空に浮かぶ巨大な魔法陣が映し出されている。何度攻撃しても消えない、謎の物体。そして、世界中に響き渡った『神の使徒アポストロス』からのメッセージ。

「我々は人類の敵と認定し、国連を通じて抗戦を表明しました。次は物理的な攻撃が来る可能性が高いです。自衛隊に迎撃準備を指示します」

防衛大臣が冷静に告げる。

その時、対策本部のメンバーが持っていたスマホやタブレットが一斉に鳴り響いた。緊急速報ではない。ニュースサイトの更新通知だ。

「速報:世界中の博物館、図書館の歴史的資料が改ざん。人類の歴史は捏造されていた?」

画面には、国立博物館に設置された奇妙な石碑と、書き換えられた展示物の写真が映し出されている。ピラミッドが『神の使徒』の娯楽で作られた、といった内容だ。

「な、なんだと……!?」首相が立ち上がる。

「これは……精神的な揺さぶりか!? 我々のアイデンティティを根底から破壊しようとしている!」官房長官が動揺を隠せない。

人類が信じてきた「歴史」すら、彼らの前では無力なのだ。混乱は最高潮に達し、対策本部は一時騒然となる。

しかし、その混乱の中で、首相は静かに立ち上がった。彼の目には、もはや恐怖はない。

「……彼らは、我々を『神』だと名乗っているが、やっていることは愉快犯のテロリストと同じだ」

首相は冷静に言い放つ。

「確かに、彼らの力は未知数で、科学では説明できない。だが、我々人類は、これまでも未知の脅威と戦い、乗り越えてきた。歴史が捏造されていようと、我々が今ここに生きている事実は変わらない!」

首相の言葉に、本部の空気が引き締まる。

「奴らは我々が諦めるのを待っている。だが、我々は諦めない。これは人類の存亡をかけた戦いだ。全ての科学力、軍事力を結集し、徹底抗戦する!」

テレビ画面に映る、東京上空の魔法陣を睨みつけながら、首相は宣言した。

人類は、神々(俺たち)に屈することなく、戦う道を選んだ。

俺は廃校の屋上で、そのニュースを見ながら笑みを浮かべた。

「いいぞ、人間ども。その足掻きが見たかったんだ。さて、次の試練は、もっとハードな物理的なやつにしようか」

人類と神々の戦争は、物理的な衝突だけでなく、情報の戦い、歴史の戦いへと発展していく。俺は次の手を考える。人類がどう足掻いてくるか、楽しみで仕方なかった。

人類は、神々(俺たち)に屈することなく、戦う道を選んだ。

俺は廃校の屋上で、そのニュースを見ながら笑みを浮かべた。

「いいぞ、人間ども。その足掻きが見たかったんだ。さて、次の試練は、もっとハードな物理的なやつにしようか」

人類と神々の戦争は、物理的な衝突だけでなく、情報の戦い、歴史の戦いへと発展していく。俺は次の手を考える。人類がどう足掻いてくるか、楽しみで仕方なかった。


◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇


翌日、日本政府は緊急記者会見を開いた。首相は神妙な面持ちで、世界に向けてこう宣言した。

「我々人類は、正体不明の存在『神の使徒』に対し、断固として抗戦する。彼らの力は未知数だが、決して屈しない。これは、我々自身の未来をかけた戦いだ!」

テレビ画面の向こうで、首相は力強く拳を握りしめている。その目には、昨日までの動揺は消え失せ、強い意志が宿っていた。

「面白い」俺は呟く。「遼、日本政府の動きを監視しろ。特に、自衛隊の特殊部隊の情報を重点的に収集しろ」

「了解しました、レン様。『全知の探求者』にて、リアルタイムで情報を解析します」

遼が眼鏡の奥の目を光らせる。イヴは少し不安そうだ。「本当に戦争になるの……?」

「戦争だよ。退屈な日常をぶっ壊すんだ。まあ、俺たちが負けることはないから、安心して見てろ」

俺はイヴの頭を撫でた。

その日の午後、事態は動いた。

神奈川県沖の相模湾上空に、突如として自衛隊の最新鋭戦闘機F-35Jの編隊が現れた。彼らのターゲットは、依然として東京上空に浮かぶ巨大な魔法陣だ。

「レン様、戦闘機が向かっています。攻撃を開始するようです」

「やってみろ、人間ども」

俺は屋上から空を見上げた。戦闘機から対空ミサイルが発射される。魔法陣に命中する直前、ミサイルはイヴの結界によって霧散する。

だが、今回は違った。ミサイルが消えた後も、F-35Jは接近を続ける。そして、機体から新たな『何か』が放たれた。それはミサイルではなく、特殊な周波数を放つドローンだった。

「レン様、あれは……!?」ゼロが身を乗り出す。

遼の声が緊迫する。「解析できません! 我々の権能とは異なる、未知のエネルギー干渉を受けています!」

ドローンは魔法陣へと接近し、接触した。

次の瞬間、空中に浮かんでいた巨大な魔法陣が、グニャリと歪んだ。そして、少しずつではあるが、色が薄くなっていく。

「なっ……!?」イヴが驚きに目を見開く。「私の結界が、弱まってる……!?」

「人間ども、俺たちの力を解析しやがったのか!」

俺は興奮した。一方的なゲームではなく、相手もちゃんと足掻いている。これこそが、俺が求めていた「面白さ」だ。

「やるじゃないか、人類。だが、本物の神の力は、そんなおもちゃじゃ壊せない!」

俺は『神の権能』を最大出力で発動し、イヴの結界に注ぎ込む。魔法陣の輝きが再び強くなり、ドローンはエネルギー干渉に耐えきれず、爆発四散した。

「ふん、この程度か」ゼロが笑う。

だが、俺は違った。人類は、俺たちの能力に干渉する手段を、すでに開発し始めていたのだ。これは、長く続く戦いの始まりを意味していた。

「さあ、お互い手の内は分かったな。次からは本番だ」

俺は東京の街を見下ろしながら、次の『試練』を考え始めた。

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