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【#007】恋はいつでもハリケーン

昨年の12月末頃の話。


吾輩は公園で散歩していた。


遠くの方で「にゃーにゃー」泣く猫の声が聞こえた。


吾輩「何やら、悲しげな鳴き声・・・。」


吾輩はその鳴き声の方へと歩みを進めた。



白猫「シク、シク、シク」


吾輩「そこの娘。何が悲しくて泣いておるのだ?」


白猫「これは、すいません。ご迷惑を。シク、シク、シク」


吾輩「吾輩でよければ、話を聞こうではないか。解決出来ることもあるかもしれん」


吾輩がそう言うと白猫は話し始めた。



白猫には好きな雄猫がて、同じコミュニティーで暮らしていた。


白猫はコミュニティを束ねるナンバー2で、雄はコミュニティーのメンバーであった。


だが、雄猫は自分のコミュニティを作るため、もう直ぐ旅に出る。


雄猫は今旅の支度をしている最中。


まだ、出発はしていない。



しかし、別れの挨拶をしてから、コミュニティーには顔を出していない。


雄猫は別れの挨拶の時にくだらない与太話をした。


その与太話は実は「隠語」で、共に行こう。という白猫へのメッセージだった。


だが、白猫は家族兄弟を残して一緒に行くわけにはいかずその話を聞き流した。


そして、少し前に手紙が届いた。



手紙には今までの感謝の気持ちが綴られていた。


そして、最後に「考えるな、感じるんだ。自分自身を信じろ。」とメッセージが添えられていた。


吾輩「なるほど・・・。」


白猫「何故、今のままでは駄目なのでしょう?」


吾輩「お主、雄が旅に出る理由は分かるか?」


白猫「新たなコミュニティを作るためでは?」


吾輩「半分正解で半分不正解」



吾輩は先ほどの情報から私の解釈を語った。


雄猫は白猫と現状結ばれないことに憂いていた。


何故なら、白猫と雄猫には格差があったからだ。


このコミュニティに居続けるということは永遠に結ばれないということを意味している。


別れ際に気持ちを伝えたのはコミュニティを出ることが確定したから、


また、隠語で伝えたのはコミュニティの妨害を受けることを恐れたからだ。


そして、最後のメッセージ。


「考えるな、感じるんだ。自分自身を信じろ。」


彼は白猫自身の心に問うたのだ。


そもそも、白猫と雄猫は遠回しに気がある発言や行動をしていたが、直接に愛を確かめ合う言葉は交わしたことはないという。


つまり、雄猫は別れてから白猫の湧き上がる気持ちに問うたのだ。


自分が運命の相手だと思うかどうかを。


吾輩「君は何故泣いている?彼を運命の相手だと思ったからではないのか?」


白猫「そうです。」


吾輩「ではそれを信じろ。それが答えだ。」


白猫「しかし、私には連絡手段が・・・。」


吾輩「彼は彼に出来うる最大限の方法で気持ちを伝えた。だが、君は彼に何をしたんだ?」


吾輩は愛について語った。



愛の根本というものは、ただひたすらに与えるものである。


Give & take の様な相互利益があるような安っぽいものではない。


それはただのエゴだ。


愛とは利己的なものではなく、利他的なものなのだ。


加えて、愛情に対して無反応や否定的な態度というのは一番よくない。


きっと彼は周囲に対しても愛情を注いでいたのではないか?


周囲の猫からも慕われていただろうし、他の猫も寄って来ただろう。


吾輩「君は彼に何を与えた?君は彼の愛情に甘えていただけ、君の愛は一歩も進んでいない。」


白猫の話を聞く限り、双方通行ではなく一方通行の連絡手段は残っている。


探せば、双方通行の連絡手段もどこかにあるはず。


吾輩「君は、連絡手段がないという言い訳をしているだけだ。連絡の手段などいくらでもある。」


白猫「・・・。」


吾輩「彼の友人から連絡先を聞く、掲示板に書き込む。メールを送る。」


白猫「・・・。」


吾輩「君は彼を愛しているか?」


白猫「愛しています。」


吾輩「ならば、行動しろ。彼の愛が10歩進んでいるなら君の愛はまだ0歩だ」


白猫は吾輩に礼を言うと駆け出して何処かへと消えていった。



吾輩「恋はいつでも…ハリケーン。」



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