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雨上がり、僕と1匹の猫

あれから予報通り雨の日が続いた。

退屈しないように猫じゃらしで

遊んだり、ただのんびりとしたり

2人の時間を過ごした。

猫じゃらしで遊んでいる時と

好物のささみを食べている時の君の顔は

幸せそうだった。


「ようやく晴れて良かったね。」


いつものベンチに2人並んで座っている。

ようやくかと言うように

横で大きく伸びをしている君に言う。

機嫌が良くなった君の背を撫でる。


今は梅雨の中休みみたいだ。

それでも前より

日差しが強くなった気がする。

池に反射する光も心なしか

輝きを増してる気がするし、

草木もより青々として

艶やかだ。

恵みの雨なんだろうな。

梅雨が明けると本格的に夏が始まる。


「せっかくだし池の周り散歩しようよ。」


僕が立ち上がると

君もベンチから降りた。

池の周りは道があって歩けるようになっている。

尻尾をゆらゆらながら

君もちゃんと付いてきている。


まだ足元には水たまりが

ちらほらと残っている。

紫陽花も咲いていて綺麗だ。


「最近毎日が楽しいよ。

まだ別にやりたいことが

見つかったわけじゃないけど、

少しずつ気持ちが前向きに

変わってきてる気がするんだ。

君のおかげだよ。」


隣を歩いてる君に話す。

チラリとこちらを見ながらも

すぐ目線を前に戻す。

こうやって一緒に歩くのもいいな。

ベンチの反対側まで来ると

太陽を遮る木はなく、

直接僕たちを照らしている。


もうすぐいつものベンチだ。

ここまでくると木の影が少し汗ばんだ僕を、

涼ませてくれる。

風が気持ちいい。


君は先にベンチに登り、

僕は遅れて横に座る。


「久しぶりに楽しかった?」


そう聞くと

君は珍しく僕の足の上に乗ってきた。

嬉しい気持ちになりながら、

君の顎下を撫でる。

喉をならし気持ちよさそうな君。


「せっかく京都来たんだし、

色々行ってみようかなと思う。

それでどんな所だったか君に伝えるよ。」


丸くなってる君に言う。

前々から気になってる場所がいくつかある。

1人で行くのは勇気がいる。

でも君も1人で行動してることを思うと、

僕も頑張れるし君に近づける気がする。


木漏れ日が差し、風が2人を包み込む。


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