表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/22

07.気にしないようにするよ

あれからレンからの連絡もなく、カケルとしての連絡もせず数日が経った夜の事だった。

翔汰は、正念が抜けたように部屋のベッドに横たわりながら、天井をぼんやりと見つめていた時だった。

翔汰を蘇らせるかのようにスマホが震える。

画面には、名前のところに「レン」の文字が表示されている。

翔汰はしばらくそのままスマホを見つめた。

やがて、軽くため息をつきながら、メッセージを開く。


「ごめん、カケル君」

その言葉だけが、シンプルに画面に表示されている。

続きを書き忘れたのかと思うほど潔い文面だった。

翔汰は何か意味があるのだろうと返信する。

「何かあったの?」

「実は……、少し落ち込んでいたんだ。この前好きな子に声かけてみたんだけど、違ってたみたいで。」

『好きな子に声かけたって、誰だろう……?』

と翔汰はつぶやいた。

ふと、翔汰は一つの名前を思い浮かべる。

それは、あの日の出来事を鮮明に思い出させるものだった。


『レンが、あの赤面していた彼女だったのか?』

手元のスマホが再び震える。

そんなの偶然に決まっている。

翔汰は、スマホを手にしたまましばらく黙り込んだ。

レンと赤面していた彼女が同一人物だったなんて思いたくない。

そう考えてしまうと、レンとの関係が一気に崩れ落ちてしまいそうだ。

「その好きな子って、誰なの?」

翔汰は意を決したように確認する。

ここでレンから『新堂』と来なければ問題ないのだから。

送信ボタンを押す瞬間、心臓が早鐘のように鳴り響いている。

どんな答えが返ってくるか、予想もつかなかった。


数分後、レンからの返信が届いた。

「新堂くん」

翔汰は画面を見つめ、しばらく動けなかった。

やはり、俺だった。

あの時の出来事が走馬灯のように駆け巡り、頭が真っ白になった気がする。

暫くしてから翔汰はレンに返信する。

「そうか……。もしかしたら、相手に聞こえていなかったのかも知れないよ」

翔汰は醜い言い訳をする。


数分後、返信が届いた。

レンからのメッセージは、翔汰の心の中にさらに波紋を広げた。

「カケル君、ありがとう。カケル君の言う通りかもしれない。気にしないようにするよ」

その言葉が、まるで翔汰に冷たい風を吹き込んだように感じた。

レンは、あの時の赤面が彼女にとってどれほど苦い思い出だったのかを、こうして自分なりに整理しようとしているように見えた。

翔汰は、「レン、無理に気にすることはないよ」と返信しようとして、そのまま手を止める。

もっと何か言わなければならない気がして、スマホを見つめながら心の中で葛藤した。

そして、メッセージ画面をじっと見つめながら、言葉が思い浮かばないことに焦りを感じた。


レンが何気なく言った「気にしないようにするよ」という言葉が、翔汰にとっては非常に重く響いた。

自分があの時、どれだけ不器用に振る舞っていたのかが、今になって痛いほど伝わってきた。

レンにとって、その「赤面」がどれほど苦しい思い出であるのかを想像するだけで、胸が締め付けられるようだった。

しかし、指先が何度も送信ボタンを躊躇して押せずにいた。

送っても、送らなくても、どちらにしても答えは見えているような気がした。

結局、何も答えられないまま時間が過ぎ、翔汰はまた一度ため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ